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親友の頼みごとを引き受けたら
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すぐに交換できるようにと、予め芽依のハチマキを受け取っていた。
わたしの頭に巻いているのが、芽依のハチマキ。
わたしのハチマキは、今は芽依が持っている。
こんなことで、本当に両思いになれるとは思っていないけど、連絡先は教えてもらえなかったから、せめてハチマキだけは芽依のお願いを聞いてあげたい。
わたしは、開会式後のばらける人混みの中でりっくんを探した。
だけど、背が低いわたしは流れとは逆のその人混みに飲まれてしまい…。
「うわっ…!」
人と人とにぶつかってバランスを崩したわたしは、そのまま後ろへ倒れそうになり――。
「…あっぶねぇー。こんなところでなにしてんだよ」
派手に尻もちをつく寸前で、人混みの中からりっくんがわたしを救出してくれた。
「…りっくん!」
りっくんが、握ったわたしの腕を引っ張ってくれたおかげで、人混みから抜け出すことができた。
「流れに逆らって、なにかを探してるしずくが見えたらから近づいてみたら…」
「ごめんねっ。ちょうどりっくんを探してて…」
「…俺を?」
首を傾げるりっくん。
わたしは、頭に巻いたハチマキをスルリと解いた。
「あの…その…。実は…、りっくんとハチマキを交換したくて…」
「俺の…このハチマキ?」
りっくんは、腕に巻いていた自分のハチマキに視線を移す。
「…しずく。お互いのハチマキを交換って、…それってどういう意味か知ってて言ってる?」
この学校で、この恋まじないのことを知らない人はほとんどいないだろう。
もちろん、りっくんも知っている様子。
だからわたしは、ゆっくりと頷いた。
そのために、芽依はりっくんのハチマキをほしがっているんだから。
「わ…わたしは、べつに恋まじないを信じてるわけじゃないんだけど――」
「俺なんかのでよければ、しずくにやるよ」
りっくんは自分のハチマキを解くと、それをわたしに差し出した。
「ほんと…!?いいの!?」
黙って頷くりっくん。
よかった…!
これで、きっと芽依が喜ぶに違いない。
「ありがとう、りっくん!」
わたしはりっくんとハチマキを交換すると、お礼を言って、すぐさま芽依のもとへと戻った。
芽依の喜ぶ顔を想像したら、なんだかわたしがうれしくって。
だから、ついついりっくんに伝えるのを忘れていた。
…わたしが渡したハチマキは、芽依のだということを。
「…うそっ!?律希くんとハチマキ交換できたのっ!?」
りっくんのハチマキを芽依に渡すと、予想通りとても喜んでくれた。
「さっすが、しずく!最高の親友だよ~!」
芽依は、わたしにこれでもかってほどに抱きつく。
芽依からわたしのハチマキを返され、代わりにわたしはりっくんから預かったハチマキを芽依に渡す。
そのハチマキを大事そうに受け取ると、頬を緩ませた芽依が頭に巻いた。
丁寧に少し乱れた髪を整え、わたしに微笑んでみせた。
「うん、似合ってるよ」
わたしがそう言うと、芽依は照れ笑いした。
…でも。
どうしてだろう。
芽依の頼みごとを聞いてあげられてわたしもうれしいはずなのに…。
りっくんのハチマキを巻く芽依を見ると、なぜだか胸がチクッとするのは。
そして、体育祭が始まった。
初めの競技は、徒競走。
各学年2人ずつ、合計6人で50メートルを競う。
それほど、1年生や3年生との力の差はなく、ほとんどのレースが僅差でゴールしていた。
そんな中、他を引き離してぶっちぎりでゴールをしたのは――。
「「律希くーーーーーん!!」」
ファンの黄色い声援を背中に受ける、りっくんだった。
さすが、運動神経のいいりっくん。
同じレースを走り終わった他の人は、ハァハァと肩で息をしているというのに、1位でゴールしたりっくんは涼しい顔をしている。
そんなりっくんを遠めから見ていたら、わたしに気づいてくれた。
『すごいね!』
口パクでそう言ってみると、りっくんは微笑んでくれた。
すると、隣にいた芽依が…。
「しずく、見た!?今のっ!?律希くん、あたしのほう見て笑ってくれたよ!」
