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【最終章】選ばれる未来、選ぶ覚悟
1. 100万の歓声より、君の名前
そして、いよいよSONIC WAVE本番当日。
会場は、最初から異常だった。
人の数も熱気も音も。
10万人。
数字で知っていたはずなのに、実際に目にすると感覚が追いつかない。
……すげぇな。
音楽業界に入って十年。
大小さまざまな現場を見てきた。でも、これは別格だ。
桁が違う。空気が違う、熱量が違う。
期待と興奮が混ざり合って、呼吸するだけで胸が熱くなる。
モニターに映るのは――ECHOのロゴ。
次の瞬間、完璧すぎる映像と音が流れ出した。
……やったな。
思わず、喉が鳴る。
慧、本当にやりやがった。
あの夜、俺の唇を奪った男。
「京介が欲しい」なんて、平然と囁いた男。
ソファで俺を押し倒して、全部さらけ出させた男。
その同じ男が、今――
音楽業界の“常識”を塗り替えようとしている。
画質が、異常だ。
4K。しかもブレがない。
音は輪郭までくっきりしていて、低音が腹の奥まで届く。
……これ、本当に配信か?
現地より、近い。
アーティストの視線も、指先の震えも、はっきり見える。
コメント欄が、滝みたいに流れていく。
『え、配信のレベルじゃない』
『現地組だけど、正直こっちで見たかった』
『ECHOやばすぎ』
視聴者数がどんどん増えてる。
10万。
20万。
30万――
……一瞬で100万人を超えた。
「すごいな……」
隣で、父がぽつりと呟いた。
腕を組み、画面から目を離さない。
こんなふうに、素直に感心する父を見るのは初めてかもしれない。
「これが、ECHOの本気か」
「……はい」
父はしばらく黙ったまま、映像を見つめていた。
「京介」
「……はい?」
「お前、名波さんと知り合いか?」
心臓が、一拍遅れて跳ねた。
やばい。
ここで動揺したら逆に怪しまれる。
平静を装って――でも、手が震えてる。
「……プレゼンで初めて会ってから、少し話すくらいで」
嘘だ。それだけじゃない。
あいつの部屋に行って、抱きしめられて、キスして――
「そうか……」
父はそれ以上、何も言わなかった。
信じてくれたのか。それとも、気づいてるけど黙ってるのか。
……まあ、今はどうでもいい。
「お前の言ってたこと、少しわかった気がする」
「え……?」
思わず父を見ると、その表情は驚くほど柔らかかった。
「……安定だけを求めていては取り残される」
その言葉に驚いた。
父は昔から冒険を嫌い、リスクを避けた。
“瀬戸家は、堅実に”が口癖だった。
「父さん……」
「今回のことで勉強になった。新しい技術、新しい会社。ステラも、変わらないとな」
その言葉に、胸がじわっと熱くなった。
「京介」
「はい」
「新興企業との協業プロジェクトを立ち上げる。お前が責任者だ」
一瞬、言葉が出なかった。
……俺に?
「……ありがとうございます」
「ようやく、跡継ぎらしくなってきたな」
その言葉は、昔みたいに重くなかった。
父が去った後、俺は一人、会場を見渡す。
跡継ぎ、か。
昔はその言葉が重かった。
プレッシャーだったし、鎖だった。
でも、今は違う。
ステラを継ぐ。
その責任を果たしながら、音楽業界を変えていく。
……慧と一緒に。
それが――俺の、新しい夢だ。
*
ライブ終了後。打ち上げ会場。
音楽、笑い声、グラスの音。
全員が成功の余韻に浸っている。
俺は人混みの中で、ただ一人を探していた。
……どこだ、慧。
こんなに人が多いと見つけるのも大変だ。
背の高い人が多くて、視界が遮られる。
「京介」
背後から聞こえた声に、振り返る。
慧がいた。
少し疲れた顔。でも間違いなく、満足そうだ。
「お疲れ」
「ああ。成功だな」
その言葉に、込み上げてくるものがあった。
「視聴者、150万人超えた」
「……すげぇよ」
本当に。
ECHOの技術が、本物だって証明された。
慧の夢が現実になった瞬間だ。
「京介のおかげだね」
慧が、小さく笑う。
「ありがとう」
そのまま、人目の少ない壁際へ引き寄せられる。
「ちょ……!」
「京介」
慧の顔が近い。すごく、近い。
息がかかる。心臓がうるさい。
「もう、隠すのやめよう」
いつもの余裕のある表情じゃない。
本気の目だ。
「……え?」
「俺と京介の関係」
――息が、止まる。
「もう、隠したくない」
喧騒の中で、その言葉だけが、はっきり響いた。
会場は、最初から異常だった。
人の数も熱気も音も。
10万人。
数字で知っていたはずなのに、実際に目にすると感覚が追いつかない。
……すげぇな。
音楽業界に入って十年。
大小さまざまな現場を見てきた。でも、これは別格だ。
桁が違う。空気が違う、熱量が違う。
期待と興奮が混ざり合って、呼吸するだけで胸が熱くなる。
モニターに映るのは――ECHOのロゴ。
次の瞬間、完璧すぎる映像と音が流れ出した。
……やったな。
思わず、喉が鳴る。
慧、本当にやりやがった。
あの夜、俺の唇を奪った男。
「京介が欲しい」なんて、平然と囁いた男。
ソファで俺を押し倒して、全部さらけ出させた男。
その同じ男が、今――
音楽業界の“常識”を塗り替えようとしている。
画質が、異常だ。
4K。しかもブレがない。
音は輪郭までくっきりしていて、低音が腹の奥まで届く。
……これ、本当に配信か?
