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12月24日21時~12月25日5時~10時
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ある覚悟を決めた僕は、さっきまで居た、手術室の前のソファーにゆっくり腰掛けた。
目を閉じ、手術の成功を願った。
(神様。この先、どんな理不尽な事があっても、僕たちは諦めません。だから、風花を助けてください…)
僕の意識は遠のいた。
「…………い、…………。起きて…さ………、……。起きて下さい……」
声が聞こえ、目を開いた。
僕の目の前には、手術をするときの服を着た、男の先生が立っていた。その後ろの手術中と書かれたランプは消えていた。
「先生…。手術は……?」
寝起きで枯れ枯れの声を振り絞って出す。
すると、男の先生はつけていたマスクを外し、優しく微笑んだ。
「手術は成功です。あと、2日もすれば話せるようになりますよ」
この言葉をどれだけ待ち望んだことか。自然と僕の瞳から涙が流れた。あの長い夜を超え、一番聞きたかった言葉を聞けた。これだけで、今は満足だった。
「あ、ありがどうございまじた……、」
泣いてるためよく分からない言葉になりながらも、先生に感謝の気持ちを述べる。もう、一安心だと思った刹那、先生の口から聞きたくなかった言葉が溢れた。
「彼女の余命は……。」
先生の言葉は続かなかった。
不思議に思い、目をつむり下を向いていた僕は、顔を上げ、先生の顔を見た。その瞬間、胸が矢で撃たれたように痛くなった。
「先生?なんで泣いているんですか?」
「え?」
先生の瞳からは、大量の涙の雫が零れていた。
静かな静寂の後、先生は膝を折り、地面に跪いた。
「あ、あぁ……。私の無力のせいだ……。彼女を殺すのは私なんだ……。すまない…。私が無能なばかりに……。あぁ!!私はなぜ生きているんだ!!」
狂ったように泣き始めたかと思うと、いきなり大声を出し始めた先生に驚きの感情を隠せなかった僕は、無様に泣く先生を見てることしかできなかった。
あれから僕の両親が迎えに来てくれて、家に泊まる準備をしに帰った。
看護師からすると普通なら泊まるのは嫌がりたいところなのだが、「彼氏なのだからしょうがない…」と言う訳で、泊まりを特別許可してくれた。
「じゃあ、母さん、行ってくるよ。」
「大丈夫なの?」
「あぁ。」
白色のコートに見を包んだ僕は、黒色の通学靴を履きながら、母親に挨拶をする。
「じゃあ、何かあったら連絡する」
「分かったわ。自分を責めないでね」
「………」
小さく頷き、ドアを開く。辺りは雪で真っ白になっていた。
手を振る母親に、軽く手を振り、父が乗っている黒色のプリウスの助手席に乗る。
「ほら、これでも噛んでおけ。」
車に入るなり、父親はミントガムを渡してくる。不器用な父なりの気遣いなのだろう。
「うん。ありがとう」
受け取ると同時に、車が静かに動き出す。
それからの事はなぜか記憶にない。
そして気付いたときには病院に着いていた。
目を閉じ、手術の成功を願った。
(神様。この先、どんな理不尽な事があっても、僕たちは諦めません。だから、風花を助けてください…)
僕の意識は遠のいた。
「…………い、…………。起きて…さ………、……。起きて下さい……」
声が聞こえ、目を開いた。
僕の目の前には、手術をするときの服を着た、男の先生が立っていた。その後ろの手術中と書かれたランプは消えていた。
「先生…。手術は……?」
寝起きで枯れ枯れの声を振り絞って出す。
すると、男の先生はつけていたマスクを外し、優しく微笑んだ。
「手術は成功です。あと、2日もすれば話せるようになりますよ」
この言葉をどれだけ待ち望んだことか。自然と僕の瞳から涙が流れた。あの長い夜を超え、一番聞きたかった言葉を聞けた。これだけで、今は満足だった。
「あ、ありがどうございまじた……、」
泣いてるためよく分からない言葉になりながらも、先生に感謝の気持ちを述べる。もう、一安心だと思った刹那、先生の口から聞きたくなかった言葉が溢れた。
「彼女の余命は……。」
先生の言葉は続かなかった。
不思議に思い、目をつむり下を向いていた僕は、顔を上げ、先生の顔を見た。その瞬間、胸が矢で撃たれたように痛くなった。
「先生?なんで泣いているんですか?」
「え?」
先生の瞳からは、大量の涙の雫が零れていた。
静かな静寂の後、先生は膝を折り、地面に跪いた。
「あ、あぁ……。私の無力のせいだ……。彼女を殺すのは私なんだ……。すまない…。私が無能なばかりに……。あぁ!!私はなぜ生きているんだ!!」
狂ったように泣き始めたかと思うと、いきなり大声を出し始めた先生に驚きの感情を隠せなかった僕は、無様に泣く先生を見てることしかできなかった。
あれから僕の両親が迎えに来てくれて、家に泊まる準備をしに帰った。
看護師からすると普通なら泊まるのは嫌がりたいところなのだが、「彼氏なのだからしょうがない…」と言う訳で、泊まりを特別許可してくれた。
「じゃあ、母さん、行ってくるよ。」
「大丈夫なの?」
「あぁ。」
白色のコートに見を包んだ僕は、黒色の通学靴を履きながら、母親に挨拶をする。
「じゃあ、何かあったら連絡する」
「分かったわ。自分を責めないでね」
「………」
小さく頷き、ドアを開く。辺りは雪で真っ白になっていた。
手を振る母親に、軽く手を振り、父が乗っている黒色のプリウスの助手席に乗る。
「ほら、これでも噛んでおけ。」
車に入るなり、父親はミントガムを渡してくる。不器用な父なりの気遣いなのだろう。
「うん。ありがとう」
受け取ると同時に、車が静かに動き出す。
それからの事はなぜか記憶にない。
そして気付いたときには病院に着いていた。
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