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運命の夜会 瞳の証拠
しおりを挟む事件の真相
僕がルドレッド公爵家に嫁いで食われたと思われる以前に、母様の死から全てある意味繋がり、関係していたなんて思わなかった
父様達からすればずっと邪魔だった僕、僕の母様を邪魔だと思っていたピルメ様…母様を別に愛していなかった父様…
知ら無い人達からも都合がいいと母様は身勝手に殺された…生き残った僕にも早く死んで欲しかったんだ…
そっか、だから僕はずっと不要だと言われていたんだね?人前に出せないと言われてた理由は病なんかじゃなかった
僕が長く生きていては困るから…自分達の私腹を肥やすのに邪魔でしかない存在だから…
周囲が噂を真実と受け取るほど上手く化け物として世間に露出しているフレイズ様に僕が食われる事でこの計画は成功していたのか…そっか………
僕の腰を抱き寄せるフレイズ様の手が震えているのが分かる…これは怒りだけじゃなくて悲しみも混じってると僕には分かる
何も感じない僕の代わりに悲しんで下さる優しさが痛いほど伝わってくる…
収穫に向けて色々調べているとは言ってたけど、こんな真実が裏にあったなんて想像していなかったんだろう
自らの財を肥やす為に…権力の為に他人を巻き込み、殺害し、その死を利用する…それが本当に人間のする事なのだろうか?
食人花族と国の計画をしっかりと守り、合法的に餌を得る為、ある程度化け物として世間へ露出している…人食い公爵は本当にいると世間に思い込ませていたフレイズ様よりも、目の前にいる事件の関係者の方がよっぽど化け物に見えてしまう
目の前で「違う!嘘だ!!」「私は関係ない!!」「化け物の戯言だ!!!」とか、真っ青な顔で…震える声で叫ぶ人達を見て、今話されたことが本当に真実なんだと無知な僕でも理解できた
それに…まだ、この人達が罪から逃げようとしている事も分かってしまった
どうして逃げるの?悪い事をしたら罪を償わなればいけないんじゃないの?僕はフレイズ様の元で勉強する機会を得てそう学んだ
幼子でも知ってる常識なんでしょ?なんでそれを守れないの?
僕の母様を…温かくて平和な時間を僕から奪い、僕の命も自分達の金の為に摘み取ろうとしていたのに…何故認めないの…?
どうしてフレイズ様が守り大切にしている物を奪う為に僕の死を利用しようとするの…………?
何も感じなかった筈なのに、僕の心は壊れているから…全てがどうでもよかった筈なのに…気が付くと僕はフレイズ様の腕から抜け出し、「これは陰謀だ!!!」と各々ざわつく害虫と言う名の餌の前に無意識に出ていた
事件の真相を聞いて…僕がこの場でできるフレイズ様への手助けを思いついたから…
フレイズ様の計画に狂いは無くても、少しでも罪悪感無く収穫をできる方法を思いついたから…
ふらりと前に出て、害虫と言う餌達の前に立ち、僕は記憶を、これまで見てきた光景を遡り、目の前に投影するイメージを強く脳内で魔力と結びつけるように練り上げる
夢の世界で見た光景、何もない壁に映像を映していた光景を思い出しつつ、フレイズ様の導き出してくれた真実をこの場で事実とする為に…………
突然目の前に出てきた僕に、元家族の父様達は虐待など受けてないって言ってくれるのが?って期待した顔をして、ガレット公爵様?達はもしかしたら助け舟を出してくれるのか…?そんな表情をしているのが見えた
…………そんな展開ある筈無いのに…おかしいね?
変な希望の眼差しを受けつつ、魔力を必死に練あげ手のひらに光と闇を集める…魔力と記憶を織り交ぜた光を会場の光を奪う闇を…それを大きな会場の天井に向かって放つ
僕の魔力に反応し、照明が闇に呑まれ、一瞬にして会場が真っ暗な暗闇と化し、魔力と記憶を混ぜ合わせた光が天井を覆った
まるで此処だけが大きな満月…月夜に照らされた外の世界のように見える不思議な空間を作り上げる
僕の見てきた光景、僕の視点が見てきた記憶をこの会場にいる全ての人達に映し出す為に………………
光が徐々に変化し、馬車の映像、母様が目の前で殺されたあの瞬間を作り上げる…
母様が血塗れになりながら必死に僕を庇ってくれた光景…何度も何度も刃物を振り下ろしてきた野盗の姿…そして、母様の命を奪った野盗共の姿を声を映し出した
従者が殺され、馬車に急に入ってきた知ら無い男達…僕を連れて必死に逃げる母様の後ろ姿…けど捕まってしまい馬車に押し戻されたあの瞬間
そして母様のドレスが真っ赤に染まった瞬間まで瞬きの僅かな沈黙以外全てを映し出す…毎秒毎秒が目の前で起きているかのような…そんな光景……
『…………おい、このガキはどうする?』
『何か喋りそうなら殺してもいいが…ははは!見てみろこの顔!この目!何も映しちゃいねぇ!相当親を目の前でぐちゃぐちゃに殺されてショックだったんだろうよ?
そうだな…敢えて生かしておけば化け物に親を食われて心がぶっ壊れたって設定がついてガレット公爵達は喜ぶだろ、放っておけ』
『ああ、そうだな…くくく、本当にひでぇ顔だ
瞳に何も映さないって本物初めて見たぜ
悪く思うなよガキ?生きてるだけで感謝するんだな?あ、ペルッチ侯爵から追加の給金を貰うためにももう少しこの女を痛めつけておこうぜ!このガキの前で』
『はははは!!!悪趣味だな!?』
何も映さない瞳で全く動かず、何も反応しない、僕の心がもう壊れていると分かっているからこそ、男達は依頼者の名前を笑いながら口にしつつ、僕の顔を覗き込み、楽しそうに母様の背中を何度も斬りつけ抉り、蹴り反応をみてその場の勝利とも余韻に浸る光景さえもしっかりと……………
記憶の奥底あった僕の記憶を寸分の狂いなく伝える…
それだけでは終わらない…暫し映像を映し出し、僕が本当に気絶した瞬間で場面は切り替わり、僕がサージェス伯爵家で受けてきたフレイズ様が言うには酷い扱いが映し出された
※アレンが無意識に使ったのは自分が見てきた光景を前世の記憶だよりに、プロジェクションマッピング的な感じで天井に映し出した奴です!
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