400字以内のダメ人間ショートショート

STキャナル

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ノンアルコールビールを飲んでいた男

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「ちょっと待て、運転しなきゃいけないのに、そんなの飲んで大丈夫?」
 居酒屋で向かい側に座る会社の同僚が、拓郎の手元のジョッキを見て心配した。
「これはノンアルコールビール。お酒じゃないから飲んでも運転できるよ」
 拓郎は誇らしげにそれを口へ流し込んだ。

 その後も拓郎は3人の同僚と盛り上がり、2杯目、3杯目とビールを飲んでいく。
 ひとしきり満足した拓郎は同僚に別れを告げ、駐車場で車に乗り込んで帰路を目指した。

 しかし拓郎はその途中で、赤信号を通り過ぎる。
 その瞬間、拓郎は横から通ってくる車に気づき、急ブレーキを踏む。
 だが間に合わず、相手の車の後部に当たり、スピンさせてしまった。

 駆けつけた警察が、拓郎の呼気を検査する。
「はい、基準値超えのアルコールが出たから飲酒運転だね。何を飲んだの?」
「ノンアルコールビールです」
「他には?」
「すみません、2杯目と3杯目で……」 
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