あたたかく光る

たまこ

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12話

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 ミウはあの後、ふたりの馬車なのか分からないが、それに乗せられ知らない土地へと連れて行かれた。
その奥は奴隷となった人間が働いていて、みなやせ細り顔も身体も汚かった。

「おいっ!何度言ったら分かるんだ!」

太った獣人が奴隷を蹴った。
ミウはそれを見て、「自分も今からこうなるのか」と悟った。


 暗くなった頃、ミウを連れ獣人は黒い建物の中に入った。

人間が檻の中に入れられていて、みなボロボロの布を着ていた。

「いらっしゃい、ご要件は?」

中にはひとりおじいさんがいて、この人が奴隷商人だと分かった。

「コイツ、売りにきたんだよ」
「いくらになる?」
「ん~、5万ってところかね」  

ミウを上から下までみた商人は低価格の値段を提案した。

「5万?!少ねぇよじぃさん!この前売りに来た奴は20万だっただろ?!」
「そんなこと言ったって、見た目も悪けりゃ、人間だしねぇ。そんなもんだよ」
「チェッ」

ミウを連れてきた獣人ふたりはその値段を聞いて不機嫌そうにした。

「僕の価値⋯、5万⋯円」
「なんだ?不服か?」

そう商人に尋ねられたミウは笑う。

「いいえ⋯、こんな自分に5万円でも価値があって嬉しいです」

そう答えるミウに商人は「肝が据わってる、こんなやつは初めてだ」と笑った。

ミウは自分が値段になったら「5万円」ということに少し嬉しくなった。
自分は価格がつかない程酷いと思っていたからだ。


 「じゃあ5万円な」

商人は獣人に5万円を渡した。

「まず、お前さんはこの服に着替えろ」

みんなと同じボロボロの服を渡され、ミウはそれに着替えた。

「よし、着替えたな」

「着いてこい」と商人に連れられ、端っこの檻の中に入る。

「お前さんのさっきの言葉には笑ったよ。はやく買い手が見つかるといいな」

そう言い、商人はミウの元を去った。

ミウは「さっきの言葉⋯?」と思い当たることがなくきょとんとしたまま、商人が去った方を見つめていた。


 「ハオはどうしてるかな」

檻の中でミウが考えるのはハオのことだった。
ミウはハオがみんなから好かれていることを知っている。
だから、「心配」はしていない。

けど、で考えてしまう。

ミウはいつもハオのことを考えてきた。
村にいる時も、ハオが怪我をしないように、転ばないように、濡れないように、汚れないように⋯。
神経を張り巡らせて目を離さないように見てきた。

強い獣人のそばにハオが居てくれるから、最近こそそんなことはなくなってきたが、やはり数日では癖は抜けない。

「今、なにしてるかな。市、楽しめたかな⋯」

ミウは丸くなって眠った。



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