離縁しようぜ旦那様

たなぱ

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冷遇妻編

嫁いだ経緯

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夢の中で都合よく何故こうなったのかと思い返す事ができた
これはきっと事前知識としてお前を愛することは無いって状況を知っていて、さらに旦那様を別に好きでもなんでもないから冷静だった事も関係しているだろう…たぶん


おれの名前はリデン.ハミルトン
レラージェ国、ハミルトン公爵家に生まれた次男、中肉中背の至って平凡な次男、何不自由無く、将来は兄が継ぐ公爵家を共に支えるか何処かに婿入するものだと思って過ごしてきた

そして、家族には秘密にしているがおれは異世界転生者、磯野司でもある
これは七歳の誕生日に嬉しさのあまり階段から落下し、盛大に全身を打ち付けた痛みで思い出した生前の名前、そして異世界で生活してきた記憶も引き継いでいる
精神年齢が前世分足されてしまい子供らしくない子だとよく言われたものだ



生前も今世もおれは男
生まれてこの方ずっと男のおれには、しっかりと股間にブツも生えている、旦那様もこんな対して美しくもない男を抱くのは嫌なんだろうと可哀想に思えるほどだ
しかし、何故男だ男だと言いつつ嫁になったか…それには深い事情がある…



おれの祖国レラージェ国が此処、隣国である獣人の国、ドラレイド帝国と結ばれるはずだった同盟が痴情のもつれによりなんか盛大に悲惨な事になり色々あったから

その色々に巻き込まれた結果、おれは男の身でありながらドラレイド帝国の辺境伯であり、国防総司令官である男…フリード.アデルバイト様に嫁ぐ事になったのだ…



今でも思い出せる…あの日の事…目の前で繰り広げられる痴情のもつれ…いや、婚約破棄現場…
色々あったなでは済まされないくらいおれも、フリード様も被害者なのだ





遡ること数ヶ月前、おれの目の前で珍事が起きた事が全ての始まり…






「メニラ.ドラレイド!!貴様との婚約を破棄する!我が国の聖女を害した罪は重いぞ!恥を知れ!」


声高らかにそう宣言したのはレラージェ国の第二王子だ
ドラレイド帝国と国との結びつきを強くするために政略的に結ばれていたお相手、婚約者であるドラレイド国の姫を自身の卒業パーティーで断罪する珍事

第二王子の言う聖女とは強い光属性を扱うレラージェ国にとっては貴重な存在、しかし他国の姫よりも優位かと言えばそうでは無い
しかし、その会場にいた者全てが、何してんだよ第二王子!!と思うが、思うように動けなかった

シクシクと泣く聖女の名前はなんだっけ…忘れたが、そんな自国の聖女を庇いつつ、第二王子は大きな声でやれ教科書を破いただの、ベランダから突き落としただの階段から背負投げしただのメニラ姫に色々言っていた気がする…


そもそも獣人と婚約するという事実を第二王子は認めたくなかったのかもしれない
周囲のヒソヒソ話から、メニラ姫と婚約していながら聖女と仲良く行動する場面が至る所で目撃されていたらしいのだ

せっかく留学までしてレラージェ国を第二王子を知り、互いを理解しようと努力したメニラ姫が余りにも不憫で、可哀想になったのを覚えている



その、場面をみて普通だったら大事件だと考えるだろう…しかしおれは、おれだけは異世界から転生してきてしまった前世持ち
ざまぁ現場に出くわすなんてと一人冷静だった



既に学園を卒業しており詳しい事情はわからない…今日は妹の卒業パーティーをエスコートするために着いてきただけのおれには、目の前の断罪劇に関する情報を周囲のボヤキでしか獲ることができない

しかし我が家は公爵家…父上はこの国の国防大臣…
このまま行けば戦争の火蓋が切られそうな状況を見て見ぬふりはできなかった


妹へこのあと入場する予定の国王陛下に早く情報が行くようにと、別室に控えている両親に伝言を頼み
この場は何とか濁そうと前に出たんだ

なぜ、この空間で一番偉いのがあの第二王子なのだろう…いや、王家だからそうなんだけど…
通年通り最初は卒業生だけでの時間を過ごしてねっていう粋な計らいが裏目に出まくっているよ学園長

