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17話 ひつじとしろくま2
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しろくまの種族はファンシービースト。
そもそもファンシービーストとは人形のような小柄の動物をモチーフにしている。
モチーフになる動物の種類は様々でぽむのようなひつじもいれば、しろくま、イヌ、ネコと本当に多種多様にわたる。
モチーフになった動物が違っても種族としては同じためぽむとしろくまは意思疎通ができるのだ。
従魔専門店でのしろくまの印象は恥ずかしがり屋で人前に出る事は少なく、隅の方に隠れているというものだった。
それが脱走をするなど信じられないとルネリッツは説明する。
「もしかしたら同じ種族で助け船を出したつもりなのかもしれません」
「まだそう遠くには行っていないはずなので探しましょう。賢者の宿の従業員にも探させますね」
ハンナとルネリッツが各々の従業員に連絡をとって捜索部隊が結成された。
ただし、捜索は内密に行うこととなる。
もしもファンクラブに知れ渡れば帝都が大混乱に陥ってしまう可能性があるからだ。
§
ぽむとしろくまは広場に出るが既に会場は撤去されて知っていた場所とは大きく変わっていた。
人通りは少なく街灯の明かりを頼りにノアを探すが見つからない。
「これは俺にも運が回ってきたか」
ぽむとしろくまを見てアーロは笑みを溢した。
会場を追い出されてから一度ログアウトして、戻ってきてみると例のひつじが不用意にうろついている。
しろくまは初めて見たが似たような種族なんだろうと考える。
人通りはほとんどなく、ノアを痛い目に合わすならここしかない。
最近巷で流行っているPKについて運営から特にお咎めがないという話も出ている。
PKはプレイヤーキラーの略でプレイヤーがプレイヤーをキルする迷惑行為のことである。
普通はこういった迷惑行為に対して運営が何らかしらのペナルティを課すのだが、ルキファナス・オンラインの運営はPKもプレイヤーの自由であると宣言した。
アーロは再度周りを見て、人がいないのを確認し剣を構える。
「メェ?」
「くまくま」
「恨むなら自分の主人を恨みな」
この時、アーロは簡単に終わるだろうと思っていた。
明らかに戦えそうな雰囲気ではない。
従魔にも色々なタイプがいるが、目の前の2体は戦闘を得意とする従魔ではなくペット用に可愛がるだけの従魔だと判断した。
現にそういう従魔が人気があるのを聞いたこともあった。
しろくまは剣を構えるアーロを見てブルブルと震えて怯えている。
ぽむはアーロを敵だと認識して魔導書を開く。
「ふっ、戦いの真似事か? そんなおもちゃの魔導書で何ができる」
アーロはロザリーアについていたとき、会場でコスプレグッズが売っていて、それが戦闘の役に立たないおもちゃだと知っている。
しかし、ぽむの魔導書が本物だとは知らない。
「メェ(黒炎)」
ぽむは牽制に黒炎を放つ。
「はっ!? スラッシュ」
アーロは驚きながらもスキルで黒炎を斬り裂く。
「腐ってもモンスターってことか、多少はできるようだな」
剣を持つ手に力を入れる。
「本気でやってやるよ、『筋力向上』『敏捷向上』」
左手を自身の胸に当てて攻撃力と敏捷力を上げるスキルを発動させる。
アーロの職業は軽戦士。
戦士系二次職で軽やかな動きのできる戦士だ。
装備の鎧も動きやすさを重視、武器も重すぎないものを選択した片手剣。
バランスのいい職業で人気がある。
ぽむの黒炎を見てバフのかかった状態なら回避することは難しくない。
次に魔法がくれば避けてそのまま一撃で終わらせようと考えていた。
「メェェェ(深淵業火)」
ぽむは黒炎の一段階上の魔法を選択する。
ここまでぽむは詠唱を省いている。
いつもならノアが隙をカバーしてるがそのサポートがない今は威力よりも発動速度に重きを置いていた。
ここだとばかりにチャンスを見つけてアーロは一気に前に詰める。
アーロの予想では十分に避けれる範囲の攻撃が来るはずが先程よりも広範囲の炎が襲ってくる。
「くそがっ!!」
回避行動をとるものの左腕は黒い炎に包まれ、激痛が走る。
痛みで動きが止まり、その場で体勢を崩し膝をついてしまう。
しかし、一瞬でその行動が失敗だと気づく。
ぽむの右腕に魔力が集中して高熱が発せられる。
「メェメェメェメェ、メェェェ(黒き炎は灰すら残さぬ、一切合切灰燼と帰せ、『深淵業火』)」
詠唱をつけた全力の一撃。
「バッ、耐久向上」
アーロは迫りくる炎を避けるのは不可能と判断して耐久力を上げるスキルを発動して剣を逆手に持って体を守る体勢をとった。
悪くない状況判断ではあった。
むしろ的確な行動で戦闘の才能を垣間見せる冷静な対応だったが、残念なのはぽむの魔法は二次職の中でも上位に位置するだけの威力を持っているということだろう。
ぽむの持つ想像力というポテンシャルにそれを実現させるため、特別に作られた大賢者の魔導書。
スキルで耐久力を上げたとて耐えれる代物ではなかった。
深淵の業火は広場で高々と燃え上がりアーロを消し炭に変えた。
完全に炭化した体がポロポロと崩れて光の粒子に変わっていく。
プレイヤーは死ねば光の粒子に変わり、デスペナルティが課せられる。
デスペナルティになると獲得していた経験値がレベルに応じて減少する。
さらに一次職は1時間の強制ログアウトと1時間、獲得経験値量の減少、ステータス減少となる。
これが二次職になれば3時間、三次職は6時間、四次職は12時間、五次職では24時間と増えていく。
