【完結】俺の相方、実は甘々執着系でした~BLアイドルの溺愛日常~

砂原紗藍

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【第1章】相方との距離

5.ベッドの上、主導権は誰のもの?

俺たちは、とりあえず座ったまま仲良さそうにじゃれ合っている“フリ”をして写真を撮られる。
肩を寄せて、笑って、視線を合わせて――。

「もう少し近く」
「もっと自然にお願いします」

カメラマンの声が飛ぶたび、直人との距離がじわじわ縮まっていく。

「純、BLっぽくやんないと」
「え……あぁ、うん」

設定では、俺が“攻め”役。
覚悟を決めて、直人の肩に手を回し、自分の方に引き寄せる。
そのまま勢いで、ベッドに押し倒した。

……うん。

勢いで押し倒したのはいい。
問題は、この後どうすればいいのかまったく思いつかねぇ……!

これが仕事だなんて、正直、実感が湧かない。

くそ、どうしよう。
……ていうか、なんで俺、こんなに緊張してるんだよ……。

前のグループでも、BL企画は経験がある。
メンバーを押し倒す“演技”なんて何度もやってきた。
それなのに、直人を意識した途端、息が詰まって思考が止まった。

俺が上なのに……!
この感覚、まるで――。

そんな俺を見て、直人が小さく笑いながら囁いた。

「大丈夫だよ、純。撮影だから、怖がらなくていいって」

……は? 
怖がってる? 俺が?

一気にムッとして、視線を逸らす。

「……別に、怖がってねえよ」

俺は攻め設定だ。
こんなふうに動揺するなんて、ありえない。

「でも、緊張はしてるでしょ」

全部見透かされていた。

「……してねぇし」
「じゃあさ、純。とりあえず俺が言うとおりにしてみて」
「なに言ってんだよ、言うとおりって……」
「まず、髪を撫でて。それから、顔に触れてみて」

一瞬ためらったものの、直人の言葉に従って手を動かす。
指先でさらりとした髪をなぞり、続けて頬に触れた。

自分でもわかるくらい、手が少し震えている。
プライドはある。ちゃんとあるのに――。

「ふふ、なんかぎこちないね、純」
「うっせぇな。こんなの、慣れてるわけねぇだろ……」

視線を逸らしてぶっきらぼうに返すと、直人は楽しそうに息を漏らした。

「……でも、そういうとこがいいね」

その一言が耳に届いた瞬間だった。
直人が体勢を入れ替え、俺の両肩を掴んでベッドに押し戻す。

「ちょっ……」

気付けば、さっきとは逆。
俺が下になってて、直人が上から見下ろしている。

いや待て。
これだとBL設定が逆だろ……!

「おい、直人、設定……!」
「可愛い純を見ちゃうとね……やっぱり俺は、こっち側がいいな」

直人の薄茶色の瞳があまりに近すぎて、吐息が俺の唇に直接伝わってくる。

「な、何する気だよ……」

抵抗しようとしたはずなのに、身体が固まって動かない。
意味がわからない。
いや、わかるんだけど、わかりたくない。

直人は余裕のまま、俺を見下ろして微笑んでいた。


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