自分に微笑んでくれたと思った芽依は、大興奮だった。
「律希くん、かっこよすぎ~!ますます好きになっちゃうよ~♪」
この前まで、りっくんのことはなんとも思っていなかった芽依が、たった一度の一目惚れでこんなに周りが見えなくなってしまうなんて。
『恋は盲目』なんて言葉があるけれど、本当にその通りだと思った。
そのあとの競技も、りっくんは大活躍だった。
わたしもりっくんみたいにがんばりたかったのだけれど、あまり運動が得意ではないわたしは思い通りにはいかず…。
そんなわたしと違って、走りの速い芽依は競技で目立っていた。
男女混合の競技では、たまたまりっくんと同じチームに。
「しずく、あんまり張り切りすぎるなよ」
「…りっくん!」
わたしのことを気遣ってか、りっくんが話しかけてきた。
「そうだよね…。わたしがいたら、足手まといになっちゃうよね」
「そんなこと言ってねぇよ。無茶して、ケガでもしたら困るだろ」
「うん、ありがとう。ほどほどにがんばる」
「だなっ」
そう言って、りっくんはわたしの頭の上にポンッと手を置いた。
「それにしても、篠田さんって運動神経いいんだね」
「…えっ!あたし…!?」
りっくんに話しかけられて、驚いて顔を赤らめる同じチームの芽依。
「さっきの競技もすごかった。俺が真ん中から攻めるから、篠田さんは端から相手の陣地に入ってくれる?」
「うん、わかった♪」
わたしには張り切りすぎるなと言っていたけど、芽依とは競技の作戦を練っている。
仲よさそうに話す2人が、なんだかうらやましく見えて…。
わたし、ここにいていいのかなって思ってしまった。
前までは、たまにあいさつを交わす程度だったりっくんと芽依。
それがこの体育祭を通じて、ものすごく距離が縮まったように見えるのは傍から見てもわかる。
ほら、周りのりっくん狙いの女の子たちだって、そんな2人の様子をうらやましそうに見ている。
わたしも芽依の親友として、2人が仲よくなってくれるのはすごくうれしいんだけど…。
これが、りっくんと芽依のハチマキを交換した効果なのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えていた。
体育祭は順調に進行し、無事に閉会式を迎えた。
そして、りっくんや芽依たちの活躍のおかげで、今年は見事2年生が優勝した。
その帰り。
体操服から制服に着替えたわたしは、興奮冷めやらぬ芽依といっしょに学校を出る。
すると、前方に背の高いりっくんの頭が見えた。
「あれ、律希くんじゃない!?1人かなっ!?」
「そうみたいだね」
わたしがそう言うと、芽依は突然わたしの手をギュッと握った。
「しずく!もう1個だけ、お願い聞いてもらってもいいかな…!?」
かわいく舌をペロッと出す芽依。
芽依からされた、頼みごと。
それは、りっくんといっしょに帰りたいというものだった。
芽依の家は、りっくんの家までの通り道だということは知っていた。
それまでのルートも同じだろうから、いっしょに帰ることはできるはず。
だけど、芽依自身がりっくんを誘ったら、自分に気があるんじゃないのかと悟られるのが恥ずかしいみたいで…。
3人で帰るフリをして、途中から2人きりにしてほしいというお願いだった。
そんなことしなくたって、わたしの家はりっくんとは真逆だから、あそこの突き当りでりっくんとは別れることになるのに。
でも、親友の芽依のお願いだから、わたしは自然に帰るフリをして、りっくんにはちゃんと芽依を送るように頼んでおこう。
そんなことを頭の中で考えながら、芽依といっしょにゆっくりと後ろからりっくんに近づいた。
「りっくん!」
「…ん?…あっ。しずく、篠田さん」
「今日はお疲れさま、律希くん!」
「ああ、お疲れ」
そんなりっくんとの些細な会話でさえ、芽依はうれしくて悶えている。
今日の体育祭についていろいろと話していたら、あっという間に分かれ道の突き当りに差し掛かった。
ここでわたしは、芽依の頼みごとを平静を装って実行に移す。
「あ、そうそう!確かりっくんの家に行くまでの道に、最近新しいパン屋さんができたよねっ」
「ああ、あそこのパン屋な。朝いつも混んでるよ」
「ちょうど、芽依の家ってあの辺りなんだって!」
