啓蒙犯罪～仕組まれた危機意識～

ネオショートショート

第二十五話 かたたたき券

幼い頃に母に渡した事がある
かたたたき券

他にも
せんたくをした服をたたむ券
しょっきあらい券


父は既に他界
女手一つ育てて貰った
母が亡くなって半年
遺品整理をしている時に
私が子供時代に渡した

かたたたき券

が出て来た

懐かしいな～

更に私がプレゼントした小学生の時の図画工作で
作ったオルゴールの箱に入っていた物は

【身代わりの券】

体か丈夫ではなかった私に
母からこの身代わりの券をもらった

母が亡くなる日の前日

僕
「お母さん・・・苦しいよ・・・」

母
「直樹！大丈夫！しっかりしなさい」
「代わってあげたい・・・」

母

「身代わりの券があるよ！」

それを使いなさい

私
「嫌だ！お母さんが死んじゃう」

母は私の部屋の机の引き出しから
身代わりの券を出して来た

母
「もう大丈夫だからね・・・」