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1話〜10話

清掃活動

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アルス「清掃活動?」
エル「うん!今日の放課後、町のお掃除をしようってことでボランティアに参加できる人を探してるんだけど...」

3限目が始まる前、勉学に励むアルスに声を掛けて来たのは、小学生の高学年頃から馴染みのある、女子生徒のエルだった。
エルは持っていたボランティアについてのプリントをアルスに見せた。

アルス「すごい急だな...」
エル「うん...ちょっと忘れちゃってて...」

苦い笑みを浮かべるエルに、アルスはプリントを返した。

アルス「悪いな、俺パスするわ。」

意外だ。いつもの彼ならOKを出してくれるのに。

エル「え~?」

どこか調子でも悪いのだろうか、と思ったが、そんな様子もない。

アルス「ちょっと都合が悪いものでな」

何か用事でもあるのか、それならば仕方のないことだ。

エル「そっか...ごめんね、いきなり。」

と言って、エルは別の人に声を掛けにいった。

アルス「...。」

__________

午後4時。
放課後の清掃活動が始まる時間だ。

エル「とっと...え~と、うちのクラスの子はどこに...」

意外と参加者が多く、どこにどのクラスがあるのかいまいち分からない。

エル「あ、あれは...」

エルの視線の先には...

アルス「よーし、今日は清掃活動が行われるっつーことで、本日の舞台はこの町全体ってわけだ。」

前方に、ボランティアを断ったはずのアルスの姿があった。それに、その友達も数人。

エル「あ、アルス君!?」
アルス「今回の勝負はゴミ拾い対決。誰が一番多くゴミを拾えたかを競うゲームだ。」
「おっしゃ!負けねぇぞ!」「今回こそお前を負かしてやるからな!」

ただの清掃活動のつもりが、始まる前からあの男子組はだいぶ盛り上がっている。

エル「はは...」

エルはまたもや苦笑した。
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