現地より、近い。
アーティストの視線も、指先の震えも、はっきり見える。
コメント欄が、滝みたいに流れていく。
『え、配信のレベルじゃない』
『現地組だけど、正直こっちで見たかった』
『ECHOやばすぎ』
視聴者数がどんどん増えてる。
10万。
20万。
30万――
……一瞬で100万人を超えた。
「すごいな……」
隣で、父がぽつりと呟いた。
腕を組み、画面から目を離さない。
こんなふうに、素直に感心する父を見るのは初めてかもしれない。
「これが、ECHOの本気か」
「……はい」
父はしばらく黙ったまま、映像を見つめていた。
「京介」
「……はい?」
「お前、名波さんと知り合いか?」
心臓が、一拍遅れて跳ねた。
やばい。
ここで動揺したら逆に怪しまれる。
平静を装って――でも、手が震えてる。
「……プレゼンで初めて会ってから、少し話すくらいで」
嘘だ。それだけじゃない。
あいつの部屋に行って、抱きしめられて、キスして――
「そうか……」
父はそれ以上、何も言わなかった。
信じてくれたのか。それとも、気づいてるけど黙ってるのか。
……まあ、今はどうでもいい。
「お前の言ってたこと、少しわかった気がする」
「え……?」
思わず父を見ると、その表情は驚くほど柔らかかった。
「……安定だけを求めていては取り残される」
その言葉に驚いた。
父は昔から冒険を嫌い、リスクを避けた。
“瀬戸家は、堅実に”が口癖だった。
「父さん……」
「今回のことで勉強になった。新しい技術、新しい会社。ステラも、変わらないとな」
その言葉に、胸がじわっと熱くなった。
「京介」
「はい」
「新興企業との協業プロジェクトを立ち上げる。お前が責任者だ」
一瞬、言葉が出なかった。
……俺に?
「……ありがとうございます」
「ようやく、跡継ぎらしくなってきたな」
その言葉は、昔みたいに重くなかった。
父が去った後、俺は一人、会場を見渡す。
跡継ぎ、か。
昔はその言葉が重かった。
プレッシャーだったし、鎖だった。
でも、今は違う。
ステラを継ぐ。
その責任を果たしながら、音楽業界を変えていく。
……慧と一緒に。
それが――俺の、新しい夢だ。
*
ライブ終了後。打ち上げ会場。
音楽、笑い声、グラスの音。
全員が成功の余韻に浸っている。
俺は人混みの中で、ただ一人を探していた。
……どこだ、慧。
こんなに人が多いと見つけるのも大変だ。
背の高い人が多くて、視界が遮られる。
「京介」
背後から聞こえた声に、振り返る。
慧がいた。
少し疲れた顔。でも間違いなく、満足そうだ。
「お疲れ」
「ああ。成功だな」
その言葉に、込み上げてくるものがあった。
「視聴者、150万人超えた」
「……すげぇよ」
本当に。
ECHOの技術が、本物だって証明された。
慧の夢が現実になった瞬間だ。
「京介のおかげだね」
慧が、小さく笑う。
「ありがとう」
そのまま、人目の少ない壁際へ引き寄せられる。
「ちょ……!」
「京介」
慧の顔が近い。すごく、近い。
息がかかる。心臓がうるさい。
「もう、隠すのやめよう」
いつもの余裕のある表情じゃない。
本気の目だ。
「……え?」
「俺と京介の関係」
――息が、止まる。
「もう、隠したくない」
喧騒の中で、その言葉だけが、はっきり響いた。
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