アーロは二次職だったので3時間はルキファナスの世界から追い出されることになった。
そもそもファンシービーストとは人形のような小柄の動物をモチーフにしている。
モチーフになる動物の種類は様々でぽむのようなひつじもいれば、しろくま、イヌ、ネコと本当に多種多様にわたる。
モチーフになった動物が違っても種族としては同じためぽむとしろくまは意思疎通ができるのだ。
従魔専門店でのしろくまの印象は恥ずかしがり屋で人前に出る事は少なく、隅の方に隠れているというものだった。
それが脱走をするなど信じられないとルネリッツは説明する。
「もしかしたら同じ種族で助け船を出したつもりなのかもしれません」
「まだそう遠くには行っていないはずなので探しましょう。賢者の宿の従業員にも探させますね」
ハンナとルネリッツが各々の従業員に連絡をとって捜索部隊が結成された。
ただし、捜索は内密に行うこととなる。
もしもファンクラブに知れ渡れば帝都が大混乱に陥ってしまう可能性があるからだ。
§
ぽむとしろくまは広場に出るが既に会場は撤去されて知っていた場所とは大きく変わっていた。
人通りは少なく街灯の明かりを頼りにノアを探すが見つからない。
「これは俺にも運が回ってきたか」
ぽむとしろくまを見てアーロは笑みを溢した。
会場を追い出されてから一度ログアウトして、戻ってきてみると例のひつじが不用意にうろついている。
しろくまは初めて見たが似たような種族なんだろうと考える。
人通りはほとんどなく、ノアを痛い目に合わすならここしかない。
最近巷で流行っているPKについて運営から特にお咎めがないという話も出ている。
PKはプレイヤーキラーの略でプレイヤーがプレイヤーをキルする迷惑行為のことである。
普通はこういった迷惑行為に対して運営が何らかしらのペナルティを課すのだが、ルキファナス・オンラインの運営はPKもプレイヤーの自由であると宣言した。
アーロは再度周りを見て、人がいないのを確認し剣を構える。
「メェ?」
「くまくま」
「恨むなら自分の主人を恨みな」
この時、アーロは簡単に終わるだろうと思っていた。
明らかに戦えそうな雰囲気ではない。
従魔にも色々なタイプがいるが、目の前の2体は戦闘を得意とする従魔ではなくペット用に可愛がるだけの従魔だと判断した。
現にそういう従魔が人気があるのを聞いたこともあった。
しろくまは剣を構えるアーロを見てブルブルと震えて怯えている。
ぽむはアーロを敵だと認識して魔導書を開く。
「ふっ、戦いの真似事か? そんなおもちゃの魔導書で何ができる」
アーロはロザリーアについていたとき、会場でコスプレグッズが売っていて、それが戦闘の役に立たないおもちゃだと知っている。
しかし、ぽむの魔導書が本物だとは知らない。
「メェ(黒炎)」
ぽむは牽制に黒炎を放つ。
「はっ!? スラッシュ」
アーロは驚きながらもスキルで黒炎を斬り裂く。
「腐ってもモンスターってことか、多少はできるようだな」
剣を持つ手に力を入れる。
「本気でやってやるよ、『筋力向上』『敏捷向上』」
左手を自身の胸に当てて攻撃力と敏捷力を上げるスキルを発動させる。
アーロの職業は軽戦士。
戦士系二次職で軽やかな動きのできる戦士だ。
装備の鎧も動きやすさを重視、武器も重すぎないものを選択した片手剣。
バランスのいい職業で人気がある。
ぽむの黒炎を見てバフのかかった状態なら回避することは難しくない。
次に魔法がくれば避けてそのまま一撃で終わらせようと考えていた。
「メェェェ(深淵業火)」
ぽむは黒炎の一段階上の魔法を選択する。
ここまでぽむは詠唱を省いている。
いつもならノアが隙をカバーしてるがそのサポートがない今は威力よりも発動速度に重きを置いていた。
ここだとばかりにチャンスを見つけてアーロは一気に前に詰める。
アーロの予想では十分に避けれる範囲の攻撃が来るはずが先程よりも広範囲の炎が襲ってくる。
「くそがっ!!」
回避行動をとるものの左腕は黒い炎に包まれ、激痛が走る。
痛みで動きが止まり、その場で体勢を崩し膝をついてしまう。
しかし、一瞬でその行動が失敗だと気づく。
ぽむの右腕に魔力が集中して高熱が発せられる。
「メェメェメェメェ、メェェェ(黒き炎は灰すら残さぬ、一切合切灰燼と帰せ、『深淵業火』)」
詠唱をつけた全力の一撃。
「バッ、耐久向上」
アーロは迫りくる炎を避けるのは不可能と判断して耐久力を上げるスキルを発動して剣を逆手に持って体を守る体勢をとった。
悪くない状況判断ではあった。
むしろ的確な行動で戦闘の才能を垣間見せる冷静な対応だったが、残念なのはぽむの魔法は二次職の中でも上位に位置するだけの威力を持っているということだろう。
ぽむの持つ想像力というポテンシャルにそれを実現させるため、特別に作られた大賢者の魔導書。
スキルで耐久力を上げたとて耐えれる代物ではなかった。
深淵の業火は広場で高々と燃え上がりアーロを消し炭に変えた。
完全に炭化した体がポロポロと崩れて光の粒子に変わっていく。
プレイヤーは死ねば光の粒子に変わり、デスペナルティが課せられる。
デスペナルティになると獲得していた経験値がレベルに応じて減少する。
さらに一次職は1時間の強制ログアウトと1時間、獲得経験値量の減少、ステータス減少となる。
これが二次職になれば3時間、三次職は6時間、四次職は12時間、五次職では24時間と増えていく。
アーロは二次職だったので3時間はルキファナスの世界から追い出されることになった。
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