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陽動編
ウロウロ結果
しおりを挟む陽動作戦の一つ、みんなと仲良くしまくって挑発しようと並行して行う事になった例のアレ
一晩で気合いで作り、レオンハルト殿下達にプレゼントして常に着用してもらうようお願いしてるポチ太郎モチーフのネックレス…
それを見た聖女はどんな反応をするのか…本当におれの前世のクソ妹なのか、正直かなり気になっていた事だ…三人目の異世界転生者に驚きすぎて記憶飛びかけてたけど…!
レオンハルト殿下は改めてみんなを見て、マイケルが淹れ直してくれた紅茶を一口飲んでから話し始めた
おれとレオンハルト殿下がキスする現場を見せ付け煽った日、その後の周囲をウロウロして接触する事で見たことを…
「かなり興味深い光景が見れたぞ?想像以上の反応をされた…そう言っていいと思う
ルディの前世の妹かどうか…俺自身が元を知ってる訳じゃないから、それはわからないが…普通にこのネックレスに食い付いてきた」
「レオ、聖女が食い付いてって、どんな風に…?ポチ太郎とか土佐犬とかそんなワードは出たりした?」
「いや、ポチ太郎とかのワードは言わなかった
ルディと別れた後、走り去った聖女を追いかけたら中庭の噴水前でしゃがみながら俯いててな…具合でも悪いのか?って、聞いてみたんだ
そうしたら恐ろしく嬉しそうな顔でこちらを見てきた…レオくん優しいんだねとか言って…その時、俺の首にあるこのネックレスに気づいたんだろうな?
驚き…とはまた違ったなんとも言えない顔でじっとネックレスを直視して、『素敵なアクセサリー…そんなの持ってるの?どこで買ったの?』と、聞いていた…俺はどこで買ったとも言わずに大切な人からのプレゼントなんだって答えたよ…そしたら『大切な人って誰?誰なの?』ってこのネックレスに触れようとしてきたんだ
まさかコレに触ろうとするなんて思わなくてな…触るなって言いそうになったけどさ、その瞬間第二王子が現れて…聖女を回収して行った…」
第二王子の登場タイミングが絶妙過ぎるが、このネックレスに対して聖女は『そんなの持ってるの?』って言う部分、ちょっと怪しくないか?
まるで俺がこんなアクセサリーを持っていることがおかしいって言ってるみたいに感じたよ
そう言ってニヤリと笑うレオンハルト殿下の表情は危険なかっこよさと言うんだろうか…なんかドキドキする…
ルイ王子に至ってはレオンハルト王子!?それはネックレス触られたらふざけんなってなるやつ!?いいね!!いいよ!すごく!!って喜んでいる……?うん…よくわからない
「ウロウロしてくれてありがとう、レオ…情報すごくたすかった」
レオンハルト殿下の話から、聖女はポチ太郎ネックレスに何かしら心当たりがあると考えられる…
ポチ太郎ってワードが出てきたら一発でクソ妹だと分かるが、そう簡単に尻尾を出さないのか…はたまた違うただの転生者なのか…
おれがお前、桃香だろ?って聞いてみるのが早いと考えてしまうが…それでは聖女が本気でクソ妹だった時に不味い…兄が自分の世界を邪魔してると確実に思われてシャルティに、今以上の被害が出るかもしれない
あちらから、おれが兄かも知れないと思わせて、行動を起こさせる…正体を明かさずに聖女がボロを出すのを誘う展開が一番安全だ…
ある程度ウロウロを続けたらきっとボロを出してくるって考えていると、ルイ王子が挙手していた
「その、乙女ゲームで用意されてたアクセサリーとも全然違うかっこいい?ネックレスで聖女を釣り上げ作戦してるんですね?
なる程…あ、あの!ちょっといいですか!?
実は…やりたくないと断り続けてやってないんですけど…実は一応隣国の王子って事で…僕の歓迎会が前に開催予定だったんです
来日すら内密に!レオンハルト殿下とかにもフワッと伝えるくらいで逃げてたので…ですが、ジャンクフード神の為に一肌脱ぎたい!いや、一前髪脱ぎます!
余分にそのネックレスありませんか?僕ももさもさを捨ててルイになりますんで、その日だけ…攻略対象全員で、そのアクセサリーを着ける…そして聖女に一気に見せる…四方八方から前世アクセサリー揺さぶりを掛けてみる…とか、どうでしょうか…?」
ルイ王子の歓迎会
本当ならもう少し前に開催されていた筈のイベント…隣国の王子初登場って感じでこの国の聖女も紹介される顔合わせイベントが乙女ゲームにそう言えばあった
学年違いのルイ王子とメインストーリーでの交流開始はもっと後、文化祭とかのイベントから?だった気がする…でも個別ストーリーなら顔合わせしてから偶然会うとかで交流していく、そのきっかけになる歓迎会での顔合わせ…
その現場で隠しを除く攻略対象者全員がポチ太郎を身に着ける?聖女の前で?これ見よがしに?
それって…
「いい案ですね…各自聖女の前をウロウロしてもいいですが、一斉に同じ物を付けてると見せつける案、私は賛成です
ルイ王子の協力が無ければ実現しない、登場さえしてないと思われてた隣国の王子までも、ルディヴィスの味方となってる現状を見せ反応を見るのは大いに意味があるかと…!」
「わ、私も賛成です!すごく心に揺さぶりを掛けれそうで…!
後、ずっと気になってた事がありますの…この世界が乙女ゲームなら私もゲーム仕様の見た目で攻略対象な皆さんと楽しそうにその場にいたら…聖女様はどのような反応をするか…って!
それもその歓迎会でやってみてもいいですか?」
マイズとシャルティの賛同を皮切りにレオンハルト殿下やイグニス達もみんないい案だって言ってくれる、聖女へ接触禁止例を出しているヘルリも、聖女が禁止例を無視して近寄ってくるか見たいと協力を申し出てくれた
おれだけでは絶対出来ない事、自然な流れで聖女へ大きく陽動を掛けられる作戦だ
「でも、大丈夫?ルイ王子は逃げて逃げてここまで過ごしてきたのに…それにシャルティだって聖女になんて言われるか…わからないのに
ヘルリだってトラウマがある、みんなも歓迎会の会場だと逃げ場が無いくらいたぶん臭い香水?の匂いとか嗅ぐことになりそうな気がするよ…?それでも協力してくれるのか…?」
クソ妹だったらどうしようと、最悪の事態を考えて皆には無駄に関わり合って不幸になって欲しくない…そう思っていた
ウロウロとか偵察とか、そんなに長時間関わらない所で協力してもらえるだけでも嬉しかったのに…
みんな、おれの方を見て素敵な笑顔で『聖女が何であれ、ルディヴィス一人の問題じゃない、抱え込まなくていい、一緒に戦おう』って…言ってくれるんだ
どうしよう…普通に嬉しくて、心が温かくなった
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