ドラレイド帝国から戦争なんてされたら焼け野原なのを理解してないのは第二王子だけだろ?たぶん



不敬でもいい、時間だけ稼げれば
そう思ったよな…あの時、そしてどうなったんだっけ?……………ああ、そうだ



事態が斜め上に突き進んでしまったんだ…





「誠に申し訳ございまさん、第二王子殿下、発言を失礼します
この度はご卒業おめでとうございます…しかし、晴れの場で他国の姫を断罪するのはいかがなものでしょうか…?込み入った話は国王陛下を含め別室で対応を推奨します」


異世界転生人間に素晴らしい貴族の言葉遣いがこんな場所で出てくる訳が無いんです…訳、こんな事してると駄目だよとりあえず国王陛下来て怒られてくれない!?第二王子!!

を、丁寧に伝えたつもりだが…駄目だった


「貴様ー!!!聖女であるマリアが受けた非道な行いを今、罰せず後回しにしろと言うのか!?
メニラを庇うなど本当にこの国の国民か!恥をしれ!!!」

「その人は!メニラ様は私に酷いこといっぱいしたんです!形見のブローチだって壊されて…あたし、あたし……ひどすぎるよぉーーーううっ……」

「マリア!泣くな…すぐにでもその獣を重罪で捕らえてやろう!国の恥も一緒に牢へぶち込んでくれる!」


国の恥はそちらですー!!なんて事は言えず、メニラ姫を背に庇いなんとか言い訳しながら時間稼ぎをするおれはとても可哀想だった
もっと可哀想なのはメニラ姫だけど…

証拠らしい証拠も挙げずに何を言ってるんだろうこの第二王子…と聖女…
馬鹿と馬鹿が奇跡の出会いを果たしてしまったのかもしれない…国王陛下、この国大丈夫ですか?駄目だと思いますけどこれでいいんですか?


背後で怯えるメニラ姫を庇いながらそんな事を考えてしまう
揺れる猫耳可愛いじゃん…猫の獣人と言っても本当に獣って訳じゃない…獣にもなれるけど人に近しい姿で第二王子を慕おうとしていた美少女が泣いてるのは心が痛かった


こんな駄目王子と政略結婚なんて可哀想すぎる…ほんと被害者じゃん…そう思いつつどれ程、時間が経過しただろう…
事態はやはりざまぁで終焉を迎える事になる






「第二王子、及び聖女を地下牢へ幽閉せよ」




国王陛下が到着し、その一言で第二王子と聖女はおかしい、間違ってると叫びながら兵に引きずられて退室した
後は王家で賠償とかもろもろ頑張ってくださいと、おれも退室する筈が、そうはいかなかった事が運命の分かれ道だったのかな…


そのまま別室に連れて行かれたおれは取り調べの様な物を受け、そのまま王宮に滞在を余儀なくされ…気がついたら知らない所で事が進んでいた

そう、何故か、何故かおれはメニラ姫を助けた騎士として金一封を頂くわけでもなく、どう考えたら褒美なのか分からないが、褒美にフリード.アデルバイト様へ嫁ぐ事を決められてしまったのだ


一度も合ったことの無い相手、名前だけは父上経由で知ってはいたが…実質知らない人…
ドラレイド帝国、国防総司令官…通称…鮮血の人狼閣下とか呼ばれている相手

その男に嫁ぐ…何故おれが?男なのにと拒否は出来ず、さらに時だけが過ぎ…レラージェ国を出国する時に父上や母上は泣いて苦痛な表情を浮かべて…すまないとおれを送り出した



詳しくは知らない…教えて貰えなかったから
だが、ドラレイド帝国は第二王子と聖女を、レラージェ国を許せなかったのだ…そこにメニラ姫がどう思っていたかはわからない…しかし、実質人質としておれはフリード様に嫁ぐ事になった



その結果が『お前を愛することは無い』である



そりゃそうだよ…急に男と結婚しろだもんな
だっておれたち初対面だし…相手おれだよ?可愛げも何もないしおれ…
おれもフリード様も被害者と言っていい、ならば被害者同士せめて仲良く普通に同棲くらいはしたかったな…と思った所で深い夢の中へ誘われてしまった













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