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雨
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冷たい雨が地面を強く叩いていた。私は仕事帰りに、コンビニで購入したビニール傘を被りながら、鬱屈とした気分で帰路に就いていた。雨粒の大群が傘に落下する音、地面を叩く音。いつもはあまり気にならないのだが、今日は何故か非常に耳障りに感じたため、イヤホンを装着し、音楽プレイヤーで歌を聴くことにした。私は、流行に刺激されやすい性格なので、聴くのは流行りのポップな歌だ。
これで少しは不快感が解消されるのではないかと思ったが、軽快なリズムの合間に、遠くなった雨の音がノイズのように混じってくる。更に不快感が増したように思え、理不尽な怒りが奥底から沸沸と湧き上がってくる。遂には、イヤホンを乱暴に耳から抜き取った。また、雨の音が近くなった。私は何に怒っているのだろうか、いくら雨の音が煩いとはいえ、短気が過ぎるのではないか。いつもであれば、雨の音など気にも留めないであろうに。
理由も分からず湧き上がる怒りを抑えながら歩くこと数分、右手に公園が見えた。懐かしいな、娘が小さい時は、ここで一緒に遊んだものだ。縄跳びをしたり、ブランコに乗せてやったり、砂場でも遊んだな。あの頃の娘は可愛かったものだ。それが今となっては、反抗期なのか父親である私に毎日、顔を合わせるたびに罵詈雑言を浴びせてくるようになった。本当に憎たらしく育ってしまった。妻も妻で、娘の味方をするフリをして、便乗して私の悪口を言ってくる。そんなに私は父親として、夫として不出来な人間であろうか。もういっその事…
私の前から消えてくれないだろうか。公園を眺め、幸せだった頃の懐古に浸っていると、ドス黒い考えが私の中に芽生えた。今日はやけに感情が乱れるな。きっとこの不快な雨のせいだ、と考えた私は、更に足を早めて自宅へと向かった。雨脚が更に強まったように見えた。
自宅へ到着した私は、傘に付着した水滴を飛ばしたあと、傘を閉じ、扉を開けた。玄関には、妻がいつも履いている踵が高い、小洒落た靴と、娘の学校に履いていくローファーがあった。
「ただいまー」
いつも通り、私が帰ってきたと分かっても誰も迎えにはこない。私は、帰ってくるべきではない人間なのだろうか。雨が、家に入れろと言わんばかりに激しく扉を叩く音だけが耳に入ってくる。
誰も来ない玄関で突っ立っていても仕方がないので、革靴を脱ぎ、濡れた靴下を脱いでからリビングへと向かった。リビングでは制服姿の娘がソファでスマートフォンを忙しなく弄り、その後ろの台所では、妻が夕飯の支度をしていた。
「ただいまー」
再度挨拶をするが、やはり妻も娘も自分のことで忙しいのか、一言も言葉を返してはくれない。本来、家の中で団欒を目的とする場であるリビングに冷たい空気が漂う。挨拶くらい、返したらどうなんだ。たった一言、「おかえり」を言えない、そんな妻と娘を私は家族だと思えない。また、私の中で怒りが湧き上がり、胸を熱くする。リビングの大窓を叩く雨粒の一つ一つが、我慢するな、解放しろ、お前がやりたいようにやれ、この二人はお前とはなんら無関係な赤の他人だ、躊躇するな、と私に囁く。私は、台所へと向かった。
台所では、私とは無関係な赤の他人の女が包丁でトマトを切っていた。切るたびに薄赤い果汁が流れていく。
「あら、帰ってたの…そこにいると邪魔よ」
偶々、私の姿の影を視界の隅で捉えたのか、女が機械的に、無関心そうに言う。私は女に近付き、右手に持った包丁を奪い取る。女は私の行動を気にも留めていなかったため、比較的簡単に奪い取ることができた。
「!?」
予想外の行動に吃驚したのか、女は目を見開きこちらを見る。私は腕を振り上げてから、また勢いよく降ろした。女の右目から、先ほど切っていたトマトの果汁よりも濃厚な色をした果汁が、少量のしぶきを上げながら流れ出る。
