【書籍化進行中】悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

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反撃編

答えを出すために

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全身を温かい魔力に包まれ、意識がゆっくりと浮上する感覚に浸る…
何処か懐かしい、大司教様の魔力を感じるって事は…よかった、ちゃんと作戦は成功しているって事だ


事前に計画していた作戦とはいえ、おれが階段から落ちて全身を強打したのは事実
まさか桃香がおれに金縛りの魔法を使うとは思わず、何も庇えない状態で顔とか首を強打するとは思ってなかったけど…顔とかに痕が残ってレオに嫌われたら嫌だな…とか考えていた





「……………っ、はっ、………げほっ、っはぁ…はあっ…………!!」

「ああ、よかった…目が覚めましたか?ルディヴィス公爵子息
ゆっくりゆっくり深呼吸しなさい…そう、ゆっくり…レオンハルト殿下、皆さん…もう大丈夫ですよ」


「ルディっ!よかった………無事でよかった……」

「お義兄様…っ………よかった………!」



目が覚めると知らない天井が見えて、ベットに寝かされている事がわかった、おれの手を握って微笑む大司教様は奇跡が起きていると話しつつ、身体を起こすのを手伝ってくれる
全身を強く打ち、頭部と首に外傷、腕と足は折れていたと教えてくれた…無事に治癒を施せたのは奇跡だと、嬉しそうに

大司教様の言う奇跡は偶然起きた訳じゃない…今にも泣きそうなシャルティやレオ達みんなの協力があったから、奇跡を無理矢理起こせたんだ
ちゃんと生きて作戦を実行出来ている事が嬉しい、レオ達が協力してくれていなければ不可能な事だったから

聞かれたら素直に答えるが、おれの身体には事前に魔獣討伐で戦う騎士達がよく使う、分かち合いの魔法と呼ばれているものをみんなの協力の元、掛けている
これは新人の騎士等が死傷するリスクを軽減する為、傷や衝撃を先輩が身体に影響の無い程度請け負う物…それを活用したのだ

桃香の行動でおれが無事でいるための作戦
レオが婚約者として余りにも過保護で心配で、更にシャルティや他の皆もそれに賛同、おれを守ろうと術を前から念の為掛けていた
それが功を奏し偶然、おれが階段から突き落とされた衝撃を命の危機が起きない程度に分散し奇跡的に命が助かったって感じに見えるだろう




そんなこんなで無事におれは治癒を受け、現在レオに抱きかかえられるようにソファに座っている
反対側にはもちろんシャルティがいるし、他の皆も心配だったと、なるべくおれの側に居ようとしてくれていた
ちょっと恥ずかしいが、本当に階段から落とされたし、打撲とかで酷い姿を見せたのだから大司教様の前とは言えしょうがない事なのかもしれない…


その後、大司教様からの勧めで温かい飲み物を提供され、治癒は成功したが、痛みや身体の不具合は無いか確認される
手を動かし、コップを自分で持つことも飲み物を飲むことも出来ると返答すると大司教様は優しく微笑んで下さり、おれが落ち着くのを待って入室してきた学園長に想像通り何故階段を堕ちたのか事情聴取をされた
現在、聖女はよく分からない発言を繰り返し暴れている為拘束し別室にいると説明も受けつつ…



「さて、今日何があったのか教えてくれるかな…?」

「…………はい
今日…聖女ルチア様に用事があると言われ、側妃様の講演を前にエントランスホールにある階段踊り場に向かいました…そこで聖女様がよく分からない事を言って…豹変?…したと言うんでしょうか?身体が動かなくなって…気が付いたら階段から………」


とりあえずあった事を包み隠さす全てを話する
嘘など付く必要はない…おれには本当に非がないのだから 
学園長は最後まで聞くと静かに頷き、大司教様におれの治療結果を確認していた





上手くいっている…目的が果たせている…そのことが嬉しい
魔力測定の日に始めてお会いした大司教様…この方をここに呼んだ理由は魔力の残滓を調べて貰うため

この国で最も魔力判定の儀を行っているこの人だからこそ確実に出来る技術…
まさか桃香がおれに金縛りの魔法を使うとは思ってなかったが、呼び出された上の接触で何かしらおれに攻撃を仕掛けてくるとは思っていた…それをあえておれの身体に証拠として残し残滓を確認して欲しかったのだ
更に、ジェイス第二王子の話から聖女ルチアに入り込んだ桃香の存在が異世界ではなく、どんなモノなのか確認する為にも大司教様に聖女ルチアの魔力を確認して欲しかったっていうのもある

聖女ルチアの瞳の色が変わったって部分からも体内の魔力に何かしらの影響が出ていると考えたから…



「学園長、先程確認しましたが…確かにルディヴィスへ付与されていた金縛りの魔法から聖女ルチアの魔力に似た魔力の残滓が確認できています…残念ですが…
金縛りの魔法を使用した上で階段から落とされたとなれば本当にとんでもない事件…
しかし…私の知っている聖女ルチアの魔力と何処か違う…濁りを感じる光の魔力を感じるのです…これは一体どういう事なのか残滓だけではわからい…

……………私がここに呼ばれたと言う事、前々から話も受けていました…そんなマイズがこの場にいると言う事は聖女の魔力の性質を見て欲しい、そういう意味が込められている気がします………このまま…聖女ルチアの魔力を確認してもよろしいですかな?」

「……………………え?………………ああ、勿論です…こちらの別室におります…」



2人は席を立ち、レオの計らいでおれたちも一緒に確認していいと許可も貰った
大司教様が聖女ルチアの魔力を見て下さる…その流れにうまく誘導出来てよかった…!その結果次第で聖女を救えるかが変わるから

桃香が元のルチアに異物だと思われる…人格を破壊する程の異世界転生をしてしまっているならもう現在が本人だから救えない…けど、ルチアの中に桃香が入り込んでいるなら…ラッジ先生の教えてくれた方法を試せる可能性がある…!!







……………………今は後者であることを祈るしかない



 



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