魔族の嫁になった僕

たなぱ

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魔族と僕と捕虜

これからのこと

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温かい何かにまた包まれて目が覚める…レベリアの伴侶になりたいって抱かれて…また意識飛んだんだっけ?
帝魔国に捕虜として連れてこられて意識を失いまくってる気がする…僕が悪いわけではないと思いたい…
でももう捕虜じゃないのかな?



「身体は大丈夫ですか?シャル」


レベリアの声がする、また後ろから抱きかかえられて…ここは?湯気で周りがよく見えない、全身お湯に浸かるって初めてかも…これは貴族の家にあるっていう湯船なのでは…?お風呂とか話してたっけ?
贅沢な体験しちゃった…普段は川で水浴びとか身体拭くのが精一杯だったから…これがお風呂か~ちょっと感動



「ちょっとダルい?です…大丈夫…です」

「無理させちゃいましたからね…お風呂から出たら食事にしましょう」

「ご飯…お腹空いた気がします…そういえばどれくらいここに来て過ぎたんだろ…」



ぐぅ…………
お腹鳴るなんてまさか…恥ずかしい…ずっとご飯食べなかったっけ?思い出せない…
お風呂から上がったらゆっくり話そうと言われ抱きかかえられたまま湯船から出る
よく見ると風呂と呼ばれる場所は僕の家よりも広くて2度見してしまったのは内緒だ

レベリアにされるがままにバスタオルに包まれ移動する、ふわって温かい風が身体に触れると髪も身体も乾いていた、レベリア曰く、魔法で乾かしたそうです便利すぎてこわい

手触りのいいガウン?を着せてもらい、部屋に戻るといい匂いがする、部屋の中央に置かれた机に美味しそうな軽食が並んでる…
ぐぅ………お腹ならないで恥ずかしいから!!!
レベリアが聞こえないふりしててくれるのか「食事にしましょう」と僕を膝の上に横抱きにしたままソファに座る、そのまま流れるようにスープを手に取り掬い僕に差し出してくる…え???

「あの…自分で食べれますよ…?」

「私がしたいんです、嫁入りした人へ給餌するのも愛情表現です、それが魔族なんですよ?普通の事です冷めないうちに食べましょう」

魔族では当たり前のことらしい
レベリアに甘えるのは嫌じゃないので素直にスープを飲ませてもらう
見た目は普通のスープ…入ってる具材は人国で見たことがあるものなのだろうか…こくり…一口飲ませてもらって驚く


「っ!!!おいしい!」


魔族が作る料理は僕らが普段食べている野菜くずのスープに比べてお肉も野菜もゴロゴロ入ってて、凄く優しい味がする
柔らかいパンもなんの肉か分からないけど牛のような帝魔国にいる牛を焼いたものや、花の入ったサラダもとても美味しかった
僕に食事を食べさせてくれるレベリアはとても嬉しそうで胸がぽかぽかする…
ああ…母さんにも食べさせてあけだい…魔族に嫁入りしたんだ、母さん達もほんとにあの国から救ってくれるんだろうか…?


「ごちそうさまでした…ありがとう…
あのレベリア…聞いてもいい?」 



レベリアを信じてないわけじゃない、でもどう救うんだろう…それにあの戦争の日から何日経ってるんだろ…僕はこれから…


「ええ、もちろん聞きたいこと全て答えますよ
とりあえずシャルが捕虜になってから計3日経過してます。あの日の戦場は捕虜として連れ帰った後は人軍は一度撤退し現在まで新たに衝突はしていません。
そして昨晩の繋がりでシャルは既に私の番です、我が一族に嫁入りしたことになります、嫁の大切な者は私も守るべき者希望者を私が管理する領地に村ごと移動させましょう」


僕の旦那様聞きたいこと全部聞かなくても教えてくれる素敵すぎだろ!!!
こっちに移住させてくれるなら嬉しい…帝魔国がどんな所かまだ見たことないけど…きっといいところだと思う……村ごと?村ごと移動とは???

