【書籍化進行中】悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

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乙女ゲーム編

マイケルのため息

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俺の名前はマイケル.ベルドット
一応ベルドット侯爵家の五男という経歴を持つ、自由気ままな冒険者生活を夢見た男だ
貴族なんて自由じゃないと家を飛び出し、五男くらい居なくてもどうとでもなるだろうと市街で冒険者登録して地獄を見たんだ

人に仕えられて生きていた俺は、何も知らなかった
見た目だけで何も取り柄もない愚かな男だった事に…
冒険者に登録してすぐ、速攻騙され、悪そうな奴らに捕まり、身ぐるみを剥がされて魔物の餌にされそうになった時その事実を知って…もう駄目だと諦めた瞬間………俺は運命的な出会いを果たしたんだ


そんな絶望的な状況の時に救ってくれたのがサングイス公爵家当主であるロッグリット様
目の前で俺を喰らおうとしていた魔獣の群れを炎で焼き払い、文字通り身包みほんとに剥がされて裸の俺に毛布を掛けてくれた…


「ベルドット侯爵が心配していたよ?危なかったね…探し出せて良かった、大切な家族を失うのはとても辛いことだからね…
自由に暮らしたいなら私の家で従者になりなさい、ベルドット侯爵からも既に許可は得ている」



(か、かっこいい……!!!)



父上にも撫でられたこと無いのに、成人して初めて頭を撫でらる経験をしてしまった俺はロッグリット公爵様にとんでもなく憧れ、従者にしてくれるという言葉に即座に頷いた
この国の宰相であるロッグリット公爵様は文武両道、父上と昔から交流があり、冒険者になると家を飛び出した俺を探して見つけられずに泣きつかれたんだよとサングイス公爵家に向かう馬車の中で教えてくれたのは今でも思い出せる衝撃だった


家族に心配をかけた悲しみと、自分の愚かさを実感し、ベルドット家でちゃんと謝罪して…あの日から俺はサングイス公爵家に仕え始めた
今では全力で骨を埋めるつもりでいる、従者生活は素晴らしく最高だからだ


そんな俺も今年33歳になる…
俺の見た目は多く見積もっても20歳だろう、自分で言うのもなんだが顔と肉体だけは最高に整っている
おじさんだと年齢を言わなければバレないほどに、だ…


そんな俺の長年の悩み、「女性に優しく最高の紳士であれ」という、九人の奥様を抱えた過去の大旦那様から始まったベルドット侯爵家の家訓が染み付いてて…本当は女性苦手なのに女性に優しくしてしまう事である
この顔を相まって、すげー声を掛けられるが本心は嬉しくない、しかしベルドットの血が優しく丁寧に接しなければと騒いで実際接してしまっているのだ
結果、告白もされるし既成事実を求められ、宿に連れ込まれそうになったこともある…怖い怖い怖い
俺以外の兄弟は皆、女性に優しくしてもそうはならないのは女性が好きだからだ…でも俺は女性が好きじゃない…


今思うと、その点が自由じゃなくて…だからこそ家から逃げ出したかったのかもしれない


過去にロッグリット公爵様にサングイス公爵家のメイド達も怖いかもと、離したが…優しくするほど柔じゃなかった…
男女それぞれ性格イケメンな武闘派だったのだサングイス公爵家!!女性は可愛いじゃない、かっこいいと思ったの初めてだった
そんな家の一員になれて本当に良かったと思う




そんなこんなで…時々、ベルドット家の血が騒ぎ野生の女性に優しくしてしまい、ああやらかしたとイケメン対応を心がけているおじさんに、最大のピンチが訪れている…



「あの、騎士様…!クッキー焼いていたんです…食べてください!
あ、次のお休みいつですか?あたしとお出かけなんて…ううん、市街案内して欲しいなって…」



入学式の日、思わず血が騒いで助けてしまった聖女様がとんでもなく苦手な女の分類だった
手作りクッキー…それはせめて友人になってから食べるものだ、キミと俺はまだ顔見知り未満!怖い!
お休みに市街案内ってキミ元々市街で生活してたよね!?!なんで俺に話しかけてくるかな…おじさんなんだよ?おじさん…この状況もなんか犯罪臭してすごく嫌なのわかる?



なんて心の叫びは届かない…



「申し訳ございませんお嬢様、職務中ですのでまた次回の機会に…可愛らしいクッキーは私の様な、しがない従者ではなく、恋する相手にどうぞ

では職務に戻りますね、良い日をお送りくださいお嬢様」




足に風属性を纏わせ、長い脚こういう日ありがとうと心の中で感謝しつつ全力で足を動かし立ち去る
ベルドット侯爵家の血!!!!余計な事をするなー!してるの俺だけど!
聖女様、王太子殿下に大司教の孫にイグニスくんに!選び放題青春交流会?してるんじゃないの?なんでおじさんに迫ってくるかな…放っといていいんだよ本当、本当!!

実は33歳で…なんていっておじさんに迫られましたなんて言われたらサングイス公爵家に骨を埋める計画にヒビが入っていまう
やはり何気なく適度にベルドット侯爵家の血と戦うしか道は無いのか…



何処から湧いてくるのかわからないが、急に現れる聖女様怖い…おじさんの心臓を破壊しに来ている気がする恐怖だ、イグニスくん達が言ってこぇえ女って絶対聖女様じゃないの?なんか今は楽しく交流会してるけどさ?
なんかその交流会にも裏がありそうで、一応婚約者候補なんだよといつも笑ってるルディヴィス様やシャルティ様達に報告するべき事じゃないと黙っているが…





「マイケル…大丈夫?なんかいつものキラキラがショボキラになってる…これ、疲れ取れるから良かったら食べて休んで…?」

「まぁ、ほんと…マイケル大丈夫ですの?私のお菓子も食べて?今日はゆっくり休んでくださいまし」



護衛に戻り、ヘルリに小声で女怖いよと言うとわかると返ってきて…でもシャルティ様とペトラ様とサングイス公爵家みんなは別とか言ってたら…なんか、落ち込んだ俺に気づいた主達…
あれよあれよと席に座らされ、おれ達の主が甘やかしてくれる
ルディヴィス様もシャルティ様も優しさの塊だろうほんとさ…!!!


貰ったお菓子と疲れが取れるという美味しいドリンクをもぐもぐすると心がほっこり癒される…
お二人…もしも、おじさんが聖女様に迫られて?困ってますって相談乗ったら助けてくれますか…?













    
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