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冷遇妻編
本宅にいるモノ
しおりを挟む一言で現状を表すと暇だ…暇も冷遇なのかと思うほどに辛い…さらに旦那様には相変わらず会えない
つまり、おれの冷遇放置生活は続き、暇なのが変わらないということだ
とりあえず暇で暇で暇だよぉ…しんどい
昨日寝る前も暇だと言った気がする…一昨日も…!
だってほんとに暇なんだからしょうがない
本棚にあった本はもうとっくに全て読んでしまった、すでによくわからない言語の辞書まで3周している程読んでいる…毎日何もすることがないのが苦痛過ぎる…掃除用具もほとんど無いからひたすら掃除というか…それ以前に何処まで触れていいかわからないのもあって暇つぶし大掃除もできない
冷遇嫁生活なのはもう受け入れよう、これが運命だ、しかし…暇なのはなんとかしてくれないのか…?
毎回の食事と入浴…それに伴う料理と掃除くらいしかやる事がない…食べては寝て…食べては寝て…そして食べては寝る……
これでは立派に横に育ってしまうよ?いいの?一応旦那様全然見に来ないけどさ、おれが旦那様3人横に並べた感じになってもいいの?
愛することは無い…だからこそ放置されているのか…それともこの放置事態も冷遇対応の一環なのか
うさ耳メイドは食事など運んではくれる、しかし話し相手にはなってくれない
必要性のある会話はなんとかしてくれるけど、それ以外は声をかけても無視!清々しいほど無視!その大きな耳はなんの為にあるんですか!
「寂しい…」
そう、呟く言葉はおれ以外が存在しない室内に虚しく響く
ほんとに人恋しくなってくる…せめてなんか話し相手ほしい…罵倒でもいいからもう少し会話して欲しい…今なら変態とか言われても喜ぶ自信がある、それ程この別邸生活は心を蝕む寂しさで溢れてるんだ
人気が恋しくなると情緒不安定になるんだよ…知ってる?
この別邸から出れないのであれば、せめて他にこの世界に人って居たんだなと感じたくなってきた
出なければセーフ、室内から覗く分にはセーフ!そんな事を心の中で唱えながら本宅が見える窓に椅子を持ちながら移動する、人間観察って言葉があるくらいだこれはバードウォッチングみたいなもの!鳥見ないけど!
今日のお茶はバードと言うなの人間…獣人の皆さん観察しながらにしようと紅茶と机も準備し、人気を求め窓の外を眺めてみる、勿論視力強化と聴力強化魔法を掛けておれが双眼鏡みたいな気持ちでしっかりと…これはやましい気持ちは一切ない、盗聴盗撮ではない、これはバードウォッチングの派生である
暫く窓の外を見てたら感動してしまった
ああ…人がいる…ちゃんと人いるじゃんこの世界…獣人の皆さんいるじゃん
馬耳生えた庭師みたいな人とか猫耳生えたおじいちゃんとか…うさ耳メイド他にも居たんだとか…窓の外に見える獣人の人は動いてて、楽しそうに会話しててとても羨ましいと思ってしまう
魔法のある世界ありがとう!声までなんとか聞こえるのだからほんと最高の世界だよな…
しかし…いいな、楽しそうだな…おれも誰かと一晩中語り合いたい
紅茶を啜りながらいいなと眺めていると、ふと…どう見ても使用人じゃない綺麗な女…?いや男が見たことないメイドを連れて屋敷の入り口にやってきた
なんとかギリギリ聞こえる程度だから全ては聞こえない…しかし大体の内容はわかる
『ねぇ、旦那様早く戻らないかな…お腹の赤ちゃんも寂しがってると思うの
早くおかえりなさいのキスしたいね』
うううううん???
今、なんて言った…………?
旦那様?赤ちゃん?キス……?
おれが嫁いだフリード様以外にこの屋敷旦那様いるの?いや、居ないはず…当主フリード様と愉快な仲間たちだったはず…
これまで独身…って話は聞いたこと無いけど…既に妻がいたのか…?赤ちゃん作り済みなの!?男の何処に!?
まさか、おれは二人目の妻なの?二人目の男なのか…?フリード様男好きだったの…?
そんな…おれはなんの為に嫁いできたんだよ…これじゃあ本当に愛してもらえない、おれの居場所なんて無いじゃないか…既に妻が居たなんて、悲しい、辛い…愛されたかった………
なんて思う事はなく
まだ知り合い未満の書類上旦那様が何人妻を持っていようが、何人子宝に恵まれていようがどうぞご自由に!って気持ちだけど…
既に家庭があるならおれ、妻じゃなくていいじゃん?なんで妻なんでしょうか旦那様!?
隔離され冷遇されては別にいいよ、時々楽しいから、けどさ?こんなに暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇なんだよ?旦那様???こんなに暇だと仕事しかしてこなかった定年おじいちゃんをこの若さで体験するよ?おれ!!ほんと暇過ぎて認知症になったらどう責任とってくれるの?
なんかもう、離縁してぇ…別に旦那様嫌いとかじゃないけど、知らない人だし…それよりも離縁して人質という名の使用人になりたい
ブラック家政婦でもいいよ、おれすげー働く…本当に暇過ぎて、狂いそうになるくらいならひたすら仕事していたいんだもの…
暇過ぎてちょっとネガティブになってしまう
あんなかわいい男の奥さんいたらさ、おれなんて抱きたいと思わない訳だよな…おれ、初夜の準備だって羞恥耐え忍んでさ…ほんと、とんでもない所洗われたの無駄過ぎじゃん
思い出される尻への執拗な攻撃を思い出し、何故か涙が出る
おれの尻可哀想だと、そんな涙が溢れて止まらなかった
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