ゴーレムと共に気ままにゆるりと異世界の旅へ

光月ゆの

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異世界渡界編

よからぬことを避けるため、バイクを売る

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空飛ぶ絨毯に困惑して、ぼんやりと空を眺めて現実逃避していたら、好奇心旺盛な男性に声をかけられ、そのまま勝手に話が進んで彼の上司に会うことに。

好奇心旺盛な親切な?彼に案内されてなすがままに付いて行く叶翔。

彼の名前? 知らないよ。お互いに自己紹介してないから。
彼も名前を名乗らないので、僕も名乗らない。

えーと、いちおこの人に付いて行って大丈夫かな? とは思ったよ。

でもさ、なんとなく、この状況を知っていそうなので、話を聞こうと思った。

危険なら逃げるつもりではいる。
要らぬ用心かも知れないが、用心しないよりはした方がいい。

彼の上司に会って話をすると、要らぬ用心だったと思った。
彼の言う通り、誠実な人だった。

「ほうほう。これは珍しい乗り物ですな。文献で見たことがある。一昔前に廃れてしまったというスモールバイクに似ていますな。ここに駐車すると目立ちますので、どうぞ車庫へ」

一先ず、原付きバイクが盗まれると困るので、いう通りに車庫へ移動して、原付きバイクを隠す。

「部下の話と先程の乗り物を見ますと、君は渡界者のようですな。恐らくこちらに来たばかりとお見受けします。私は中小企業ギルドに所属しております。ルバート社のランファル・ルバートと申します。
詳しい話はギルドで聞いてもらうとして、今は簡単にここが何処なのかをお話しましょう。ここはコメリ皇国。渡界者の方に分かりやすく言うと、魔法が盛んでゲームにあったようなダンジョンがあり、スキルも存在する世界ですな。
さて、ここまで話を聞いて、ご自分が渡界者だと理解できましたかな?」

あー、現実逃避をしてたけど、うっすらとだがここが地球ではない別の世界かも…と思っていた。
だって、空飛ぶ絨毯だからね。
地球ではあり得ないから。
なんとなく、異世界かもとは思ったよ。
渡界って、都会ではなかったことが判明した。紛らわしいなー。もー。

「えーと、僕は保村叶翔ほむらかなと、こちらだとカナト ホムラかな。 ここが何処なのかは国の名前を聞いてもいまいちでしたが、魔法やダンジョン、スキルという言葉は理解できました。魔法が存在するのなら、地球ではない世界だということも…」

「…地球というのが、カナト君がいた世界のようですな。部下から聞いたでしょうが、渡界者を保護する法律は大分前になくなり、今は渡界者の生活を保証するシステムはないのです。
と言っても、身一つでこの世界に来たので、多少の優遇はする筈。まずは身分証の作成、住む場所の提供などですかな。最低でも一月分の生活費は貸して貰える筈。まずは、斡旋ギルドで身分証を作成して詳しい話を聞くと良いでしょうな」

渡界者…全く紛らわしい言葉だなー。
異なる時空間を、異界を渡り歩く人という意味らしい。


「ああ、忘れるとこでしたが、カナト君が所持しているあの乗り物は外では乗られない方がいいですな」

「えーと、あのバイクが珍しいから?」

「ええ、ええ、それはもうかなり! あの乗り物は文献にあるような大変珍しいモノ。滅多に、いや、この世界ではもはや目にすることはないかも知れない! 世界にたった一台の乗り物でしょうな。私も初めて見ました。大変珍しく、貴重なモノですな。それ故に、よからぬことを考える者が現れる可能性が非常に高いとも言えるでしょうな」

うーむ。なんということだ。
日本ではよくある原付バイクが、世界に一台だとか…面倒事に巻き込まれる可能性が高いなんて。
ランファルさんの興奮ぶりにちょっと引きつる叶翔。

「そこで一つご提案なのですが、出来るだけ早めにあの乗り物は手放した方が宜しいかと。私で良ければ、買い手の仲介をさせて頂きますので。
お金も必要でしょうから、あの乗り物を売ればそれなりの纏まったお金を手にすることができるでしょうな」

面倒事に巻き込まれるのはイヤだから、ここはさっさと売った方が良さそうだねー。
ランファルさんが仲介してくれるなら、変な人に紹介することもないハズ。

「そうですね。仲介をお願いできますか? こちらのお金も必要だし、出来れば他の乗り物とかあれば買いたいので」

「ええ、あの乗り物を売れば纏まったお金を手にできますので、代わりの乗り物を買うのも容易いでしょう。そうですな、私にお任せ頂けるなら、幾つかご用意しますよ?」

「ありがとうございます。ランファルさんにお願いします」

ということで、原付バイクは売却することに決まり、代わりの乗り物を探して貰うことになった。


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