あたたかく光る

たまこ

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13話

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  「ほら、飯だ」

ここは朝夕ご飯が出る。
ご飯といっても残飯みたいなものだが。

 ミウがここに来て数日が経った。
中は暗く、光が差さない場所なので「朝が来た」などは分からないが、ご飯くることで「また1日経った」とミウは分かった。
  

 「この子は?」
「この娘はとても見た目がよく、住んでいた場所の男をみな虜にしていた娘です、そして⋯」

このに来る者は金持ちの獣人ばかり。
道楽に買うものもいれば、世話係として買うものいて幅広いことをミウは学んだ。

奴隷商人は客の好みにそった奴隷をしっかりとお勧めしており、長年やったきたことが分かる。


 ある日、いつもとは雰囲気が違う獣人がきた。
奴隷商人もとても緊張していて、顔が強ばっている。

「ど、どのような奴隷をお探しで⋯?」
「大人しくて聞き分けがいい人間がいい」

その要望に応え、奴隷商人はいくつかの大人しめの人間をその獣人に見せてまわった。
が、お目にかかる人間がまだ見つからず、最後ミウの番になった。

「この子は見た目は悪いですが、ご要望に添う人間だと思います⋯」

獣人はミウを真っ直ぐ見つめる。
ミウはこんなに見つめられたことがなく、気まづくて下を向いた。
その獣人の黒い毛並みは艶々としていて、青の瞳がキラキラと輝いていた。

「こいつにする」

その言葉にミウは「ハッ」と上を向いた。


 それからことは進み、ミウはその獣人に買われた。
馬車に乗る際にミウに手を差し伸べ載せてくれて、「優しい獣人」だと感じた。


 明るい所でみるその獣人の毛並みは黒のような、灰色のような、グラデーションが掛かった毛並みだった。

その人は長い足を組んでまたミウを見つめた。

「⋯あ、の。なん⋯で?」

ミウは耐えられず、その人に質問した。

「なにが?」
「なんで僕を⋯かっ、たんですか?ほかに、良い人がいたのに」
「たまたまだ」

「たまたま」とはどういう意味だろうとミウは考えた。
考えた結果、買われた自分は「運が良かった」ということだろうか?と疑問は残るがそう思うことにした。

「名前は?」
「ミウ⋯です」
「俺はオルガ。お前のこと変なように扱うことはねぇから安心してくれ。」
「⋯はい、オルガ⋯さま。」

オルガはミウをみて微笑んだ。
ミウは自分に微笑んでくれる獣人がいるなんて思いもしなくて、目を見開いた。

「ん?」
「なっ、なんでもないですっ!」
「そうか」

ミウはまた下を向いた。

(なんで、こんなにドキドキしてるの⋯)

心臓がドキドキして、顔が熱い。
ミウは初めての経験に戸惑った。

「ふぅ」

ミウは心を落ち着けようと思い、小さく息をはいた。






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