5 / 23
【第1章】相方との距離
4.緊張と羞恥で心臓バクバク、でも相方は楽しそう
スタジオに入ると、そこにはマンションの一室がそのまま切り取られたみたいなセットが組まれていた。
生活感のあるリビングに、作り込まれた照明。
やけにリアルだな。
撮影の流れや構図について説明を受ける。
直人と一緒に聞いてはいるけど、最近の疲れのせいかあまり頭に入ってこない。
そんな俺の横で、直人は淡々とメモを取りながら、時々質問までしている。
……さすが元リーダーだよな。
こういうところ、本当に頼れる相方だと思う。
メイクと衣装替えを終え、いよいよ最初のカットへ。
「じゃあまずは、ソファで二人が楽しそうに会話してる感じからいきましょう」
それだけ聞けば、いつも通りの撮影のはずだった。
ふと視線をずらして、部屋の奥を見る。
……ん?
そこに置かれていたのは、どう見ても大きめのベッド。
「……なんであっちにベッドがあるんだよ」
思わず小声で呟くと、直人がきょとんとした顔でこちらを見る。
「え? あー……純、説明ちゃんと聞いてなかった?」
「……聞いてたつもりだけど」
直人は小さくため息をついて、少しだけ声を落とす。
「これさ、女性向けファッション誌の企画でさ。特集が“BLの世界観を切り取る写真”なんだよ」
「は? BLの世界観……」
カメラは回ったまま。
視線は外さず、口元だけ動かしてやり取りする。
「ほら、男性アイドルや俳優がベッドで絡んでたり、セクシーな写真とかさ。雑誌に載るジャンルとしては結構メジャーなんだよ」
「あぁ、それは知ってるけどさ……」
嫌な予感がじわじわと広がる。
「まさか、俺たちもそっち系の写真撮られるのか?」
「うん。その“まさか”」
直人は肩をすくめて、悪びれもせず笑った。
「それに、俺たちBLユニットなんだから当たり前じゃん」
思わず目を見開く。
“BLユニットなんだから当たり前”
……まあ、そうなんだけど。
内心は焦りでいっぱいだが、直人が平然としているのを見ると少しだけ気持ちが和らぐ。
こいつが一緒なら、なんとかなるか。
そう思ってしまう自分がいるのが少し悔しい。
そんなタイミングで、スタッフの声が飛んだ。
「では次、服を脱いでベッドへ移動してください」
……は?
一瞬、言葉の意味を理解できなかった。
服を、脱ぐ?
状況を理解しかけた瞬間、さっきのベッドの存在が急に現実味を帯びてくる。
撮影だ。仕事だ。
わかってる。わかってるけど――。
想像しただけで、心臓が嫌な音を立て始める。
……落ち着け。
プロとして、ここでビビるわけにはいかない。
深呼吸をして立ち上がった。
「大丈夫だよ、純」
直人がそう言って、自然に手を差し出してくる。
その笑顔が、逆に現実味を増す。
……本当に撮るんだよな、これ。
心の中で呟きながら、視線をそらす。
直人は何の躊躇もなくシャツとボトムを脱ぎ始めた。
あっという間に下着姿になる。
「え、おい……!」
「んー……もうちょっと鍛えとけば良かったかなぁ」
綺麗な腹筋を軽く触りながら、のんきに呟く直人。
……いや、そこ気にする余裕あるのかよ。
直人とは対照的に、俺は完全に固まっていた。
恥ずかしさと緊張で体が言うことを聞かない。
そんな俺の様子を見て、直人が一歩近づいてくる。
「ほら、純も早く」
「いや、待て、俺は……」
視界の端には、カメラや照明、スタッフの人たちが大勢いる。
この状況で相方とベッドシーン撮るとか、完全に公開処刑だろ……。
「純、脱がしてあげようか?」
「いらねぇよ!」
思わず声を荒げてしまう。
結局、観念して上を脱ぐと、間髪入れずに次の指示が飛んだ。
「下もお願いします」
「……くっそ。わかったよ、脱げばいいんだろ」
半ばやけくそで下着姿になったものの、恥ずかしさで逃げたくなる。
そこに直人が手を伸ばし、俺をベッドに誘導してきた。
「純、早く」
仕方なくベッドに座ると、心臓がバクバクする。
一方、直人は楽しそうに笑っている。
……なんでこいつだけ、こんな余裕なんだよ。
ベッドの柔らかさが、やけに現実的で。
俺は背筋を伸ばしたまま、次の指示を待つしかなかった。
生活感のあるリビングに、作り込まれた照明。
やけにリアルだな。
撮影の流れや構図について説明を受ける。
直人と一緒に聞いてはいるけど、最近の疲れのせいかあまり頭に入ってこない。
そんな俺の横で、直人は淡々とメモを取りながら、時々質問までしている。
……さすが元リーダーだよな。
こういうところ、本当に頼れる相方だと思う。
メイクと衣装替えを終え、いよいよ最初のカットへ。
「じゃあまずは、ソファで二人が楽しそうに会話してる感じからいきましょう」
それだけ聞けば、いつも通りの撮影のはずだった。
ふと視線をずらして、部屋の奥を見る。
……ん?
