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このボールが家事を手伝ってくれる

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 家に届いた箱を開けると、いきなりピンクの球体が飛び出し、ピョンピョン跳ねる。
 僕が脱ぎ散らかした制服が、ひらひらと宙を舞う。
 よく見るとボールから、青白いエネルギーのようなものが湧いており、それに制服が操られていた。やがて制服がボールを包み込む。ボールはお構いなしとばかりに、洗濯機まで跳ねて移動した。
 追ってみると、ボールからすべり落ちた制服は洗濯機に入る。再び放たれた青いエネルギーが洗面所下部の扉を開き、飛び出した粉末洗剤が独りでにフタを開け、粉を打ち上げて洗濯機の奥へ放り込む。
 これは僕がネットで注文した「家事ボール」。家事の半分を手伝ってくれる。高校入学から独り暮らしの僕には助かる。

 夜になり、僕は家事ボールにこう話しかけた。
「なあ、ミートソーススパゲッティ作ってくれない?」
 しかし家事ボールはいきなり僕の顔面に体当たりした。洗濯をまかせたぶん、食事は自分で作れというメッセージだ。
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