悪役令息はモブに愛を捧ぐ

たなぱ

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モブの正体

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キスで腰が抜けてしまった男を膝に抱きかかえ、誰なのかと質問するおれに、真っ赤になってモブですと言う男……答えになっていない…モブってなんだよ……?


おれよりも慣れてないのか、キスで疲弊している男はぐったりと息を整えている
とりあえず話せるようになるまで待つことにした
無性に可愛く見えてしょうがない男…

確認の意味も込めて、しっかりと抱きしめてみる…やばいな…体温が心地良い…抱き心地も心が癒される気がしてならない
暫く背中擦り、少し落ち着くまで耳を甘噛みしたり舐めてみたりして過ごすと男はさらに涙目になる


「ひぃ…………♡♡♡♡り、り、り、リナルド様っ自己紹介しますんでっ…!!!耳、舐めないでぇ♡♡♡」


…………急に喘ぎだした男は更に真っ赤になっていた
休ませてやるつもりがやり過ぎていたようだ






「エア.モブヴィール………学園で聞かない名の訳だ、そうか編入生か」


「そうです…先週この学園に編入したモブです…いやまさかリナルド様が起きてたなんて…………こんな…あの…モブにキスするくらいえっちだなんて聞いてないよ…………うううっ…………推しにキスされたぁ………舌入れられた…………無理っ……どんなファンサ?幸せに過ぎて死にそう………」



自己紹介
名前と編入してきたことしか、わかってない…
モブってなんだよ…お前の名前エアだろ?家名もモブヴィールだろ…?モブ単体呼びはどこから…
それに推しの意味もわからない
おれの世界で色の付いたこの男、エアはおれにキスされた事は幸せで死にそうなくらいよかったらしい…………嬉しいと思ってしまう


おれの心境では色々知りたいが、それ以上にエアともっと触れたい…どうするか考え最適な結論を出した


「なぁ、エアって呼んでいい?
あと、ちゃんと説明出来るまで耳、舐めてかわいがってるからエアのこと教えて?」



ピクリとエアは震えてこちらを見てくる、しかし反論はしてこない
色を失わないエアは終始恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして少しの接し方でくるくると表情が変わる、可愛い…おれを嫌いじゃない事が嬉しい
ちゃんとエアの事が知りたいのと、ただ触れ合っていたい気持ちが強い



拒否しないってことは肯定だと確信し、ちゃんとした返答を待たずに耳を甘噛みし、耳の中に舌を入れ愛撫を再開する
くちゅくちゅ♡ぴちゃ…♡
ビクビクとエアの身体が震える、自分の耳元で卑猥な音がするのはどんな気持ちなんだろうな?
耳まで真っ赤にしてるのに、おれを突き飛ばしたりせず、甘んじで受け入れるエアは本当に可愛い…


「んっ……っ♡エア…エア………♡耳、気持いいのな…ちゅ………♡
なぁ…?話して……?エアの事知りたい」



「ひゃっ………♡♡みみ…♡許してっ♡ん゙んんっ♡♡話します!♡話しましゅ…♡ううっ…ゆるして…、耳の中やばい…ひぃぁ゙ぁ゙ぁ゙♡ぼ、ぼ、ぼ、僕は…………♡」




耳元で囁やき再び舌を入れ舐めしゃぶると喘ぎ、震えながらエアは自己紹介をしてくれた



自らをモブと呼ぶ彼の正体がわかった

彼の名前はエア.モブヴィール
おれと同い年の高等部3年、今年卒業を控えているはずだが、特例で留学と言う形でこの学園に編入してきたと言う
この時期の編入に違和感しかない

詳しく聞くと、彼は隣国の人間だった
ルディア国の辺境伯の嫡男、卒業後継ぐ予定なのだと…ルディア国とは最近国交が盛んになり始めた友好国だ…そこの辺境伯嫡男か…

隣国の学園を卒業もできたが、その前に推しである、おれに会いたいその一心で、今を逃せば一生後悔すると家族を説得し、この時期に転入してきたらしい…
そこまでしておれに会いたい…?おれとは初対面の筈なのに何故…?推しという言葉の意味もわからない……
こんなにもエアが可愛く見えるのは何か他に理由があるからなのか…?



