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ヤンキーの反省は貝のような檻で

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 地元で有名なヤンキーだった藤井猛(たける)が、青少年特別治安維持組織に捕まった。
 彼はロクに高校に通わず、万引きやカツアゲばかりやっていた。 
 猛を捕まえた組織は、警察には引き渡さない。
 施設内にある貝状の巨大な檻に、彼を閉じ込めた。
 それは猛をパクリと飲み込むように、ゆっくりと閉じられた。中は真っ暗で何も見えず、外部の音ひとつ聞こえない。まさに無音の地獄だという。
 青少年特別治安維持組織は、そんな闇の世界を長期間味あわせることで、悪者に猛省を促すのが狙いだった。
 やがて時は経ち、貝のような檻は開かれた。
 猛は久々に感じる光に驚き、怯えた姿で背を向けた。

「どうした、もう出る時間だぞ」
 組織の職員が猛に話しかけるが、彼は背中を向けたまま小さく震えていた。
 巨大な貝殻の中で長期間閉じ込められた結果、猛のように精神崩壊して引きこもりになる人が多いという。
 だから最近、警察の組織への捜査が始まった。
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