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第3章覚醒の刻
24奴隷令嬢
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どうなってんだ?
『プレイヤー』を寄生するってありなのかよ。
俺の目の前には本来なら使役されるべき猫が、人間を使役する異様な光景が広がっていた。
猫の為に四つん這いになり背中を貸している火憐。
そして、その上で寝転がっている猫、こんな構図は一生お目にかかれるものではないだろう。
俺は異様な光景を目の当たりにしてひどく困惑していた。
自分がどうすれば良いのか、全く分からないほどだ。
当たり前だろう?
寄生という事実だけでも困惑するのに、火憐を寄生状態から解放するためにどうすれば良いのかが全く分からないからである。
それでも何か解決手段はないかと相手ステータスをじっくりと見つめていた。
――――――――――――――――――――――――――
●神猫(ゴッド・キティ)
Lv.200
○HP…『???』
○状態…『寄生《松尾(まつお) 火憐(かれん)》』
○殺人カウント…『???』
全ての猫を従える、猫中の猫。ダンジョンの長(おさ)。
その可愛い見た目に騙される者は、一生、猫の奴隷として地獄の日々を味わうことになる。
――――――――――――――――――――――――――
ダメだ。相手のステータスにはヒントになるような事が何も書かれていない。
いや、放置しておけばずっと猫の奴隷とされる事が分かっただけマシなのか。
彼女がずっと猫の奴隷になる。
上手く想像は出来ないが、ダンジョン内で一生を暮らすことになるのは確実だろう。
俺は恐る恐る彼女の方を見てみた。
「うぐっ……うっ……ゔぅ」
彼女も気づいているのだろう。このままだと一生ダンジョンでの生活になると。
唇を噛み締めて大粒の涙を流していた。
体が自由に動かないので、涙は流しっぱなしになり顔が濡れている。
何も話さずにただ俺の瞳を見つめているだけだ。
でも、どうすればいいんだよ。
俺が苦悩の表情で地面に顔を伏せたその時だった。
彼女が寄生されていると実感できる出来事が起きたんだ。
「い……いやぁあああ!」
火憐の弱々しい叫び声が聞こえる。
自らの不遇に絶望してあげた声なのだろうか、それとも実際に何かされてあげている悲鳴なのか。
答えは後者だった。
火憐の方向を見ると彼女は、目の前に移動してきた猫の全身を自らの舌で舐め回していたのである。
「うぐっ……ゲホッゲホッ……」
猫の足から頭まで舐めている。
恐らく毛づくろいの為なんだろう。猫は気持ち良さそうな表情をしているが、火憐の方は猫の毛や足についた砂利が口に入りむせていた。
猫の足を一本一本丁寧に、自らの口に含んで汚れを落としている。
俺は見るに耐えかねて目を逸らしてしまった。
ただ、火憐も俺の方を見もせずに地面の方をただ見つめている。
令嬢である彼女が獣を舐め回しているなど、恥ずかしくて人様と目を合わせられないのだろう。
そんな彼女を見て俺は急いで自らの画面を見た。
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:20秒
→ ●物理攻撃
●呪怨(じゅおん) ※可能、残り1回
●身を守る
●アイテム ――――――――――――――――――――――――――
それを見た俺はある事を思いついたんだ。
『呪怨(じゅおん)』を、あの猫だけに使えれば解放する事は出来るんじゃないか。って。
いや、でも危険すぎるか。
もし彼女も巻き込んで戦闘が終了してしまったら、それこそ一生奴隷のままになるかもしれない
今は、猫の毛づくろいだけで済んでいるがこの先に彼女が何をされるか。
【ザッザッ】
そんな事を考えていると敵の方が動き出した。
先程まで前方にいた猫が後ろに、その前に火憐が膝をついて立ちはだかる。
クソ……。
これで『呪怨(じゅおん)』が使えなくなったわけだ。
だけど、まだ俺には無限のHPがあるじゃないか。そうだ。時間を稼いで。
これは作戦と呼べるようなモノではないが時間稼ぎに移るしか無いだろう。そう思って火憐に伝えようとしたその時だった。
彼女の様子がおかしい事に気付いたんだ。
彼女は涙を流していた。明らかに恐怖を感じている表情をしている。
【ガブっ】
「痛っ……」
(今度はなんだ?)
火憐の方から叫び声が聞こえたのは分かる。
でも、彼女が前に立ちはだかっているので後ろで何が起きているのか分からない。
俺は居ても立っても居られなくなって火憐に向かって叫ぶ。
「火憐何かあったのか?!」
「うぅ……蓮。私、太腿(ふともも)をかじられたみたい。うぐっ……」
そうだ俺は忘れていた。
こいつらにとって、人間は単なる食料なんだ。
絶望に打ちひしがれる彼女も理解したようである。
いつの間にか、助けてという言葉を口にしなくなった。
「うぅ……う……」
火憐のすすり泣く声が、ダンジョン内に悲しく響いた。
『プレイヤー』を寄生するってありなのかよ。
俺の目の前には本来なら使役されるべき猫が、人間を使役する異様な光景が広がっていた。
猫の為に四つん這いになり背中を貸している火憐。
そして、その上で寝転がっている猫、こんな構図は一生お目にかかれるものではないだろう。
俺は異様な光景を目の当たりにしてひどく困惑していた。
自分がどうすれば良いのか、全く分からないほどだ。
当たり前だろう?
