用務員の日誌帳

けんけん

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1章 1.偶然の出会い

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入学式も終わり新学期が始まって1週間程が過ぎた放課後、校内の見回りを一通り終えた田中俊郎はいつもの少しシワの入ったスラックスによれたYシャツサンダル姿で最終確認の時間までの一時の合間に、煙草を買いに学校近くのコンビニへと足を向けていた。
コンビニと言っても大手チェーン店の様な所ではなく、年寄り夫婦が昔ながらにやっている様な店で、住み込みで高校の用務員をする田中にとっては、学校近くで煙草の自販機も無いのだから助かっている。
重そうな太った身体でゆっくりと店の近くまで行けば、入り口から少し離れた辺りで数名の女子高生の姿が有り、何か話をしている様子が伺える。また、制服とリボンの色から自分の勤める高校の2年生と言う事まで分かるのだから制服とは便利な物だ。
周りを余り気にしていないのか、その女子高生の声が大きいのか...少し離れた田中の耳にまで断片的だが聞こえてくる。

「ほら、今日は亜紀の番だよ。おばあちゃんが店番だから絶対大丈夫だって」

「えっ...でも...その...」

「私もやったけど何ともなかったの見てたでしょ?」
「そうそう、私らも成功してるし」
「亜紀、ノリ悪いよ。こんなの単なるゲームなんだから。ほら...行ってきなよ...」

その女子高生集団の横を通りながら店の方へと歩きながら、話の断片と様子から想像するに、万引きしてスリルを楽しもうって事は容易に分かる。(俺も昔そんな事やったな。あの時は捕まって説教されて...警察を呼ばないでくれたのが救いだった。)と思いながら店に入ると、すぐ後からオドオドとした様子で店に入って来る先程の女子高生の姿が...その行動を暫く見て居れば良い事を思いついたと言わんばかりに田中は顔を緩めニヤリと笑えばズボンのポケットからスマホを取り出し周りに見えない様に隠しながら女子校生の方へと向ける。
女子高生は店員ばかり気にしながら意を決した様に棚のコスメを手に持てば、それを鞄に入れ慌てる様に店を出ると最初に集まっていた場所に行きその場で待っていた友達と少し話しては、鞄の中を見せその場を後にした。
その様子を店の中から確認するとスマホを片付ければ、目的の煙草を買い校庭の端にある用務員部屋へと帰っていくのであった。
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