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3.海辺の王国ヴェルドニア

6.これではだめだ

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ーユーノ(ユウト最近自分の性が怪しい)ー

「注文は決まったかい?」

「パンとスープ人数分」

あっ、やっぱりそうなるの?

「ここのは、まあ、お腹に入れるだけにしよう」

そうだね、それがいい



……で、注文品が来たが、何だこれ?

「何だこれは…」

そうナーナンさんがいうほど、見た目から硬いことがわかるような状態だ

「何なのかしらコレ」

えっ、ルナさんもですか?
まっまぁ、食べ物を注文して出てきたし食えない事はないだろう…うん

「「「「「「「いっいただきます」」」」」」」

そして一斉に極みの堅パンにチャレンジ

まずは私(俺)

『グッ!』

パンを持ち指に力を入れて引きちぎろうとするも、そもそもパンが形を変えないだと!?
私(俺)は無理だ食えそうにない…

次ナーナンさん

『グッ………ググッ……』

「食べ物じゃないだろ…コレ」

おっとぉ?
ゲスドグーズ国でパンを食していたナーナンさんもだめか?

「…ふぅ」

『ヒュン、パキン』

「!?」

『………』

「………」

変な音がしたし切れなかったため、パンを見つめるナーナンさんであった

次、ルナさん

「あーんん゛」

『ガジガジガジ』

おっとお!?大胆にも噛み付いたぞ!

『ガリッ!』

「………」

変な音がしたのでパンを置き、指で歯を確かめだした。ルナさんもどうやら駄目なようだ、というかルナさんが歯で確かめるとは思わなかったよ

若返ったからって歯は無敵ではないんだよ?

クルミルのペアは…

『……』
「……」

クルファはパンをスープにつけたまま放置していてしばらくすると取り出しパンを観察

『トゥルン!』
「……染み込んですらいない」

このパンはスープに染み込まないらしい、焼き工程で防水加工でもしたのかな?

ミルファは…

「ごめんなさい、私じゃあなたは食べられない」
『……』

パンに謝っていた。いや、コレを作った人が悪いと流石に私(俺)は思うよ!?

そしてシスティ

「すみませーん、このパン食べ物ですか?」

店員に聞いていた!?

「おう、食べ物だぞ!」

「そうですか…すみませんでした」

『…………』
「…………」

うん、素直に聞けたことは偉いがさも当たり前のように返されたね、食べ方聞いても同じと考えて黙ってパンを見つめる。システィもだめだった

となると当然、アーノにみんなの視線が行く

「……」

『グッ…グググッ』

おおっパンが形を変えた!

『ボッ!』

千切れた音がおかしい

「「「「「「「……………………」」」」」」」
『『『『『『『……………………』』』』』』』

「パンは諦めよっか」

私(俺)がそう言うとみんな頷きスープだけを食し始めた

………………


「で、ユーノこれからについてだが」

「そうだね、色々とやりたい事があるから私(俺)的には大きめな屋敷が欲しいと思っているの…コク」

ユーノの演技中なので仕草も意識して丁寧にスープを飲む

「屋敷か…ゴクゴクゴク」

ナーナンさんは大胆にも皿を持ち一気飲みした!?

「そうねー、だとしたらお金を稼ぎ継続して生活費も考えないといけないわねーゴクゴクゴクゴクゴクゴク」

えっルナさんも!?

「ですが、定職というのはまずい…ですよね?」

クルファはチビチビと飲んでいるけど、その横でミルファはずっとスープ皿を持って飲み続けている。時折皿が動くが息継ぎかな?

「定職につかず、お金が欲しい冒険者1択ですね」

システィは…もう飲み終えている!?

「まー、そうだね道中で話していた通りのままってことで~♪」

アーノは…コラ、アイテムボックスで処理しようとしない!

それは超極みの堅パンのみにしなさい、元の世界のどこぞの石パンやあかだより上の鰹節そのままみたいだから…いや、それより上か魔法弾いたし

お金を払い店を出て冒険者ギルドへ歩きだした

「そういえばユーノ」

列は邪魔にならないように2列縦隊だから、斜め前からナーナンさんが声をかけてきた

「ハイなんでしょう?」

「なんで女なんだ?」

「えっ、特に深い理由はありませんよ?」

単純な問題門で止められたユウトと認識される要素から離れるためには性別が変われば絶対わからないなんて単純な発想、そう言うと

「そうか…そうか?」

どうして疑問やねん

「ナーナンさー」
「うわあああぁぁぁぁぁ………………」
「ーん?」

叫び声がして振り返るとアーノとクルミルシスみんなが振り返っていた。

「どこから聞こえた声でしょうか?」

思わず私(俺)はつぶやくきナーナンさんは

「騒動が起こっている訳ではないな」

と周りを見渡すが他の人々も、声の主を探そうとキョロキョロしていた。

「あれ?ルナさんはどこに?」

後ろからクイクイと服を引っ張られるので、振り向くとルナさんがいた

「呼びましたか、主様?」

私(俺)の後ろにいた

「ああいや…ゴホン、いえ、姿が見えなかったもので…」

「で、何か言おうとしたかユーノ?」

「なんでもない」

なんで女かナーナンさんに説明しようかなと思ったけど別にいいや、それから適当に見て回ったあと宿屋に帰り1日が終わる

それからの資金稼ぎと冒険者として活動するが修行パートはカットして(いらんだろ?)



