悪役令息はモブに愛を捧ぐ

たなぱ

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知らない結末





目が覚めると、見知った天井が広がっていて…おれは何故か実家の自分の部屋で寝ていた

学院にいた筈なのに何故…?大舞踏会はヒロイン♂はどうなった、?エアは無事なのか…!?
誰かを呼びたくて起き上がろうとするが、身体が拘束されているかのように重く、動けない

怪我をしているわけじゃない、痛みや苦痛は無いのになんで動けないんだ…?
理由もわからず必死に重い身体を無理矢理起こし、エアを探しに行こうとしてベッドから落ちた



「今の音なんですか…!?!リナルド様!?」

「リナルドどうした!?!」


ベットから落ちた影響で背中を床に打ち付け、身体が重くて動けずにいるおれの部屋に、大きな物音を聞きつけたのか、エアと父様が入って来た
無理をして身体を動かしてはいけないと父様に怒られて…
エアは変わらない可愛い顔で、心配そうにおれを抱き起こしてくれる…エア、無事だったんだ…



よかった………



あの日、気を失ってからずっと眠り続けていたと言われながら、父様とエアに移動を手伝ってもらい部屋のソファに腰掛ける

みんな気絶したと思っていたが、おれだけが気絶したのか…?ヒロイン♂は、偽りの神は…ゲームの世界はどうなったんだ?
二人はおれの不安そうな顔を見て…あの日、聖夜祭で起きた出来事のその後を教えてくれた




「リナルド様、全部…全部終わりました

だから安心して今は休んでください…大丈夫ですから…僕の知ってるあのゲームの結末じゃない、僕も知らないエンディングを迎えたんです」



あの日、おれが見て聞いた人影は幻覚じゃなかった
エアにもあの黒髪黒目の人は見えていて声が聞こえて…声に従って二人で場を闇で埋め尽くし、ヒロイン♂と偽りの神が出すヘドロのような光を全てを喰らい尽くす事に成功したのだという

その時点でおれは気絶し、ヒロイン♂は魔力を失い白目を剥いて倒れた
その瞬間、学院に何故か入ることのできなかった騎士団が入れるようになり大舞踏会の会場に踏み込んでヒロイン♂やロベール殿下達を拘束したらしい


国王陛下の前で、国を混乱に陥れようとした大罪人として現在ヒロイン♂は地下牢に囚われている
ロベール殿下達はまるで抜け殻のように「ソラトの為にソラトの…」など同じことを繰り返しており、意思疎通ができない事、魔封じの枷をされ貴族牢に居ることを教えてくれた

あの場に現れた神のような何かは人の心を魅了し、精神を汚染すると、実際にヒロイン♂から漂っていたあのヘドロのような魔力を鑑定しその危険性も確認したと


もう、ヒロイン♂が地上に出てくることはない
魔力を失い、偽りの神も消えたと思われてはいるが、どのような影響があるかわからないため一生地下牢で幽閉されるのだという
詳しい罰やおれたちが受けてきた誹謗中傷のような状況、それを記録してきた証拠に対する賠償等は今後話し合いがあるらしい



ラドラ様もレヴィル様も無事で今はアークランド公爵家で客人として泊まっていること
あの日、王家から王宮でもてなしたいという声にレヴィル様がロベール殿下達を収容している場所にラドラ様を置いておきたくないと、家に来ることになったとか…色々あったみたいだった
おれが動けないのはヒロイン♂が出してたあの光のヘドロ、あれを人間であるおれが取り込み過ぎた為に、闇と反発し擬似的な魔力枯渇のような状態になってる…
暫くはスプーンすら持てないと言われた


色々な話を聞いているのに、そのどれも頭に上手く入ってこなかった…
エアがおれの隣に居ることだけが何よりも嬉しくて…国王陛下が任務の報酬とかも言ってたけどどうでもよかった


「体調が戻ったら国王陛下に謁見に行かねばならないが、それまではゆっくり休みない」

「え、エアとくつろぐ時間が減るじゃないですか…、謁見行きたくないんで父様任せました…?」



動けないからと、ぐったりとエアに全身を預けたおれがそんな事を言うから啞然とした二人はそのまま腹を抱えて笑い始め、謁見に行くのも良いことがあると、報酬にエアとの即婚姻を求めてみなさいって父様の素晴らしい案に乗ったんだ







…………………
……………
………





「リナルド様が動けない間のお世話は僕に任せて下さいね!メイドの皆さんに聞いて色々リナルドが起きるまで学んでおいたんです!」

「ほう………ラドラ、お前もちょっとメイドに学んで俺の世話をしてみるか?人ではないが俺もあのヘドロを食いすぎて体調不良なんだ実は」

「……………っ!!レヴィル様、冗談言ってないでリナルド様のお見舞いに来たんですよ!そ、そう言うのは私の部屋に帰ってからにし、しましょう!

リナルド様、お身体は大丈夫ですか…?」



父様達との話を終えて、おれが起きた事を知らされて家に泊まっている二人もお見舞いに来てくれた
やはり、元々の存在自体の出来が違うからなのか、あのヒロイン♂の魔力を食らってもレヴィル様は全然平気そうにラドラ様を抱きかかえている…

エアがお世話してくれるって素敵な提案に喜びつつ、とりあえずは無事に事態が解決した事を皆でお祝いした
料理長がおれの為に色々作ってくれていたことが嬉しい、自室のテーブルに料理を並べ、ソファでエアに支えられながら皆で乾杯する
身動きが取れないおれの手をグラスごと握り、乾杯まで手伝ってくれるのが可愛い…

動かないのが身体だけでよかったと、料理を食べさせて貰いながらあの日の事、おれが気絶した後の事を話し合った



「最後のあの人達が居なかったらたぶん、おれはヒロイン♂の魔力に負けてたと思うと少し怖いが…これで本当に終わったんだよな…?」

「ああ、確実にもう大丈夫だと俺が保証しよう
異質な違和感も気配も感じない…この世界が書き換えられることは無い

……………………両親が、兄弟が愛したこの世界を共に守り抜いてくれた事に感謝を…
俺一人では成し得なかった、本当にありがとう…」



数千年前からこの世界を守ってきた聖獣様の家族…その最後の生き残りであるレヴィル様
聞かなくても何故か、あの日助けてくれた黒髪と銀髪の人物達がレヴィル様の関係者なのだとわかる

なんでおれの中から出できたのか…それは不明だが…レヴィル様があえて話さない事を考えると、何かあるのかもしれない


その日、夕刻には父様達も交えて晩餐会も開かれた、勿論おれはエアの介護を受けながら料理を食べて…そして一緒に介護の為にお風呂も入って、一緒のベッドで眠りにつく…

エアの寝顔を見てると実感する…
おれの既視感にも無い、エアの知るゲームの結末でもない、これから先に何が待っているのかわからない…そんな日々が始まった…と
















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