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【第1章】相方との距離
6.BL企画、想定超えました
うまく“攻め”の演技ができない俺を見て、直人の目つきが変わった。
……いつもの余裕ある笑顔じゃない。
熱を帯びた、逃がさない視線。
「おい、直人……」
名前を呼んだ瞬間、直人の唇が――迷いなく俺の唇に重なった。
「っ……!」
急な展開についていけず、心臓がいきなり動きを速めた。
さっきとはまた別の緊張が、全身を支配する。
ほんの一瞬離れたかと思うと、すぐにまた触れてきた。
え?
は……?
さっきよりも深いキス。
驚いた俺が思わず口を開いた隙に、舌が滑り込んできた。
「……んっ……」
逃げる舌を追いかけて、ゆっくり絡め取られる。
必死に声を抑える俺を、直人は上から覆うようにして、唇をゆっくりと下へ移していく。
「……っ……」
直人の唇が首筋に触れた瞬間、体がびくんと跳ねた。
その反応に、直人の目がさらに熱くなる。
そして、胸元へ伸びてくる手――。
「あっ……」
小さく漏れた声と同時に、カメラのシャッター音が響き渡った。
「え……」
「……っ」
その瞬間、ようやく思い出す。
ここは撮影現場で、俺たちはカメラの前にいたんだった。
直人も我に返ったように目を見開いている。
周囲を見ると、スタッフ全員が固唾をのんでこちらを見つめていた。
……今の、完全に見られてた。
そう、俺たちは濃厚なキスとベッドシーンを見せつけてしまったわけで。
“ビジネスBL”なんて言い訳が通じる域は、とっくに超えている。
それなのに、カメラマンもアシスタントも明らかにテンションが高い。
そして、歓声と拍手が沸き起こった。
「最高です! 今の、めちゃくちゃいいの撮れました!」
……終わった。
あんなの見られたうえ、しっかり写真にも残っている。
止められなかった自分への後悔と、今さら湧いてくる羞恥で、言葉がうまく出てこなかった。
「純、耳まで真っ赤だよ」
「うるさい……お前のせいだろ……」
「え? 純だって拒否してなかったじゃん」
「それはお前が勝手に……!」
気づいたら、ベッドの上で言い合いになっていた。
顔は熱いし、頭も回らない。
俺は勢いで声を張り上げるし、直人も全く引く気がない。
知らない人が見たら喧嘩。でも実際は、ただの不毛な応酬だけど。
そのとき、ぶった切るようにスタッフの声が飛んできた。
「お二人とも、仲良さげな空気もすごく自然で良いです! もう一回いきましょうか!」
……いや、もう一回ってなんだよ。
「ほら、純。プロなんだから」
「お前が言うな……!」
俺のツッコミをよそに、現場はやけに興奮した空気が満ちている。
「じゃあ、続きしよっか」
「しねぇよ」
逃げるように腰を上げる俺を、直人は強い力で引き留めた。
「純、照れてる」
「照れてねぇから!」
……どうしてこうなった。
立場が逆転しかけていることには――
なぜか誰も、何も言わなかった。
……いつもの余裕ある笑顔じゃない。
熱を帯びた、逃がさない視線。
「おい、直人……」
名前を呼んだ瞬間、直人の唇が――迷いなく俺の唇に重なった。
「っ……!」
急な展開についていけず、心臓がいきなり動きを速めた。
さっきとはまた別の緊張が、全身を支配する。
ほんの一瞬離れたかと思うと、すぐにまた触れてきた。
え?
は……?
さっきよりも深いキス。
驚いた俺が思わず口を開いた隙に、舌が滑り込んできた。
「……んっ……」
逃げる舌を追いかけて、ゆっくり絡め取られる。
必死に声を抑える俺を、直人は上から覆うようにして、唇をゆっくりと下へ移していく。
「……っ……」
直人の唇が首筋に触れた瞬間、体がびくんと跳ねた。
その反応に、直人の目がさらに熱くなる。
そして、胸元へ伸びてくる手――。
「あっ……」
小さく漏れた声と同時に、カメラのシャッター音が響き渡った。
「え……」
「……っ」
その瞬間、ようやく思い出す。
ここは撮影現場で、俺たちはカメラの前にいたんだった。
直人も我に返ったように目を見開いている。
周囲を見ると、スタッフ全員が固唾をのんでこちらを見つめていた。
……今の、完全に見られてた。
そう、俺たちは濃厚なキスとベッドシーンを見せつけてしまったわけで。
“ビジネスBL”なんて言い訳が通じる域は、とっくに超えている。
それなのに、カメラマンもアシスタントも明らかにテンションが高い。
そして、歓声と拍手が沸き起こった。
「最高です! 今の、めちゃくちゃいいの撮れました!」
……終わった。
あんなの見られたうえ、しっかり写真にも残っている。
止められなかった自分への後悔と、今さら湧いてくる羞恥で、言葉がうまく出てこなかった。
「純、耳まで真っ赤だよ」
「うるさい……お前のせいだろ……」
「え? 純だって拒否してなかったじゃん」
「それはお前が勝手に……!」
気づいたら、ベッドの上で言い合いになっていた。
顔は熱いし、頭も回らない。
俺は勢いで声を張り上げるし、直人も全く引く気がない。
知らない人が見たら喧嘩。でも実際は、ただの不毛な応酬だけど。
そのとき、ぶった切るようにスタッフの声が飛んできた。
「お二人とも、仲良さげな空気もすごく自然で良いです! もう一回いきましょうか!」
……いや、もう一回ってなんだよ。
「ほら、純。プロなんだから」
「お前が言うな……!」
俺のツッコミをよそに、現場はやけに興奮した空気が満ちている。
「じゃあ、続きしよっか」
「しねぇよ」
逃げるように腰を上げる俺を、直人は強い力で引き留めた。
「純、照れてる」
「照れてねぇから!」
……どうしてこうなった。
立場が逆転しかけていることには――
なぜか誰も、何も言わなかった。
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