「エアは、何故…おれに会いに来たんだ?まだ隠してることあるよね…?推しって何?今を逃したら後悔したのはどうして?」


「ううっ…♡それは………………ひんっ♡リナルドさまっ♡耳の中ちょっと休憩させて…♡♡はっ…………んぅ…なんでこんなきもちいいの………………んっ、ふぅ…ふぅ……
話します…ちゃんと…………リ、リナルド様…何聞いても、僕を変な奴だと思わない…?ですか?」



休憩したいと言われて少し寂しい気持になりながらも、隠してることも話してくれるならと耳から舌を抜く、異常なまでにエアが欲しくて仕方ないおれかがエアを変な奴だと思うことはあるのか…?
……………………絶対にないな
秘密を教えてくれたら、おれも秘密教えてあげる
そう囁くとエアは真剣な顔でこちらを見て話し始めた


「………………あの、実は僕、前世の記憶があるんです…過去の生きていた記憶に今の自分が塗り替えられる感じで生きているんです…
その前世の記憶でリナルド様は僕の推し………推しっていうのは皆に勧めたいとか存在自体を尊くなんかこう…?みんなで崇拝してるみたいなそんな感じ意味です…

リナルド様は僕が前世でプレイしていたゲームのキャラクターの一人なんです
BLゲームって言う男同士の恋愛を描いたゲームで、リナルド様は悪役令息として王太子殿下と恋に落ちる神子様を妬み、嫌がらせをして最後は断罪される…そんなキャラで………
でも僕、リナルド様の見た目も性格も性癖に刺さってて…!ずっとグッズ買ったりして推してたんですよ!!!
だから、前世の記憶が戻った時にこの世界がBLゲーム、『ガレリナの箱庭』だと気付いて…断罪される前のあなたに会いたくて…できたら断罪される未来から救いたくて………この国に留学って形でねじ込んできたんです…
あっ、そのBLゲームっていうのは異世界の神子様が好きな相手を選んで悪役に負けないで幸せを掴むみたいな、そんなやつで…僕はそのゲームで卒業式のエンド次第でちょっと出るモブです…モブっていうのは空気みたいなおまけみたいな?はい………

あの…変なこと言ってすいません…
それが僕の秘密です……………………」



エアの言葉が脳内で繰り返される

この世界がゲームの………世界?
生まれてから見てきた灰色の既視感を思い出してしまう…既視感のある光景…流れが決まっている展開…
誰かの物語を追体験するような…
神子様を妬み嫌がらせするおれに対しての王太子殿下の態度、話の内容、どうしようもない既視感…







おれの灰色の世界の原因はこれかもしれない







「エア…おれの秘密も約束通り聞いてくれるか…?」


エアが不思議そうに頷く、幼い頃両親に相談したが信じてはくれなかったおれの見えている世界の話
エアはエアはおれを信じてくれるだろうか…?


「おれは、幼い頃から誰かが一度見た出来事の連続の世界で生きているんだ…新鮮に感じることのない先がわかってしまうような決められた誰かの人生を見ている………そんな気持になる世界…
全てが灰色に見える世界で…おれは既視感と呼んでいる…

その灰色の世界で…エア…お前だけが違うんだ
エアだけ色が見える…髪も瞳も肌の色も…エアだけがおれの灰色の世界で唯一色を持っているんだ…

おかしい話だと思う…でも………どうしようもなくお前が愛おしいって気持ちが溢れて…隣国の留学生相手に……………キスとか…耳とか舐めてた…ごめん…」




自分の話しをしていくうちに冷静になってきた
隣国の留学生、貴族相手に、初対面相手に……………
貞操概念云々を王太子殿下に言える立場じゃない事をしていた…下手したら国際問題だ…


「そそそ、そんな悲しい顔しないでください!リナルド様!大丈夫です!なんかもうファンサ感覚で大丈夫です!
ゲームでのリナルド様を投影してしまってるのかなって感じる寂しい世界でこれまで頑張ってきたあなたはすごいです!
なんで僕だけ色があるんだか知りませんが…………異世界転生特典?まぁ、とにかく!気にしないでください!
あの……………あのですね…………リナルド様にキスされたり舐められたりするの…………どうしていいかわかんないくらい気持ちよくて全然もっとして欲しいとかそんな気持になってるんで!
とにかく大丈夫です!嫌いじゃないですよ!」



落ち込むおれを励ましてくれるエア…………
国際問題にしないどころか受け入れてくれる気配すらある…キラキラと灰色の世界で輝く色がきれいだ…
本当はもっと触れたい…もっとエアをおれのにしたい…
膝の上で抱き合ったままのエアの項に顔を埋める
嫌なら嫌って言ってほしい…エアと会ったおれはもうこのきれいな色のある世界無しじゃ生きていけないくらい欲しているんだ…




「エア…………おれがもっとお前に触れたいって言ったら…嫌いになるか…?
おれは…たぶんお前がいないとだめな気がする…足りないパーツが埋まる感じがするんだ…
キスしたい…抱きしめあったまま過ごしたい…おれの目にエアを映しておきたい……………」


ぎゅっ……………
弱々しくおれを抱き返してくれるエアは恥ずかしそうに答えてくれた


「嫌じゃないです…リナルド様のこと嫌いじゃない…あなたの色になれるなら嬉しいです…
キスとか…あの………気持ち良すぎて…癖になりそうで…せ、責任取ってください…………」








照れ隠しにこちらを見るエアはモブとは思えないほどおれの心に突き刺さる可愛さをしていた















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