「ぎゃあぁぁぁ!」
女が、聴くに耐えない不愉快な悲鳴を上げる。本来、悲鳴を上げたいのはこちらなのだ。毎日毎日、私のことを馬鹿にしやがって。左目にもブッ刺してやろうかと考えたが、やめた。私の目的は拷問ではない。私は、右目を押さえながら、突然の激痛に苦しむ女の髪の根っこを掴み、引っ張り上げる。顎が上がり、細い首筋が露わになる。
「う、あぁ…」
苦しそうな声を上げる女。私は少し可哀想だと思ったが、雨音が先程よりも激しく、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、と囃し立てる。私は女の首筋に刃を当て、そのまま刃を引いた。勢い良く果汁が飛沫し、近くの壁に点々と付着した。女は数秒、搾りかすのような声を上げながら地を這いつくばり、何かに耐えるように長い爪で床を引っ掻いていた。その後、床に倒れ込み微動だにしなくなった女を尻目に、私はソファの方へと向かった。
ソファでは、私とは無関係な赤の他人の小娘が、スマートフォンと睨めっこをしていた。台所で行われていたことには興味がない様子。恐らくあの女の悲鳴も、雨音とスマートフォンへの集中で耳に入らなかったに違いない。ならば、声をかけても仕方がない、と思った私は小娘の華奢で、小さな肩を後ろから軽く叩いた。
「なに?」
小娘は、不機嫌そうな顔をしながら、身体をこちらに向け、低く威嚇するような声を出した。
「ただいま」
私は、努めてにこやかに、優しい声で言いながら、腕を振り上げた。手に握られていたものが蛍光灯の光によって怪しく、赤く煌く。小娘のしかめていた顔は、それを見た瞬間一気に強張った。
「嘘っ、ちょ、やめ」
小娘が先ほどより弱気で、上擦った声で何かを言おうとしていたが、もう私の腕は振り下ろされていた。
「きゃぁぁぁ!」
刃が小娘の眉間を襲った瞬間、鼓膜が破れそうな程高音で、不快な悲鳴を上げる。眉間から流れ出た果汁が、小娘の小さな顔を赤黒く染めていく。雨音が、いいぞ、そいつも殺せ、とまた囁く。もう情などなかった私は、刃を小娘の小さく膨らんだ胸の中心よりやや左部分に狙いを定め、突き刺した。柔らかい肌にずぶずぶと楽に刃が沈んでいき、遂に刃の部分が見えなくなった。小娘の着ていた制服に果汁が染み出し、どんどんと広がっていく。小娘は、女とは違い、座ったまま、すぐに上半身が抵抗なく前のめりに倒れた。小娘の目の前にあったテーブルの角に額がぶつかり、鈍い音を上げたあと、小娘は動かなくなった。小娘の眉間から流れ出る果汁が、テーブルの側面から下へ垂れ落ち、床に敷いてあるベージュのマットを墨汁のように、黒く染める。私は、遂にやったのだ。今まで我慢していたことを、心の奥底に押し込めていたものを解放したのだ。
大窓から光が差し込んできた。気付けば激しく降っていた雨は上がっていた。大窓からは、先ほどまで黒雲が覆っていたのが嘘のように、茜色に揺らめく夕焼け空が映し出される。リビングは無音に包まれ、鉄の臭いが立ち込める。このまま、優雅に夕焼け空を眺めながら達成感と爽快感に浸るのも乙なものだ。そう思っていたが、何故か私の胸に込み上げてくるものは、言いようの無い虚無感と、後悔だけであった。そのため、私は急いでカーテンを閉めて、何か音が欲しかったのでテレビをつけた。テレビには天気予報士と女性アナウンサーが何か会話をしている様子が映し出される。
『いやー、今日は予報通り、全国雲一つない気持ちいい一日でしたねー』
『そうなんですよ、しかし、明日は低気圧が列島を襲うので、一日中雨に悩まされる一日になるでしょう』
『あらら、じゃあ明日は傘が必須な一日になりますね!』
『そうですね、皆さん外へ出る際は傘を忘れないようにしましょう』