わたしの頭に巻いているのが、芽依のハチマキ。
わたしのハチマキは、今は芽依が持っている。
こんなことで、本当に両思いになれるとは思っていないけど、連絡先は教えてもらえなかったから、せめてハチマキだけは芽依のお願いを聞いてあげたい。
わたしは、開会式後のばらける人混みの中でりっくんを探した。
だけど、背が低いわたしは流れとは逆のその人混みに飲まれてしまい…。
「うわっ…!」
人と人とにぶつかってバランスを崩したわたしは、そのまま後ろへ倒れそうになり――。
「…あっぶねぇー。こんなところでなにしてんだよ」
派手に尻もちをつく寸前で、人混みの中からりっくんがわたしを救出してくれた。
「…りっくん!」
りっくんが、握ったわたしの腕を引っ張ってくれたおかげで、人混みから抜け出すことができた。
「流れに逆らって、なにかを探してるしずくが見えたらから近づいてみたら…」
「ごめんねっ。ちょうどりっくんを探してて…」
「…俺を?」
首を傾げるりっくん。
わたしは、頭に巻いたハチマキをスルリと解いた。
「あの…その…。実は…、りっくんとハチマキを交換したくて…」
「俺の…このハチマキ?」
りっくんは、腕に巻いていた自分のハチマキに視線を移す。
「…しずく。お互いのハチマキを交換って、…それってどういう意味か知ってて言ってる?」
この学校で、この恋まじないのことを知らない人はほとんどいないだろう。
もちろん、りっくんも知っている様子。
だからわたしは、ゆっくりと頷いた。
そのために、芽依はりっくんのハチマキをほしがっているんだから。
「わ…わたしは、べつに恋まじないを信じてるわけじゃないんだけど――」
「俺なんかのでよければ、しずくにやるよ」
りっくんは自分のハチマキを解くと、それをわたしに差し出した。
「ほんと…!?いいの!?」
黙って頷くりっくん。
よかった…!
これで、きっと芽依が喜ぶに違いない。
「ありがとう、りっくん!」
わたしはりっくんとハチマキを交換すると、お礼を言って、すぐさま芽依のもとへと戻った。
芽依の喜ぶ顔を想像したら、なんだかわたしがうれしくって。
だから、ついついりっくんに伝えるのを忘れていた。
…わたしが渡したハチマキは、芽依のだということを。
「…うそっ!?律希くんとハチマキ交換できたのっ!?」
りっくんのハチマキを芽依に渡すと、予想通りとても喜んでくれた。
「さっすが、しずく!最高の親友だよ~!」
芽依は、わたしにこれでもかってほどに抱きつく。
芽依からわたしのハチマキを返され、代わりにわたしはりっくんから預かったハチマキを芽依に渡す。
そのハチマキを大事そうに受け取ると、頬を緩ませた芽依が頭に巻いた。
丁寧に少し乱れた髪を整え、わたしに微笑んでみせた。
「うん、似合ってるよ」
わたしがそう言うと、芽依は照れ笑いした。
…でも。
どうしてだろう。
芽依の頼みごとを聞いてあげられてわたしもうれしいはずなのに…。
りっくんのハチマキを巻く芽依を見ると、なぜだか胸がチクッとするのは。
そして、体育祭が始まった。
初めの競技は、徒競走。
各学年2人ずつ、合計6人で50メートルを競う。
それほど、1年生や3年生との力の差はなく、ほとんどのレースが僅差でゴールしていた。
そんな中、他を引き離してぶっちぎりでゴールをしたのは――。
「「律希くーーーーーん!!」」
ファンの黄色い声援を背中に受ける、りっくんだった。
さすが、運動神経のいいりっくん。
同じレースを走り終わった他の人は、ハァハァと肩で息をしているというのに、1位でゴールしたりっくんは涼しい顔をしている。
そんなりっくんを遠めから見ていたら、わたしに気づいてくれた。
『すごいね!』
口パクでそう言ってみると、りっくんは微笑んでくれた。
すると、隣にいた芽依が…。
「しずく、見た!?今のっ!?律希くん、あたしのほう見て笑ってくれたよ!」
自分に微笑んでくれたと思った芽依は、大興奮だった。
「律希くん、かっこよすぎ~!ますます好きになっちゃうよ~♪」
この前まで、りっくんのことはなんとも思っていなかった芽依が、たった一度の一目惚れでこんなに周りが見えなくなってしまうなんて。
『恋は盲目』なんて言葉があるけれど、本当にその通りだと思った。