そこに置かれていたのは、どう見ても大きめのベッド。
「……なんであっちにベッドがあるんだよ」
思わず小声で呟くと、直人がきょとんとした顔でこちらを見る。
「え? あー……純、説明ちゃんと聞いてなかった?」
「……聞いてたつもりだけど」
直人は小さくため息をついて、少しだけ声を落とす。
「これさ、女性向けファッション誌の企画でさ。特集が“BLの世界観を切り取る写真”なんだよ」
「は? BLの世界観……」
カメラは回ったまま。
視線は外さず、口元だけ動かしてやり取りする。
「ほら、男性アイドルや俳優がベッドで絡んでたり、セクシーな写真とかさ。雑誌に載るジャンルとしては結構メジャーなんだよ」
「あぁ、それは知ってるけどさ……」
嫌な予感がじわじわと広がる。
「まさか、俺たちもそっち系の写真撮られるのか?」
「うん。その“まさか”」
直人は肩をすくめて、悪びれもせず笑った。
「それに、俺たちBLユニットなんだから当たり前じゃん」
思わず目を見開く。
“BLユニットなんだから当たり前”
……まあ、そうなんだけど。
内心は焦りでいっぱいだが、直人が平然としているのを見ると少しだけ気持ちが和らぐ。
こいつが一緒なら、なんとかなるか。
そう思ってしまう自分がいるのが少し悔しい。
そんなタイミングで、スタッフの声が飛んだ。
「では次、服を脱いでベッドへ移動してください」
……は?
一瞬、言葉の意味を理解できなかった。
服を、脱ぐ?
状況を理解しかけた瞬間、さっきのベッドの存在が急に現実味を帯びてくる。
撮影だ。仕事だ。
わかってる。わかってるけど――。
想像しただけで、心臓が嫌な音を立て始める。
……落ち着け。
プロとして、ここでビビるわけにはいかない。
深呼吸をして立ち上がった。
「大丈夫だよ、純」
直人がそう言って、自然に手を差し出してくる。
その笑顔が、逆に現実味を増す。
……本当に撮るんだよな、これ。
心の中で呟きながら、視線をそらす。
直人は何の躊躇もなくシャツとボトムを脱ぎ始めた。
あっという間に下着姿になる。
「え、おい……!」
「んー……もうちょっと鍛えとけば良かったかなぁ」
綺麗な腹筋を軽く触りながら、のんきに呟く直人。
……いや、そこ気にする余裕あるのかよ。
直人とは対照的に、俺は完全に固まっていた。
恥ずかしさと緊張で体が言うことを聞かない。
そんな俺の様子を見て、直人が一歩近づいてくる。
「ほら、純も早く」
「いや、待て、俺は……」
視界の端には、カメラや照明、スタッフの人たちが大勢いる。
この状況で相方とベッドシーン撮るとか、完全に公開処刑だろ……。
「純、脱がしてあげようか?」
「いらねぇよ!」
思わず声を荒げてしまう。
結局、観念して上を脱ぐと、間髪入れずに次の指示が飛んだ。
「下もお願いします」
「……くっそ。わかったよ、脱げばいいんだろ」
半ばやけくそで下着姿になったものの、恥ずかしさで逃げたくなる。
そこに直人が手を伸ばし、俺をベッドに誘導してきた。
「純、早く」
仕方なくベッドに座ると、心臓がバクバクする。
一方、直人は楽しそうに笑っている。
……なんでこいつだけ、こんな余裕なんだよ。
ベッドの柔らかさが、やけに現実的で。
俺は背筋を伸ばしたまま、次の指示を待つしかなかった。
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
愛を感じないのに絶対に別れたくないイケメン俳優VS釣り合わないので絶対に別れたい平凡な俺
スノウマン(ユッキー)
BL
平凡顔・ヒモ・家事能力無しの黒は、恋人であるイケメン俳優の九条迅と別れたがっている。それは周りから釣り合ってないと言われたり、お前の事を愛してない人間なんて止めておけと忠告されたからだ。だが何度黒が別れようとしても、迅は首を縦に振らない。
迅の弟である疾風は、兄は黒の事を特別扱いしてると言うが――。黒は果たして迅と別れることが出来るのか!?
【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。
村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました!
ありがとうございました!!
いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い
<あらすじ>
魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。
見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。
いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。
ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。
親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。
※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。
└性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。
束縛彼氏から逃げたのに、執着が想像以上に重すぎた
鱗。
BL
愛されても、満たされない。
それでも彼は、相手を手放さない。
空虚な社会人、湊と。
彼に執着する、後輩の悠真。
そして二人の関係を見抜く占い師、榊。
三人の想いは交錯し、やがて静かに壊れていく。
選ばれるのは、愛か、それとも支配か。
——誰のものにもならない男が、最後に選んだのは。
歪んだまま成立する、逃げ場のない関係。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185