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幼少期編
おれってまさか!?
しおりを挟む5歳児のおれの頭の中でとんでも無い量の前世の情報が弾け、全身をその情報が駆け巡り、自分だけど自分じゃない、自分と同じ名前のある人物を思い出してしまったおれは…あまりの衝撃に少しの間制止していたのかもしれない
目の前で、改めて見ると物凄く美しい、まるで二次元仕様の母様が心配そうに覗き込んできて、また時間が進み始めたと感じたからたぶん軽く意識が飛んでいたんだと思う
「……………ねぇ、大丈夫?アイリス、不思議そうな顔をしてどうしたの?具合が悪い…わけじゃなさそうだし…
あ、ブラジャー何色がいいか考えてるのかしら?それとも誕生日を迎えて気持ちが高ぶっているのかしら?ふふ、それだったら可愛い悩みね」
「いえ、母様…お………私も?もう5歳なのかとびっくりしてしまぅて…?ちょっと意識が………
あの、えっと、えっとブラジャーはまだ大丈夫です…胸ないですし…はい……大丈夫です…」
やばいかもしれない
不味いかもしれない
ここは、ハニーベリー男爵家
おれの名前はアイリス!?…………どう考えてもこの響き知ってる!聞いたことある…!!よくよく見たら母様の見た目も既視感がある…!
この動揺を表に出してしまっては不味い…まずは冷静に…今世の母様と対話をしなければ!ブラジャーとかもとんでも無いプレゼントワードだけど、それどころじゃない!
「…………?
ふふ、もう5歳だなんて変な事を言うのね?
それなら、ブラジャーはもう少しお胸が大きくなってから買いましょうか…!
そうそう、今日は旦那様もお仕事を切り上げて早く帰ってきて下さるから!久々にケーキを食べましょうね」
「え!?!いや、ブラジャーは………っ…
あ…父様に会えるのは、とても嬉しいです
えっと…母様…?お……私、お部屋で夜のお洋服選んでても…良いでしょうか…?せっかくの誕生日なので…もっと着飾りたいなって…」
「ブラジャーはゆっくり決めていきましょう、それよりもお洋服ね!旦那様達におめかしして見せてあげるの?ふふ、素敵♡
分かったわ、決まったらベルを鳴らしなさいね?メイドを向かわせるから」
「はい、ありがとうございます!行ってきますね!呼ぶまで誰も入ってはだめですって伝えてくださいね!」
アイリスとしてのおれってさっきまでどんな風に会話をしてた?いつもの話し方ってどんなだった?
そんな些細な口調とかですら、若干前世の自分と混ざりあってて危ういが、本当にそれどころじゃなかった
母子感でする会話の内容おかしくない??とかツッコミを入れたいがそんな余裕なんて何処にも無かった
今、思い出してしまったこの名前がおれの知ってるあの名前の子とその世界と一致してたら…本当にやばいんだ…!!!
服を選びたいと言う理由で母様との会話をいい感じに終了し、なんとなく覚えてたカーテシー?を披露し、その場を立ち去る
カーテシーなんて前世でやった事のない事までちゃんとできちゃうし記憶までしっかりはっきりしている為、憑依ではなく、異世界転生的な状況なのは間違い無い…そうなら本当に不味い…!!!
おれの部屋には大きな姿見があったはず…!それで一刻も早く…確認しなければ…!!
前世からの情報を思い出せば思い出すほど、自然と焦る心を何とか押さえつけ、メイド達に不審がられないように…怪しまれない様に、自室へ歩みを進める…平常心を装って自室に向かうおれの足取りは軽い
なんとか誰にも呼び止められる事無く、自室に戻ったおれは、誰も入ってくれないように…しっかりと鍵を掛けてから姿見に向った
部屋に入った時点で感じる異様な既視感…自分が5年間過ごしていた自室とは違う、何処かで見たことがあるタイプの既視感を感じつつ…
一度目を閉じ、軽く深呼吸をして心の準備を整えてから…何が見えても叫んだりしないように心を落ち着かせてから…
姿見に自分の顔がよく映る位置を考え思い切り目を開けた
「……………………うっ、そだろ……………この姿………まじ…………で?」
姿見に映ったのは
目の前にある美しい装飾を施された古い姿見に映ったのは…薄いピンクのインナーカラーを仕込ませてある蜂蜜色が美しい腰まで伸びたサラツヤな髪…
アーモンド型とか言うんだろうか?なんかこう美少女特有の大きめの目、そして光を集めたような淡いピンクと金色のグラデーションが美しい瞳…5歳とは思えないツヤツヤでふっくらとした唇…更に透き通るような触りたくなるスベスベもちもちの素肌…
そしてびっくりするほど既視感のある、可愛らしいシンプルな女児用のドレスを身に纏ったあまりにも可愛い顔をした、おれの姿だった
ちゃんと男なのに、股間に付いているものだって明らからに男なのに…見た目だけは本気で可愛い…例えるなら前世の妹、あの可愛くて可愛くて可愛い愛里みたいな…
美少女の見た目をした野郎が…………おれ…………
いや、やっぱりそれどころじゃない…………うそ、………やばい…
やっぱりこの見た目、やっぱり知ってる………
知ってるどころの話じゃない…!!!!
おれは気付いてしまった、とんでもない事を……………
この世界で、おれが男であることが間違いだと言う事実…ここが普通の世界では無い事実を…………
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