ー1ヶ月後ー


「ではこちらがこの8軒分の土地の権利署となります」

「はい、どうもありがとうございます」

私(俺)は書類を受け取ると丁寧にお辞儀します

あっまだユーノのままですよその姿のままですよ、そのまま冒険者登録と実績を積みましたので女性パーティーで認識されています。

1ヶ月お金をためてお家が8軒建っている土地を買いました。これでお屋敷を建てられます

もともとあった建物はアーノに処理してもらって、そして事前に神様に連絡して有効にしてもらったアイテム、お屋敷(小)を召喚します

「いでよ、お屋敷、小!」

そして出てきた屋敷庭付きの建物は、家8軒分よりやや小さいぐらいに召喚された

あっ、ちゃんと権利書を渡しに来た人がいなくなってから出しましたよ

「…」

ナーナンさんはジッと屋敷を見ているが眉間にシワが寄ってしまっている

「ふふふ、ないわぁ、本当にないわー、ありえないわー」

ルナさん、あなたは何かこんがらがったり理解できないことが起こるとないわを連発するんですかね?

「「…………」」

クルミルは目をゴシゴシして目の前に現れた建物が目の錯覚が見間違いか…とにかく信じられないようで何度も見直す。

目をこするのはやめなさい目が悪くなるよ?

「うーん………うん」

システィはこの屋敷を描くようだなだけど屋敷を見ながら後ろに歩かないようにね、危ないよ?

「でわ皆さん、今日からこの屋敷が私(俺)達のお家です」

「「「「「……………」」」」」

誰も何も言ってくれない

「それでは、中へと行きたいところなんですが、システィさん」

「あっはい何でしょうユーーーノさん」

ユーーーで、思い出していましたねいいんですよ『ユ』だけは変わっていないので覚えるのが面倒ならばユーでいいんですよ?

「絵を2枚ほど描いてくれませんか?」

「はい、どんな絵を」

「テーマは家族……ですかね?」

「?」

「まず、屋敷で1枚そして屋敷をバックに私(俺)達を1枚描いてもらいます」

「わかりましたでは早速」


…………………


「……そういえば私は描いてもらうの初めてだな」

「あら、あたしもそういえばそうね」

「描いてもらうことがある人はどういう人が多いですかね?」

「貴族じゃないのか?」

「そうね、あたしが諜報とかしているときには確かに貴族は肖像画とかたくさんあったわ」

「1枚いくらぐらいなんですかね?」

「確かに、ストリートの人とお抱えになるほどの人ではやはりかなりの……」



ミルファを除いてみんな会話を楽しむ別にいじめとかではないミルファは、ガチガチに緊張しているだけでとても会話に参加できそうにないんだ

しかしシスティはすごいな会話していてもくつろいでいてもちゃんと描いてくれるんだ、この時代……いや、中世っぽいからってそのイメージは失礼かそこは個性だシスティは描くのが早いってだけだ他はできる限り動かず描いてもらうその差がある

他愛もない会話を聞き流し待つ

……………1時間後

「大まかにですが出来ました!」

おお、どれどれ~

ああ、そういえば、俺(ユウト)はちゃんと男に戻っているぞ?
家族というテーマでありながら初家で描いてもらうの女なんてオチはないない

「いいものだな、あまり大きく描かれていないがあたたかい気持ちが伝わる」

とナーナンさん

「まあまあまあ、あたしをこんなに可愛く描いてくれるなんて嬉しいわ~」

手の指を合わせてニッコリ笑うルナさん

「すごいですシスティさん!」

「………すごい」

クルミルは差が相変わらず激しい、明るく褒めるクルファと小さくつぶやくミルファだ

みんな思い思いに褒めるからシスティが照れているなにか言われるたびに『ありがとうございます』と何度も返している

……みんな褒めているところ悪いんだが

「これではだめだ」

「なに!?」
「えっ?」
「どうして!?」
「なんで?」

「えっ、どっどこがダメ何でしょうかすぐに直します!」

おっと以外にも焦っているシスティってそりゃそうかそういう話だもんな俺とシスティ

「わからないか?」

ちょっと意地悪を

「はっはい、分かりません、私の絵はこれです。これでダメと言われるとどう描けばいいか分かりません、そうなると…お側にいられないんですよね…」

システィが先程の嬉しそうな顔から一変泣きそうな顔に変わったと思ったら涙がすぐに溢れ…

って、おっとととと泣くな泣くな待て待て!

「システィの絵自体は問題ない、だから泣くな!」

「でっでは、一体何が?」

涙目で上目遣い…っとそうじゃない

「これで仕上げていくつもりだろ?」

「はい」

「そうなると1人、足りないだろ?」

「え?」

「テーマは家族だ…」

「えっと……」

「システィ…君も入れないとな?」

「はい?」
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