【完結】運命の人が敵対企業の専務だったので、ビジネスも恋も全部奪いました

砂原紗藍

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【最終章】これが、俺たちの選んだ道

2.150万人の歓声と、君の笑顔

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そして、SONIC WAVE本番当日。

会場は10万人の観客で埋め尽くされてる。
人の数も熱気も音も、全てが桁違いだ。

ステージの光、歓声。地面が振動している。

配信準備室で、深呼吸する。

窓の外に見える会場。
巨大なステージに、観客の波。

絶対に、成功させる。
ECHOの全てを、ここに賭ける。

「慧さん、準備完了です」

スタッフが声をかける。

「よし。じゃあ、始めよう」

配信が始まった。

視聴者数が増えていく。
画面の端の数字が、猛スピードで増えていく。

120万、140万、150万。

スタッフたちが、歓声を上げる。
でも、まだ配信は続いている。
気を抜けない。配信が終了するまで、集中する。

トラブルはないか。音質は大丈夫か。
映像は乱れてないか。
全てをチェックし続ける。

そして、配信終了。

「お疲れ様でした!」
「視聴者数、最終的に152万人でした!」
「満足度99%です!」

本当に、成功した。



配信終了後、会場へ向かった。
人混みの中で京介を探す。

どこにいるんだろう。

そして、見つけた。壁際に立っている京介。

「京介」
「お疲れ」

京介が笑ってくれる。
その笑顔が、疲れを吹き飛ばしてくれる。

「ああ。成功だな」
「視聴者、150万人超えた」
「……すげぇよ」
「京介のおかげだね」

人目の少ない壁際へ移動して、キスをした。 短いキス。
でも、それだけで体が熱くなった。



――数日後、俺たちの交際が業界紙に載った。

『ステラ専務とECHO CEO、交際発覚』

スマホが鳴り止まない。
ECHOのオフィスに行くと、秘書が心配そうに声をかけてきた。

「社長、大丈夫ですか?」

秘書がコーヒーを差し出してくれる。

「大丈夫。心配しないで」

ECHOは倒産寸前から俺についてきてくれたメンバーばかり。
彼らは俺を信じてくれている。
誰も、交際のことを問題にしない。

「瀬戸専務は、大丈夫なんですか?」

技術担当が心配そうに聞く。

自分たちの様子を客観的に見たことがなかったから、認識に欠けていた。
俺と京介が付き合ってるんだっていう事実を。

「……京介は、今ステラで大変な思いをしてると思う」

それが一番心配だった。
ステラは大企業だ。取締役会もある。
株主もいる。

京介が、どんな目に遭ってるか。



懇親会の会場で、京介を探してた。
人混みをかき分けて歩く。

――いた。

京介が壁際で誰かと話してる。
近づこうとして、足を止めた。

「瀬戸専務とは、仕事をしたくないんですよ」

ディレクターの声が、はっきり聞こえた。

……は?
今、なんて言った?

京介の表情が、一瞬固まるのが見えた。
視線を落として、何も言わない。

ディレクターが去っていく。
京介が一人、その場に立ってる。

俺は、迷わず京介に駆け寄った。

「京介」

京介が顔を上げた。

「慧……」
「迎えに来たよ」

京介の手を、そっと包む。

「ほら、一緒に帰ろう。今日はもう十分頑張った」

京介が俺の手をぎゅっと握り返してくれた。
その手が、少し震えてる。

……大丈夫。
俺がいるから。

京介と一緒に会場の出口に向かう。
その途中、一人の若手プロデューサーが近づいてきた。

「……瀬戸専務、名波社長」

声が小さい。
周囲を気にしてるのがわかる。

「俺も、業界を変えたいと思ってるんです。瀬戸専務や名波社長みたいな人が前に立ってくれると……正直、勇気が出ます。俺は、お二人を応援します」

――味方が、いた。
嬉しかった。
京介も、きっと嬉しいはずだ。

プロデューサーが去っていく。
京介と二人、会場を抜け出した。

外の空気が、冷たい。

「今日はお疲れ様。京介、ずっと無理してたよね」
「……いや、大丈夫」
「大丈夫じゃないでしょ。顔に出てる」

京介の頬に手を添える。

……冷たい。

「俺が何とかする。京介は、自分の仕事に集中して」
「何とかするって……」
「ECHOとステラの共同案件、いくつか動かしてる。それが形になれば、業界の見方も変わる」

京介をぎゅっと抱きしめた。
この人を、絶対に守りたいんだ。

「京介のために、結果を出す。俺にできることは、それだから」
「……ありがとう」
「お礼なんていらない。俺たち、恋人でしょ?」
「ああ」
「京介、大好きだよ。愛してる」

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