数十センチの勇気

こつぶ

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見透かされてる?

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「あのさ。市村さんって俺のこと好きでしょ?」
「えっ、何急に!」
「んーなんとなく(笑)当たってる?」
「…。」
「なんで無言なの?」
「…ない。」
「え?」



「当たってない!」
「っちょ…!」



急にそんなことを言われた私は恥ずかしさのあまり
神山くんを突き飛ばして教室を出て廊下を走り出した。







「何なの…急にっ…。」
「ちょっと!…ちょっと待って!」
「追いかけてこないで!」
「ごめんって!謝るから!」
「やだ…っ!」



廊下を走りながら会話をしていたがやっぱり男子の足には勝てない。
次第に距離が縮まり神山くんに腕をつかまれた。






「っちょ…!」
「ごめんって。待って。」
「何?離してよ。」
「あ、ごめん。」


少し罰が悪そうにぱっと自分の手を離す神山くん。
本当の所は惜しいことをしたと
心の中で後悔しつつも必死に悟られまいと強がる私。




「なんで、急に逃げるの。」
「だって…神山くんが変なこと言うから。」
「変て…俺の勘違いだったってこと…かな。」
「え?」
「いや、なんとなく最近よく俺のこと見てるような気がして。」
「…!」
「ほら、その顔やっぱり図星でしょ?」

「…っち、違うもん。」
「じゃあ、誰をいつも見てたの?」
「それ…は…。」




言えない。


神山くんをずっと見ているなんて口が裂けても私には言えない事実だ。


どう言い訳しようかドギマギしていると神山くんから予想外の返答が来た。
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