【書籍化進行中】悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

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反撃編

通じ合う気持ち

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桃香の事で頭が一杯になって、おれは間違った事をしようとしていた事に気付かされた…
レオンハルト殿下の言葉が温かくて…自分はちゃんと愛されてて、レオンハルト殿下の事を自分も好きだったのかもしれないと実感してる最中、まさかみんなが空き教室にいるなんて思ってもみなかった

おれ、今…自分の気持ち確かめる為にレオンハルト殿下と深いキス…自分からしようとしてて…
学校で…それをみんなに見られてた…?どこから!?!
急に恥ずかしくなると共に、みんなの気持ちも考えずに勝手に散っていこうとした事が申し訳なくなってしまい顔を隠したかったが、レオンハルト殿下に抱き締められててそれは叶わない

どうしよう…!って混乱してたらシャルティに頭を叩かれた


「お義兄様、子供の頃からすごく大人っぽくて頭がいいと私も思ってましたのよ?
でも、お馬鹿さんでしたのね…今まで何回も言ってます…過去とか前世とか関係ありません、私はお義兄様だから義妹として愛してるんです、大切なんです!
これからは本当に相談して下さい、一人で悩まないで下さいまし」

わしゃわしゃとシャルティに頭を撫でられる
そうだよな、おれ…これまで大切にされてた
前世の話とか乙女ゲームだって変な話ずっとして来たけど…誰もおれの事疑わずに一緒に悩んで考えてくれてたのに…
一人で勝手に悩んで、勝手に抱え込んで…みんなの事考えて無かった…それを本当に痛感する


「ごめん……ごめんなシャルティ、みんな…
おれ、全然頭良くないんだ…精神年齢だけ飛び抜けて高いだけで、みんなに相談するって事すら忘れてた…
もう一回ちゃんと…おれの話、聞いて欲しい…みんなの事も教えて欲しい…最近、おれがこんなだったからきっと迷惑掛けてたと思うから…」


レオンハルト殿下に抱き締められつつ、おれも空いてる席に座る
ラッジ先生にも包み隠さず話すみたいになってて恥ずかしい?何とも言えない気持ちになるけど…それでもちゃんと話したかった

おれは計画していた事を全部話した、レオンハルト殿下に言ったことも含め…最近になって追加で思い出した前世であった様々な桃香とのやり取り、そこから考えられる今後の行動
桃香は自分だけを見て欲しいって性格をしてる…自分を一番に愛してくれと相手に強要するタイプの女だって事…
おれが兄だと自分の中で結論が結び付けば、前世と同じくおれを突き飛ばして消そうとする可能性は高い…

現状乙女ゲームでレオンハルト殿下の婚約者っていう悪役令嬢ポジションに居るおれ…シナリオで聖女と悪役令嬢がトラブルになり、互いに階段から落ちる場面を活用し、その部分に改変を加えておれを突き落とす…そう考えていると


「確かに…僕もその可能性がは高いと思います
あれは同時に落ちたヒロインと悪役令嬢を前に、攻略対象がヒロインに駆け寄って悪役令嬢の心にダメージを与える場面ですけど…ルディヴィスさんを不慮の事故に見せかけて消すならいいタイミングですね…

突き落とし自分も落ちて、乙女ゲームと同じ様に悪役令嬢に治癒を掛けて助けようとする…好感度稼ぎをしつつ、実際は治癒が間に合わずにルディヴィスさんが死亡
死者には聖光魔法も効きませんから…死人に口なし、聖女自身が被害者だ、突き飛ばされたと一方的に言える状況の完成です」

「そうなんだ、ルイ王子もあの場面使ってくると思いますよね?乙女ゲームでも悪役令嬢が骨折する場面…そこで聖女が自分の命を狙う悪役令嬢に慈悲を見せる見せ場もある…
おれはその展開になるように誘導するつもりで居た…影にしっかりと証拠を握らせ、聖女が人を殺めようとする犯罪者だと罪を認めさせる為に…

この直してない怪我も、あえて酷いケロイドや色素沈着になるまで放置してるんだ…聖女の力は奇跡を起こすが、怪我ではない怪我の痕には効果が無い…事件が起きて遺体を診てもらって、全身の怪我の痕とこれまでの聖女の行動、影の情報どちらからも証拠として叩きつけるつもりでいた」


みんなが静まり返るのがわかった
けど、前世での体験とか考えるとこれが一番効率良く聖女に取り返しのつかない失態を犯させるチャンスでもあるから…状況を変えるにしろ呑んでほしい部分もある…
これ以外に聖女に上手くとんでもない失態を犯させる術がおれには想像出来ないから…

暫しの沈黙の後、口を開いたのはガルロ先輩だった


「あー…おれからも案?いいか?こんな重要な場面に俺が居てもいいか悩むが…使えるいい案があるぞ?
その方法で、怪我もせずにしっかりと突き飛ばされる方法…騎士科じゃないと多分こういう事しようって思わないのかもしれないが…それで試してみるか?」



ガルロ先輩の作戦に全員が驚く
え、そんな事可能なんですか?って顔で…元騎士科のイグニスも驚いてる
ラッジ先生は「中々コントロールが難しいぞ?」と言いつつも、教師としてではなく一人の大人として俺たちに協力したいと反対せずにいてくれた

それから細かい部分についてみんなで作戦と役割分担を行い、聖女に失態と罪を与える為の作戦が決まる
近日中に聖女が事を起こしてきた時に作戦を開始すると



そして…おれが一人で殻に閉じこもってた為、聞かなかったみんなの事も聞いた
イグニスやヘルリは最近なんか雰囲気がピリピリしてて辛かったって話とか…みんなに対してマイケルは聖女の偵察でイケメン侯爵家の人やってました!とか…
シャルティはおれが相談してくれなくて悲しかった、自分はもう必要とされて無いのかって思ったと涙ながらに話してくれる…
ルイ王子はおれが知らない乙女ゲームの破滅シナリオについて教えてくれた、それがきっかけでマイズと婚約者候補になった事も、マイズの気持ちも…


「ルディヴィス、私からも話があります
私はルイ王子に私が破滅に導くシナリオの話をされて婚約者候補になる事を決めました…それは私がルディヴィス、あなたに片思いをしていたからです

抑えられない感情があり、レオンハルトとあなたを取り合ってしまう気持ちが、破滅に結び付いてしまうのが怖くて…あなたや、みんなとの関係を崩したくなくてルイ王子の婚約者候補になりました

しかし、ルイ王子と過ごし判明した事があります、私の片思いの気持ち…これはある意味違っていたんです…

ルディヴィスを親友として大切に思う気持ちに嘘はありません、ですが恋心…この部分は違った…
私は知らず知らずに聖なる魔力に惹かれてしまう体質を持ったマイズという存在、そう理解してから謎が解けました

……………ルディヴィス、あなたは聖光魔法に近しい魔法を使える存在なんです…」



ルイ王子の婚約者候補になった話をしていた筈なのに…聖光魔法に近しい…魔法…?
ざわりとおれも、周囲もマイズの発言に息を飲んだ
聖女にしか無い筈の魔法が、聖女じゃないおれにも使えるってどういう事なんだ…?








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