アルス『達』の日常

すたるなぁさん

文字の大きさ
上 下
9 / 17
1話〜10話

自由

しおりを挟む
高橋先生「そしてここにフラスコを置けば、蒸留装置の完成というわけです。」

理科の授業、先生が教卓の上で試験管などをセットして、蒸留装置の作り方を説明している。
化学の高橋先生は、滅多に生徒を叱ることはなく、面白い先生で、生徒に人気がある。
その分、よくワイワイ系の男子達に絡まれている。
先生の解説は分かりやすく、授業も順調に進んでいた。

シャカシャカシャカシャカ...

どこからともなく聞こえてくるこの音を除いたらの話だが。

高橋先生「今までずっと無視してたけどさ、この何かを振ってるような音なんなの?」

と、遂に先生がそれについて触れた。
クラスメイトは、一斉に音がする方向を向いた。
そこには、なにか液体が入ったカップ状の容器を振る様子が見えた。
それを目撃した先生は...

高橋先生「サトシ!なにプロテイン作ってんだ!」

と、音を発生させている張本人に向かって、声を上げた。

サトシ「ん?」

サッカー部に所属しているサトシ。
授業中にも関わらずプロテインを作る他、音楽まで聞いており、更にはお菓子も食べている。

アルス「お前自由すぎるだろ」

と、笑いながら言う。
だが、サトシはまだ容器を振っている。
つけていたイヤフォンを外しながら、

サトシ「なんか言ったか?」

と、悪びれた様子もなく、澄ました顔で聞き返してきた。

高橋先生「こら、サトシ。授業中だぞ。しまっときなさい。」

先生が軽く注意をする。
同じサッカー部の顧問であり、彼のことを知っているせいか、呆れた様子の高橋先生。
その様子から、普段からこんな感じなのだろうと読み取れる。
そんな注意を受けたサトシだが、次の瞬間、とんでもないことを言い出した。

サトシ「え!?今授業中!?」




しおりを挟む

処理中です...