「村ごとって…?」

「新しい家を準備することもできますけど住み慣れた家がいいならそれごと転移魔法で移せます、転移魔法が得意な種族もいるので」


村ごとまるっと移動するとか魔族やばい!全部受け入れてくれそうな旦那様ほんと…ほんとさ…なんでこんなに好きが溢れてくるの…

「既にシャルの住んでた村へ密偵を送ってますから安心して下さい、王都からかなり離れていたので聖教会の結界からもズレていて魔族の干渉はバレません、落ち着いて準備から出来たら皆さんを迎えに行きましょう」


「うん!うん!ありがとうレベリアっ…!」


レベリアに、僕の旦那様に嬉しさの余り抱きついてちょっと泣いてしまった…








暫く旦那様と互いのことを話して知り合って、3日も宰相のお仕事そのままでいいのか問いかけたら、忘れてたみたいな顔をしてた…違った表現もみれて嬉しい
一応は魔帝国の王、今代の魔王様に挨拶に行かないといけないそうで…

「シャルを魔王様に見せるのは…いや誰に見せるのも減りそうで目を潰したくなるんですけど…私のシャルを自慢しに行くのは大いにありだと思う私もいて…悩ましい限りですね」

なんてこと言うの好き…!!!
人前でも旦那様って呼ぶとほんとに嫁になった気持になってドキドキしてしまうなーって思いつつレベリアが用意してくれた服を着て、抱きかかえられて黒を基調とした美しい調度品が並ぶ王城を進む
兎耳のメイドさんや全身真っ黒のよくわからない影みたいな人とかとすれ違い、レベリアと僕を二度見する不思議な人ともすれ違い一際美しい彫刻のされた部屋の前で立ち止まった

「魔王様、ただいま戻りました」

「入れ」

扉が独りでに開いて机と本が沢山ある執務室と呼ばれる所?の奥の席へ座る青い美しい角に黒髪?黒髪の内側は夜空みたいに反射していて不思議な…こちらをものすごく不機嫌そうに睨む魔族の人が旦那様を睨んでいた


旦那様は全く気にせず僕を抱いたまま魔王様?の側へ向かっていく、睨んでるよ!?その魔王様?こっち睨んでるよ!?

「おい…ちょっと待て…なんだそいつ?は?なんで人間がお前の匂い纏って……3日も俺一人に仕事させてナニしてた……?」

めちゃめちゃ苛立ってる…旦那様は綺麗系だけどワイルド系な魔王様が僕の存在にキレてる…こっち睨まないで…

「私のシャルを怖がらせないで下さい魔王様、しっかり仕事はしていますのでご安心を。
報告は書面で詳しくは渡しますが、とりあえず昨日捕虜として捕らえた者より人国についての有力な情報をと、その者が私の番だったのでこの度伴侶として契を結びました。あと伴侶の家族、周囲の人間を希望者全て私の管轄領土内に近々移住する予定なので報告しておきますね?」

「報告しておきますね?じゃねーよ!!!は?嫁?それ嫁?捕虜を勝手に嫁にするなよレベリア!おま、合意だよな?勝手に暴走してないよな?捕虜の立場で脅して無理やり番ってねーだろうな!?」

「心も身体も私とシャルは番です、なにも無理やりなんてそんな酷いことするわけありません。
大丈夫な私のシャルを他者に拷問させるのが胸糞悪すぎて私がしたくらいです!何も問題ありません!」

「合意なら…まぁ…うん合意ならいいか?仕事サボって嫁取りしてるのは…腹立たしいが…その分埋め合わせしろよ?あの国の人間が移住してくる可能性があるのは大きい、番探してる奴の取り締まりもしっかりやれよ?」

「ええ、もちろんです」

「はぁ…まったく…おい、捕虜…いやレベリアの嫁、ほんとに無理やりじゃないんだろうな?なんならギリギリ助けてやれるぞ?」


険悪な顔して話してたのにいきなり僕に向かって話しかけないでほしい…圧も目つきもこわい…怖い!ちゃんと心配してるから怒るタイプの魔王様なのか…僕の心配もしてくれるけど…僕は…


「僕はレベリアが大好きで…すごく愛してて…嫁ぎたいって強請ったんです、番になれて凄く幸せですこれからこの国でお世話になります



出会って3日で凄く愛してるってなんだよって自分に突っ込みつつも嬉しそうな旦那様とちょっと呆れ顔の魔王様の前で嘘偽りない笑顔で僕は答えた








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