魔族の嫁になった僕

たなぱ

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魔族と僕と捕虜

番外編 勇者くんは召喚される

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(洗脳、ちょっと暴力表現)




Side 勇者くん

おれは、樫野裕也19歳
平和に平凡に短大生へ通う男だ

授業が終わりバイトへ出勤しようと駅へ行ったら突き落とされて…引かれたー死んだーと思い、気がついたら神官のような人達に囲まれた綺麗な空間だった…
流行りの異世界転生?トラックに跳ねられてないのに!?電車での突き落とし事件の被害者だよ?


「「「おお!ようこそおいで下さいました勇者様!」」」


神官らしき人達が声を合わせるようにおれに向かって勇者と言う、ほんとに異世界転生しちゃったっぽい!?


勇者なのか、おれはと受け入れがたい漫画みたいな展開に言葉も出ない、ステータスオープンとかしたらなんか見えたりするのか…いや恥ずかしい


「あなた様とお会いできる日をお待ちしておりました」
鈴を転がすような可憐な声がする、声の方を見るとめちゃめちゃかわいい女の子が真っ白な服に身を包み祈るようにおれを見てくる

「私はオーランシア国、聖教会で祈りを捧げる大聖女、マーシルと申します
勇者様、突然の召喚に混乱されているでしょう、しかしどうしても貴方様に助けて頂きたいのです…!
この国は今、滅亡の危機に瀕しています。
度重なる魔族の侵略、村や町での虐殺…大切な愛しい国民が死に瀕しているのです…もう貴方様に縋るしかないのです…!!」


大聖女様というめちゃめちゃかわいい女の子がおれへ縋るようにこの国の危機とやらを伝えてくる…魔族が敵の国か…助けになってあげたいけどおれほんとに勇者なのかな?てか大聖女様の目、すごく綺麗…呑まれそう…いやいや!!


「泣かないで下さい!!!おれ、ほんとに勇者なんですか?助けてあげたいけどただの学生だったんですよ?人違いかもしれないし…元の世界に帰れるならパソコンのデータ消したいし…」
パソコンからあれなデータ消しに返してほしい切実に

「勇者様で間違いありません、貴方様から漂う美しい膨大な聖魔力、勇者でしかありえないのです!元の世界に帰るのにも魔族を倒し魔法陣を手に入れるしか方法はありません、どうか!どうか!助けて下さい勇者様!」


大粒の涙を綺麗な目からポロポロこぼしおれを見てくる…泣かないで…!何が魔力はあるんだなおれ!?呑まれそうになるから綺麗な目やめて!
じっと見てるとほんとに大聖女様の目綺麗…声もすごく綺麗…異世界やべーな



「わかりました、おれで力になれるのであれば…!」
女の子の、涙に強い男はいない!




オーランシア国に勇者が現れた記念すべき日となった、国民は驚き喜び王家万歳、聖教会万歳と声高らかに歓喜を上げる
聖教会を出て勇者が向かったのは王宮だった

美しい作りの城、扉一枚、壁全体までも光り輝き、置かれている調度品も壊したら家買えるかも??と怯えるくらい豪華絢爛な城内を大聖女と騎士に案内された
一際豪華な扉を通るとよく漫画とかアニメとかでみる玉座!The玉座!初めてみた…ちょっと感動
暫く待っていると王族と思われるので煌びやかな衣装の男性と女性が出てくる
大粒の宝石をこれでもかと身に纏い歩いてくるキラキラ王族、めちゃめちゃ豪華絢爛…全身でおいくらなんだろう…樫野裕也はバイト先の貴金属買取店視点で物事を見てしまうそんな短大生である


「勇者よ、この度は我が国に力を貸してくれるとのこと感謝する、魔族はこの国を略奪する悪しき存在一人も逃すことなく葬り去ってほしい、期待しているぞ」

キラキラ国王様がキラキラしながら言ってくる
そんなに魔族悪いやつなのね?おれ戦えるかな…痛いの嫌なんだけど…

「期待しておるぞよ勇者、妾は魔族に脅かされない国を願っておる」

キラキラ王妃様もキラキラしながら言ってくる
頑張りたいけどどう戦うの?訓練とかキツかったらしんどいんだけど…


「期待に応えられるように頑張ります、あの…どう戦うとかあるんですか?魔力あるみたいっては聞いたんですけど…」

王様への話しかけ方なんて知らないから敬語一択!!戦う方法もわからなきゃなんもできない!
そう伝えると、玉座の奥から宰相っぽいキラキラおじさんがでてきた、手には真っ赤なプレートに乗せられた何ががある

「勇者よ、これをそなたに授けよう…肉体、精神をサポートしてくれる魔道具だ、戦闘経験がなくとも訓練など行わずとも、これを付ければ歴戦の兵士のように活躍できる国宝のロストマジックアイテムだ」

とんでもないものを授けてくれるらしい…真っ黒な首輪に金色の難しい模様が掘ってある…これが国宝ロストマジックアイテム…お高そうな首輪だ…
まじまじと観察していると大聖女様が首輪を持ち、微笑む、おれへ付けてくれるらしい

「勇者様に女神様のご加護があらんことを」


カチリ…
首に真っ黒な首輪が装着される、何故だろう鍵がかかる瞬間ゾクッと背筋が凍った気がした
















オーランシア国という国に召喚されて早3日、首輪凄い!!!!自分の中にこう動けばいいみたいな想像が浮かんできて聖魔力を剣に宿したり、魔術放ったり、騎士相手に全戦全勝している…!ロストマジックアイテムすごい!

