【書籍化進行中】悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

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乙女ゲーム編

怪しい女

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乙女ゲームが始まったと思ったが、レオンハルト殿下やみんなの前に現れたのは聖女じゃなくて怪しい女だった

え、乙女ゲームのヒロインは何してんの?
そう真顔で思いたくなる程、連日攻略対象であるみんなの下には怪しい女が日替わりで出没しているようで、教室だったり、多目室だったり…出会う場所は様々…

ふと気が付くと落ち込んだり、真っ青になったり?すごく冷え性になったりと大変そうな事態だと感じる



どんなふうに怪しい女なのか、ものすごく気になって詳しく聞くと、そのうちルディヴィスも出会うから…と、やばいポイントを詳しく教えてはくれるけど怪しい女が誰がまでは教えてくれないのだ
歴史ある素晴らしい学園で怪しい女扱いされる存在とは一体どんな女なのだろうか…?


そして、乙女ゲームの流れはどこに行った?
マイケルがいいところを全て持っていった、オープニング映像のワンシーン…あの場で地面に転んでいたのは確かに聖女だと思われる美少女だった…顔は遠目で見ただけだが、すごく可愛い子…後ろ姿は完璧にヒロインだと思ったし、それにタイトルコールが頭の中で響いたからヒロインだと思ったのに…

なのに、居るはずの聖女は攻略対象者と初めましてな接触をせず、怪しい女が攻略対象に恐怖を植え付けている…そんな日々が続いている

ヒロインほんとにどこに行った?辛く悲しい過去を救われるはずの皆が逆に、変な女でトラウマ増えて大変な事になりそうだけど大丈夫か…??



そう、考えるが…この乙女ゲームの世界で本当にモブなおれには何もすることはできない、ヒロインな聖女様は1年、おれは2年…

この国は聖女様を大切にしているが貴族全体で囲うなんて事はしない、無駄にプレッシャーを与えてどうるんだという配慮からだ

国と契約したお勤めを行う成人までは王家と教会関係者以外、各家の当主以外は聖女様と会話をする機会もほとんどない…静かに適切に馴染んで貰って見守るのが基本…
学園で同級生として交流はあっても、他の学年から「やぁ!聖女様!よろしく!ちょっと知り合いになろうよ?お茶する?」なんてグイグイ囲みにはいかない
そんな現状で、本当にモブであり、全く聖女様視点から面識が無いおれが気軽に会いに行ったらそれこそ変質者でしかないのだ


…………あれ?聖女なヒロイン様はどうやって攻略対象者と仲良くなっていったのだろうか…?クソ妹の乙女ゲームプレイ画面を必死に思い出してみる

あのゲームには各個別に攻略対象者に好感度が設定されていて、会話の中で分岐の選択肢が現れ、正解を引くと好感度が上がる…そんなシステムだったような気がする…

後は、学園内にいる攻略対象者に聖女から接触していた気もする…中庭だったり、鍛錬場だったり、学園内の教会だったりと攻略したい相手がいる場所が選択肢に登場してたような…
それを聖女が選んで遭遇して話しかけ、交流が始まり知り合いから友人、そして好きという気持ちを育んでいく

たしかそんな流れだったよな…
あと、ヒロインな聖女様はマイケルにシナリオと言っていた
それは異世界転生者か、このゲームのプレイヤーとして迷い込んだか…乙女ゲームの智識があると思っている
だからこそ、率先して攻略対象者に出会い、シナリオを進めていくと思ったのに頑張ってるのは聖女様では無く怪しい女だと言うのだから恐ろしい


何処から現れたんだよ怪しい女…老若男女誰にでも優しい気がする攻略対象者な皆におっかないとか、怖いとか言われるその女が誰なのかとても気になって仕方ない…


でもな…去年まで怪しい女出現の話は聞いてないからどう考えても1年に居るんだよな…
2年の先輩、更にはサングイス公爵家っていう看板が邪魔をして1年の教室に忍び込むのは得策じゃない気がする…おれが怪しい男にエントリーしてしまいそうでなんか嫌だ


ヒロインの変わりに頑張る?怪しい女は誰なのか、そのうち会うっていつ会えるのか…ちょっと楽しみに思えてしまうのは好奇心からだろう


うーん…聖女なヒロインはゲームの記憶がありつつ動かないとなると、いい子…なのかな…?
シャルティが悪役令嬢としてゲームに乱入するのは攻略対象者とヒロインが友達になってからだ

しっかりと攻略対象者と交流を終えるまで出番はなかったはず…赤の他人、顔見知り程度で近寄らないで穢らわしい!なんて言ってたら悪役令嬢がやべー女になってしまう
攻略対象者の過去スチルの一部で鞭持ったり、血濡れだったりやべー悪役令嬢は登場してたっけ…?
何度も何度も何度も何度も何度もクソ妹にゲームの内容見せられてきたけど、夜勤明けだったり、連勤明けだったり…睡眠不足で倒れそうなおれの頭にはしっかりと乙女ゲームのシナリオなんて入ってきてない…
繰り返し聞かされて何となく覚えてる歌のようなそんな記憶、驚愕だったり脳裏に焼き付くような展開以外はほんと必死に記憶を手繰り寄せて思い出している状況だ


皆が幸せになる事が一番…寂しさはあるがこれは決められた運命…寂しいけど、ホントは寂し過ぎるけど…
まだ乙女ゲームは始まったばかり、ヒロインはこれから皆を救うのかもしれないと思い直し、とりあえず怪しい女に早く出会いたいな、と思いながら本日の楽しい怪しい女報告会に耳を傾けた






数日後、ある事件が起きるまで








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