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17話
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オルガは書斎室の机に置かれた王都の紋章が入った手紙が目にはいった。
ミウを買った日、セシルが「手紙が来ましたよ」と持ってきてくれた手紙だ。
(いろいろあってまだ見ていなかったな)
オルガはその手紙をやっと今日開けた。
王都に呼んだ人間の男性が誰ものかに連れ去られ、行方不明。
容姿は黒髪、身長は低め、細身、13歳。
見つけ次第、報告せよ。
アルン・シュッド・バーン
手紙にはそう書かれていた。
オルガは一瞬ミウのことが頭に浮かんだが、人間は茶髪の者もいるが、大体黒髪で細身だ。
獣人からすれば、人間はみな身長が低く見えるし、13歳という幼い年齢だけはミウに当てはまるが⋯。
オルガは「まさかな」と思い、その手紙を引き出しにしまった。
その引き出しには王都の紋章が入った手紙がたくさん仕舞われていた。
「ミウちゃん、今日は甘いものがお好きな坊っちゃまにプリンを作りましょ」
「プ、プリンですか?」
「作り方簡単なんですよ?それに最近忙しそうなので、作ってあげたら喜んで下さると思うんです」
にこにことセシルに言われて、ミウは「オルガさまが喜んでくれるなら頑張ります!」とフンッと意気込んだ。
「でっできました!」
ミウはフゥと自分の額を拭いた。
「とっても美味しそうにできましたね」
「はいっ!」
最初は器用ではないのでカラメルを焦がしてしまう⋯など、ミウは少々やらかしてしまったが、セシルに教えられ上手く作ることが出来た。
「じゃあこれ、坊っちゃまのところによろしくね、ミウちゃん」
「え⋯?」
ひとりで行くのか⋯?と少し不安になった。
「セシルさんは行かないんですか⋯?」
「坊っちゃまはミウちゃんに持ってきてもらうのがいちばん嬉しいと思うわ」
そんな嬉しいこと言われてしまったら行かざるおえない。
ミウはフンスッと先程よりも気合いを入れた。
コンコン、ミウは控えめなノックをした。
「入れ」
そう言われミウは書斎室へと足を踏み入れた。
「どうした、セシル⋯」
オルガが顔を上げるとそこに居たのはミウだった。
「なにかあったか?」
オルガは席を立ち、ミウの近くへ行く。
「これ⋯、セシルさんと作ったんですっ!オルガさまに食べてほしくて⋯」
「お、美味しそうなプリンだ。食べていいのか?」
ミウの頭に手を乗せてオルガは話す。
「も、もちろんですっ!」
「ありがとな」
プリンが乗っている皿を慎重にオルガに渡した。
そして、プリンをミウの目の前で食べてくれた。
ミウは「そういえば味見⋯してない」と蒼白した。
「ん、とっても美味しいぞ」
「よ、良かったですっ!」
が、オルガが「美味しい」と言ってくれて、ミウは顔が暖かくなった。
「ミウの作ったプリンを食べれた俺は世界一の幸せ者だな」
「そ、そんなことありませんっ!」
そう強く否定するミウが可愛くて、オルガはわしゃわしゃと頭を撫でた。
「なぁミウ、明日外に出てみないか?」
「外⋯ですか?」
「ああ、買い物をしよう」
「でも、仕事が」
「ん?たまにはいいよ。セシルと3人で行こう」
「たまに」という程まだ仕事をしていないミウは「で、でも」と言ったが、オルガは「いいから」と言う。
ミウはオルガに負け、明日は外に出ることになった。
ミウを買った日、セシルが「手紙が来ましたよ」と持ってきてくれた手紙だ。
(いろいろあってまだ見ていなかったな)
オルガはその手紙をやっと今日開けた。
王都に呼んだ人間の男性が誰ものかに連れ去られ、行方不明。
容姿は黒髪、身長は低め、細身、13歳。
見つけ次第、報告せよ。
アルン・シュッド・バーン
手紙にはそう書かれていた。
オルガは一瞬ミウのことが頭に浮かんだが、人間は茶髪の者もいるが、大体黒髪で細身だ。
獣人からすれば、人間はみな身長が低く見えるし、13歳という幼い年齢だけはミウに当てはまるが⋯。
オルガは「まさかな」と思い、その手紙を引き出しにしまった。
その引き出しには王都の紋章が入った手紙がたくさん仕舞われていた。
「ミウちゃん、今日は甘いものがお好きな坊っちゃまにプリンを作りましょ」
「プ、プリンですか?」
「作り方簡単なんですよ?それに最近忙しそうなので、作ってあげたら喜んで下さると思うんです」
にこにことセシルに言われて、ミウは「オルガさまが喜んでくれるなら頑張ります!」とフンッと意気込んだ。
「でっできました!」
ミウはフゥと自分の額を拭いた。
「とっても美味しそうにできましたね」
「はいっ!」
最初は器用ではないのでカラメルを焦がしてしまう⋯など、ミウは少々やらかしてしまったが、セシルに教えられ上手く作ることが出来た。
「じゃあこれ、坊っちゃまのところによろしくね、ミウちゃん」
「え⋯?」
ひとりで行くのか⋯?と少し不安になった。
「セシルさんは行かないんですか⋯?」
「坊っちゃまはミウちゃんに持ってきてもらうのがいちばん嬉しいと思うわ」
そんな嬉しいこと言われてしまったら行かざるおえない。
ミウはフンスッと先程よりも気合いを入れた。
コンコン、ミウは控えめなノックをした。
「入れ」
そう言われミウは書斎室へと足を踏み入れた。
「どうした、セシル⋯」
オルガが顔を上げるとそこに居たのはミウだった。
「なにかあったか?」
オルガは席を立ち、ミウの近くへ行く。
「これ⋯、セシルさんと作ったんですっ!オルガさまに食べてほしくて⋯」
「お、美味しそうなプリンだ。食べていいのか?」
ミウの頭に手を乗せてオルガは話す。
「も、もちろんですっ!」
「ありがとな」
プリンが乗っている皿を慎重にオルガに渡した。
そして、プリンをミウの目の前で食べてくれた。
ミウは「そういえば味見⋯してない」と蒼白した。
「ん、とっても美味しいぞ」
「よ、良かったですっ!」
が、オルガが「美味しい」と言ってくれて、ミウは顔が暖かくなった。
「ミウの作ったプリンを食べれた俺は世界一の幸せ者だな」
「そ、そんなことありませんっ!」
そう強く否定するミウが可愛くて、オルガはわしゃわしゃと頭を撫でた。
「なぁミウ、明日外に出てみないか?」
「外⋯ですか?」
「ああ、買い物をしよう」
「でも、仕事が」
「ん?たまにはいいよ。セシルと3人で行こう」
「たまに」という程まだ仕事をしていないミウは「で、でも」と言ったが、オルガは「いいから」と言う。
ミウはオルガに負け、明日は外に出ることになった。
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