そろそろ魔族との戦闘へ投入してみてもいいのではないかと騎士様からあり、午後から戦場初体験となったのだ

初の戦場!戦闘!ゲームみたいなのかわくわくする!そう思っていた時期がおれにもありました

転移魔法で国境まで転移するとそこは地獄でした…



大型のサソリとか熊とか良くわかんないヘドロとかがどんどんオーランシア軍に向かって突進してくる…周囲には血を流しまくり息絶えまくりな味方…奇声を上げながら魔術を放ちそのうち自爆する魔術師や部下じゃなくて奴隷相手だと思いたい、味方を楯に魔族を切りまくる聖騎士などなど…地獄でした
初めての戦闘…初めての死体…初めての内臓がお目見えしている地面…むり、吐きそう帰りたい…



しかしそれは叶わなかった…ちょっと帰ろうと足を動かすが動かない、手も頭も、瞬きすら自分の意思ではできない
なにこれ????

理由もわからないまま勝手に身体が動いた…
おれが、おれじゃない動きをしている…魔族の軍勢に上空から飛びかかり、聖魔力を乗せた剣で叩き切る、魔族の真っ赤な血が飛ぶ
剣を振ると斬撃が飛び目の前の魔族から首が消える、地面に着地し地面に腕を突き立てムカデのような魔族を引きずり出し切り刻む…
少し遠くに人形の魔族が見え、斬撃を飛ばす…


まるで殺戮兵器だ
おれは動いてないのに…首輪の力?これが力?
それは樫野裕也としての魔力が底をつくまで続いた




目が覚めると王宮に用意してもらった自室だった
身を清められているのか部屋着になっている
しかし、全身が動かない、筋肉痛とも違う脱力感がすごい
瞬きするのがやっととか首輪パワーやばすぎでしょ…魔力が枯渇でもしてるのかなーいつ動けるのかなーそんな事をぼーっと考えていた



ガチャ
部屋が開くが誰が入ってきてるのか見えない
「勇者様大変お疲れ様でした!とても素晴らしい戦場での活躍!人国優勢も待ったなしですな!」
「魔力枯渇が辛いでしょうポーションをお持ちしました」
足音的に3人?声的に神官と近衛兵の人かな?魔力枯渇でこうなるのか…こわ!

返事をするにも口も動かないのでそのままいると神官達が近寄りおれを抱えて四つん這いにしてくる
魔力ポーション飲むのに四つん這いよりは上半身だけ起こして欲しいんだけど…
そう思いつつ身体は動かないのでされるがままになるしかない

神官がおれの前に何かを出してくる…神官が持ってきたものは太い管の付いた注射器のようなものだった…それで何するんですか神官さん!??!




「ぉごっ!んぐぅ…!んんっ!ぉ゙っ!!!」
身体を固定され口を開かされたおれの喉に太い管が入り込む、食道に入れようとしているけど上手く行かないのか何度も何度も喉奥を管で抉られ気持ち悪いし苦しい、吐きそうだ
身体の自由が効かないのにこんな仕打ちって…どういうことなんだよ!
なんとか喉に管が入ると胃を圧迫する程緑の液体、ポーションと呼ばれるものを流し込まれる…胃が熱い…熱い!!
「よし!ちゃんとポーション飲めましたね!勇者様あと十分で魔力は回復します、戦場にお連れしますね」







……………………は?
勇者とは何なんだろう…初めての戦場から繰り返される、首輪に動かされ魔力が枯渇すると管を使い無理やり喉奥を抉られ胃にポーションを流し込まれる…ルーティン
何度も何度も何度も…ずっと魔力枯渇状態の身体は指一本動かなくて、嫌でも苦しくても続く
戦闘が無い時間睡眠だけは許されたがポーションを飲んでいれば食事は不要なのか何も食べさせてもらえない…
勇者ってなんだよ…何度も出撃するうち首輪に動かされるおれは戦場の違和感にも気づいてしまった、オーランシア国軍は基本命を大切にしない特攻ばかりしている、自爆や自滅することも多い
なのに残虐と言われている魔族は隊長と思われる大男が部下を庇ったり戦線離脱を指示したり、時には人国兵士にポーションを飲ませて救おうとする所を見えた…

なんだよ、なんだよこれ…魔族は敵なんじゃないのか?おれは何させられてるんだ??
頭だけクリアで他は何も動かない、どちらが正義とかわからないけど魔族を殺すことは間違ってる気がするんだ…


喉奥が抉られすぎて痛い…
目の前の魔族が部下を庇い腕を失った…叫んでいる…
『囮の幻影魔獣を使い退避しろ!勇者の斬撃は食らうな!死ぬぞ!もうすぐ魔王様が到着する!拠点は捨てろ!』
『負傷者を回収しました!大佐も早く!』


魔獣…そうか、おれが戦っていた大半は魔獣というらしい、魔族の拠点に近づき斬撃を飛ばすようになると魔族は会話ができ知性も理性もあることがわかった…なんだよ…話できそうなやつらなんじゃ…ごめん、ごめんなさい…おれじゃおれを止められないんだ…

大きな者から攻撃するようにプログラムされているのか幻影魔獣と呼ばれたものを切り刻む、早く逃げてさっきの魔族達……
何日も無理やりポーションを飲まされ食事もなく、首輪に動かされ…ほんと、おれは、なんなんだ…勇者って名前の兵器じゃんかおれ…


言う事を効かない筈の目頭が熱い…視界が滲む…
おれ、泣いてるんだ……もうやだこんな…助けてくれよ…







そろそろ魔力が枯渇しそうだ…また無理やり管を入れられるんだな…もう嫌だ…








「お前が勇者か…?」
薄れゆく滲む視界に真っ黒な人影が見えた気がした




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