そのあとの競技も、りっくんは大活躍だった。
わたしもりっくんみたいにがんばりたかったのだけれど、あまり運動が得意ではないわたしは思い通りにはいかず…。
そんなわたしと違って、走りの速い芽依は競技で目立っていた。
男女混合の競技では、たまたまりっくんと同じチームに。
「しずく、あんまり張り切りすぎるなよ」
「…りっくん!」
わたしのことを気遣ってか、りっくんが話しかけてきた。
「そうだよね…。わたしがいたら、足手まといになっちゃうよね」
「そんなこと言ってねぇよ。無茶して、ケガでもしたら困るだろ」
「うん、ありがとう。ほどほどにがんばる」
「だなっ」
そう言って、りっくんはわたしの頭の上にポンッと手を置いた。
「それにしても、篠田さんって運動神経いいんだね」
「…えっ!あたし…!?」
りっくんに話しかけられて、驚いて顔を赤らめる同じチームの芽依。
「さっきの競技もすごかった。俺が真ん中から攻めるから、篠田さんは端から相手の陣地に入ってくれる?」
「うん、わかった♪」
わたしには張り切りすぎるなと言っていたけど、芽依とは競技の作戦を練っている。
仲よさそうに話す2人が、なんだかうらやましく見えて…。
わたし、ここにいていいのかなって思ってしまった。
前までは、たまにあいさつを交わす程度だったりっくんと芽依。
それがこの体育祭を通じて、ものすごく距離が縮まったように見えるのは傍から見てもわかる。
ほら、周りのりっくん狙いの女の子たちだって、そんな2人の様子をうらやましそうに見ている。
わたしも芽依の親友として、2人が仲よくなってくれるのはすごくうれしいんだけど…。
これが、りっくんと芽依のハチマキを交換した効果なのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えていた。
体育祭は順調に進行し、無事に閉会式を迎えた。
そして、りっくんや芽依たちの活躍のおかげで、今年は見事2年生が優勝した。
その帰り。
体操服から制服に着替えたわたしは、興奮冷めやらぬ芽依といっしょに学校を出る。
すると、前方に背の高いりっくんの頭が見えた。
「あれ、律希くんじゃない!?1人かなっ!?」
「そうみたいだね」
わたしがそう言うと、芽依は突然わたしの手をギュッと握った。
「しずく!もう1個だけ、お願い聞いてもらってもいいかな…!?」
かわいく舌をペロッと出す芽依。
芽依からされた、頼みごと。
それは、りっくんといっしょに帰りたいというものだった。
芽依の家は、りっくんの家までの通り道だということは知っていた。
それまでのルートも同じだろうから、いっしょに帰ることはできるはず。
だけど、芽依自身がりっくんを誘ったら、自分に気があるんじゃないのかと悟られるのが恥ずかしいみたいで…。
3人で帰るフリをして、途中から2人きりにしてほしいというお願いだった。
そんなことしなくたって、わたしの家はりっくんとは真逆だから、あそこの突き当りでりっくんとは別れることになるのに。
でも、親友の芽依のお願いだから、わたしは自然に帰るフリをして、りっくんにはちゃんと芽依を送るように頼んでおこう。
そんなことを頭の中で考えながら、芽依といっしょにゆっくりと後ろからりっくんに近づいた。
「りっくん!」
「…ん?…あっ。しずく、篠田さん」
「今日はお疲れさま、律希くん!」
「ああ、お疲れ」
そんなりっくんとの些細な会話でさえ、芽依はうれしくて悶えている。
今日の体育祭についていろいろと話していたら、あっという間に分かれ道の突き当りに差し掛かった。
ここでわたしは、芽依の頼みごとを平静を装って実行に移す。
「あ、そうそう!確かりっくんの家に行くまでの道に、最近新しいパン屋さんができたよねっ」
「ああ、あそこのパン屋な。朝いつも混んでるよ」
「ちょうど、芽依の家ってあの辺りなんだって!」
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私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
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