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後日編
事態の行方 王子と聖女
しおりを挟むジェイス第二王子の部屋に到着し軽くノックをすると直に反応があった、「お待ちしておりました」とドアを開けたのはジェイス第二王子ではなく、前にも案内とかして来たあの従者っぽい男
前に見た時よりも雰囲気が柔らかいというか…どこか嬉しそうな従者っぽい男に連れられ室内に進むと、予想の斜め上の光景が広がっていた
てっきり聖女ルチアが眠りについてるのをジェイス第二王子が看病なりしていると思っていたのだ…が、どう見てもベットに居ない
それどころかジェイス第二王子がソファに腰かけ聖女ルチアを膝に乗っけているような状況で何かをしている…え!?もう目が覚めたの!?って状況的に思ったがそれも違うみたいだった…
「兄上、ルディヴィス公爵家子息、こんな格好ですまないね…空いてるソファに座って少し待っていて欲しい」
ジェイス第二王子に促され、レオとソファに腰かけよく見ると、聖女ルチアは眠ったままジェイス第二王子に抱きかかえられて何かを食べている…?
よく観察すると、聖女ルチアは目閉じたまま寝息も聞こえてくるため、確実に眠っている…その彼女にジェイス第二王子が一定のタイミングで口元にお菓子や軽食を近づけ、口を開けた所に的確に一口適量を給餌している…しっかりと飲み込んだタイミングで水分も吸い飲み?みたいなのを使って水分補給もしてる…そんな状況
…………何となく具合が悪くてぐったりした妻を介護する旦那みたいに見えてしまう…一応聖女ルチアもジェイス第二王子も未婚で婚約者互いに居ないよね?距離感が夫婦っぽいのは何故?
…………………いや、いや!?どういう状況ですか!?!
魔力を失って意識不明な聖女だよな?!ベットに寝た聖女を看病しているわけじゃないの!?寝ながら器用にご飯食べるとかそんな事できんの!?
どういう状況!?ってツッコミたかったが、嬉しそうに給餌する姿に何も言えない
さらに数口、聖女ルチアに食事を与えしっかりと飲み込んだのを確認してジェイス第二王子は彼女を抱え直してからおれたちの方を見て微笑む
物凄く優しい…穏やかな顔だ…
「ルディヴィス公爵子息、目覚めたみたいでよかった…ごめんねお礼言うのが遅くなってしまって…
今回の事本当にありがとう…ルチアを救ってくれた事感謝するよ」
「あ、いえ…聖女ルチアに迷惑を掛けてたの元身内ですいません…えっと、彼女は目が覚めた訳じゃ無いんですよね?大丈夫しょうか…?」
眠ったまま食事を摂らせてるって不思議な状況
聖女ルチアの顔色が悪いわけじゃないし、ジェイス第二王子も思い詰めたような顔をしている訳じゃないけど…何となく違和感があった
おれの言葉にジェイス第二王子は笑顔で頷き教えてくれる
「命に別状は無い…ちゃんと無事ではあるよ
けど、魔力と心を限界まで蝕まれているみたいでね…いつ目覚めるかはわからないんだ
でも、僕が話しかけると微笑んでくれるし、こうして食事も介助してあげるとちゃんと食べて…おいしいともっと欲しいって甘えて強請ってくれる…
昔、風邪で寝込んだルチアと同じ反応をしてくれるんだ…それだけで此処に居るのはちゃんとルチアだと分かるから…嬉しくて…」
眠ったままの聖女ルチアの頬に優しくキスをしつつ、ジェイス第二王子は少し涙ぐみながらそう語った
聖女ルチアなのに違う、自分が愛した存在が消えてしまったかもしれないって恐怖とずっと戦ってきた彼にとっていつ目覚めるかわからないって事よりも、今一緒に居られるって方が大切なのかもしれない
優しく優しく聖女ルチアをしっかりと抱き締め頭を撫でるジェイス第二王子はそのまま話を続けた
昔から見てきたルチアの仕草、自分の知ってるルチアである事が眠っていてもしっかりと分かると嬉しそうに…もう、聖女ルチアだけ居れば何も要らないとか言いそうなくらいの感じで…
「後で正式に国から発表があると思うけど、ルチアを僕の婚約者に迎え入れた
新種の魔物憑きに罹り長年苦しめられた聖女を労る為、僕は王位継承権を放棄し土地と爵位を賜る…そこでゆっくりルチアに療養してもらう予定なんだ
全てが解決するまで王宮に居るけど、準備が出来次第新居に移る、だからその前にルディヴィス公爵子息にちゃんと会えてよかった
これから僕は側妃である母と共にレオンハルト兄上に付く、第二、第三王子の派閥も上手いこと蹴散らして確実に兄上が王位に就けるようサポートするから任せてくれ」
……………本当に何も要らないみたいだ
ニコニコと笑顔のジェイス第二王子の目は本気としか思えない…聖女の婚約者になるのはまぁいいけどさ!?王位継承権放棄するって前もなんか言ってたけど本気でするんですか!?!レオを確実に王にするとか今言わなかった!?言ったよね!?
第三王子の派閥もって…彼を他国に留学させたのもそういえばこの人だった!?
「それはありがたい、ジェイスが聖女ルチアと平穏に暮らせるよう俺も努力する
今回の件で良からぬことを考える輩もきっと出てくる、今聖女ルチアの社会的地位を守る為に行動している最中だし気を抜かないで居ろよジェイス」
「もちろんだよ、ルチアは僕が今度こそ守る…ルチアの中に入っていた存在…魔物憑きの件については任せるよ兄上…」
このまま行くと、おれ…本当に王妃になったりするのかな?と、難しい話をする我が国の王子たちの会話とむにゃむにゃ眠る聖女ルチアの寝顔を見ながら思う
とりあえず未来の王位になるかもって話しは今は置いておこう、今は聖者としての仕事をしようって現実逃避しつつ…
暫くジェイス第二王子と話し、今の現状についても確認が取れた為、聖者として顔出しに学園と教会へ向かう事になった
とりあえずジェイス第二王子と聖女ルチアが不幸にならなくてよかった…って心のなかでちょっと泣きそうになりながら…
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