寄生という事実だけでも困惑するのに、火憐を寄生状態から解放するためにどうすれば良いのかが全く分からないからである。
それでも何か解決手段はないかと相手ステータスをじっくりと見つめていた。
――――――――――――――――――――――――――
●神猫(ゴッド・キティ)
Lv.200
○HP…『???』
○状態…『寄生《松尾(まつお) 火憐(かれん)》』
○殺人カウント…『???』
全ての猫を従える、猫中の猫。ダンジョンの長(おさ)。
その可愛い見た目に騙される者は、一生、猫の奴隷として地獄の日々を味わうことになる。
――――――――――――――――――――――――――
ダメだ。相手のステータスにはヒントになるような事が何も書かれていない。
いや、放置しておけばずっと猫の奴隷とされる事が分かっただけマシなのか。
彼女がずっと猫の奴隷になる。
上手く想像は出来ないが、ダンジョン内で一生を暮らすことになるのは確実だろう。
俺は恐る恐る彼女の方を見てみた。
「うぐっ……うっ……ゔぅ」
彼女も気づいているのだろう。このままだと一生ダンジョンでの生活になると。
唇を噛み締めて大粒の涙を流していた。
体が自由に動かないので、涙は流しっぱなしになり顔が濡れている。
何も話さずにただ俺の瞳を見つめているだけだ。
でも、どうすればいいんだよ。
俺が苦悩の表情で地面に顔を伏せたその時だった。
彼女が寄生されていると実感できる出来事が起きたんだ。
「い……いやぁあああ!」
火憐の弱々しい叫び声が聞こえる。
自らの不遇に絶望してあげた声なのだろうか、それとも実際に何かされてあげている悲鳴なのか。
答えは後者だった。
火憐の方向を見ると彼女は、目の前に移動してきた猫の全身を自らの舌で舐め回していたのである。
「うぐっ……ゲホッゲホッ……」
猫の足から頭まで舐めている。
恐らく毛づくろいの為なんだろう。猫は気持ち良さそうな表情をしているが、火憐の方は猫の毛や足についた砂利が口に入りむせていた。
猫の足を一本一本丁寧に、自らの口に含んで汚れを落としている。
俺は見るに耐えかねて目を逸らしてしまった。
ただ、火憐も俺の方を見もせずに地面の方をただ見つめている。
令嬢である彼女が獣を舐め回しているなど、恥ずかしくて人様と目を合わせられないのだろう。
そんな彼女を見て俺は急いで自らの画面を見た。
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:20秒
→ ●物理攻撃
●呪怨(じゅおん) ※可能、残り1回
●身を守る
●アイテム ――――――――――――――――――――――――――
それを見た俺はある事を思いついたんだ。
『呪怨(じゅおん)』を、あの猫だけに使えれば解放する事は出来るんじゃないか。って。
いや、でも危険すぎるか。
もし彼女も巻き込んで戦闘が終了してしまったら、それこそ一生奴隷のままになるかもしれない
今は、猫の毛づくろいだけで済んでいるがこの先に彼女が何をされるか。
【ザッザッ】
そんな事を考えていると敵の方が動き出した。
先程まで前方にいた猫が後ろに、その前に火憐が膝をついて立ちはだかる。
クソ……。
これで『呪怨(じゅおん)』が使えなくなったわけだ。
だけど、まだ俺には無限のHPがあるじゃないか。そうだ。時間を稼いで。
これは作戦と呼べるようなモノではないが時間稼ぎに移るしか無いだろう。そう思って火憐に伝えようとしたその時だった。
彼女の様子がおかしい事に気付いたんだ。
彼女は涙を流していた。明らかに恐怖を感じている表情をしている。
【ガブっ】
「痛っ……」
(今度はなんだ?)
火憐の方から叫び声が聞こえたのは分かる。
でも、彼女が前に立ちはだかっているので後ろで何が起きているのか分からない。
俺は居ても立っても居られなくなって火憐に向かって叫ぶ。
「火憐何かあったのか?!」
「うぅ……蓮。私、太腿(ふともも)をかじられたみたい。うぐっ……」
そうだ俺は忘れていた。
こいつらにとって、人間は単なる食料なんだ。
絶望に打ちひしがれる彼女も理解したようである。
いつの間にか、助けてという言葉を口にしなくなった。
「うぅ……う……」
火憐のすすり泣く声が、ダンジョン内に悲しく響いた。
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