400字以内のダメ人間ショートショート

トランクルームから音がする

　トランクルームの扉の裏から、何かが当たる音が連続で響く。
　ここは自宅にはいらないけど、捨てたくはないものを預ける場所だ。
　人気もないこんな夜に、物音が鳴るのはおかしい。

　まさか亡霊がトランクに入り込んだのか？
　管理人の私は周囲を見渡す。
　ここは今までずっと平和であり続けた、住宅街の一角である。いきなり霊が入り込むなんてありえないだろう。
　しかし万が一がある。だから私は、急いでオフィスから合鍵を持ってきた。

　胸を拳で軽く叩いて覚悟を決めると、扉に鍵を回し、勢いよく開けた。
　すると中には、幼稚園から小学校低学年ぐらいの男の子が立ち尽くしていた。

「きみ、どうしたの？」
「ぼく、いらなくはないけど、しばらくおうちにはおけないんだって。ここにあるおにもつといっしょ。だからこうやって、いれられちゃったの」
　これなら霊の方がまだよかったかもしれない。
　一体誰が何の目的で……。