私は、テレビの電源を切った。そして、私はあることに気付いた。先ほどまで光を放っていた蛍光灯が、何も言わずに天井に張り付いているのだ。紅い光が、カーテンを通し薄く差し込む仄暗い空間で、得体の知れない恐怖が私の背筋をなぞっていく。
これで少しは不快感が解消されるのではないかと思ったが、軽快なリズムの合間に、遠くなった雨の音がノイズのように混じってくる。更に不快感が増したように思え、理不尽な怒りが奥底から沸沸と湧き上がってくる。遂には、イヤホンを乱暴に耳から抜き取った。また、雨の音が近くなった。私は何に怒っているのだろうか、いくら雨の音が煩いとはいえ、短気が過ぎるのではないか。いつもであれば、雨の音など気にも留めないであろうに。
理由も分からず湧き上がる怒りを抑えながら歩くこと数分、右手に公園が見えた。懐かしいな、娘が小さい時は、ここで一緒に遊んだものだ。縄跳びをしたり、ブランコに乗せてやったり、砂場でも遊んだな。あの頃の娘は可愛かったものだ。それが今となっては、反抗期なのか父親である私に毎日、顔を合わせるたびに罵詈雑言を浴びせてくるようになった。本当に憎たらしく育ってしまった。妻も妻で、娘の味方をするフリをして、便乗して私の悪口を言ってくる。そんなに私は父親として、夫として不出来な人間であろうか。もういっその事…
私の前から消えてくれないだろうか。公園を眺め、幸せだった頃の懐古に浸っていると、ドス黒い考えが私の中に芽生えた。今日はやけに感情が乱れるな。きっとこの不快な雨のせいだ、と考えた私は、更に足を早めて自宅へと向かった。雨脚が更に強まったように見えた。
自宅へ到着した私は、傘に付着した水滴を飛ばしたあと、傘を閉じ、扉を開けた。玄関には、妻がいつも履いている踵が高い、小洒落た靴と、娘の学校に履いていくローファーがあった。
「ただいまー」
いつも通り、私が帰ってきたと分かっても誰も迎えにはこない。私は、帰ってくるべきではない人間なのだろうか。雨が、家に入れろと言わんばかりに激しく扉を叩く音だけが耳に入ってくる。
誰も来ない玄関で突っ立っていても仕方がないので、革靴を脱ぎ、濡れた靴下を脱いでからリビングへと向かった。リビングでは制服姿の娘がソファでスマートフォンを忙しなく弄り、その後ろの台所では、妻が夕飯の支度をしていた。
「ただいまー」
再度挨拶をするが、やはり妻も娘も自分のことで忙しいのか、一言も言葉を返してはくれない。本来、家の中で団欒を目的とする場であるリビングに冷たい空気が漂う。挨拶くらい、返したらどうなんだ。たった一言、「おかえり」を言えない、そんな妻と娘を私は家族だと思えない。また、私の中で怒りが湧き上がり、胸を熱くする。リビングの大窓を叩く雨粒の一つ一つが、我慢するな、解放しろ、お前がやりたいようにやれ、この二人はお前とはなんら無関係な赤の他人だ、躊躇するな、と私に囁く。私は、台所へと向かった。
台所では、私とは無関係な赤の他人の女が包丁でトマトを切っていた。切るたびに薄赤い果汁が流れていく。
「あら、帰ってたの…そこにいると邪魔よ」
偶々、私の姿の影を視界の隅で捉えたのか、女が機械的に、無関心そうに言う。私は女に近付き、右手に持った包丁を奪い取る。女は私の行動を気にも留めていなかったため、比較的簡単に奪い取ることができた。
「!?」
予想外の行動に吃驚したのか、女は目を見開きこちらを見る。私は腕を振り上げてから、また勢いよく降ろした。女の右目から、先ほど切っていたトマトの果汁よりも濃厚な色をした果汁が、少量のしぶきを上げながら流れ出る。
「ぎゃあぁぁぁ!」
女が、聴くに耐えない不愉快な悲鳴を上げる。本来、悲鳴を上げたいのはこちらなのだ。毎日毎日、私のことを馬鹿にしやがって。左目にもブッ刺してやろうかと考えたが、やめた。私の目的は拷問ではない。私は、右目を押さえながら、突然の激痛に苦しむ女の髪の根っこを掴み、引っ張り上げる。顎が上がり、細い首筋が露わになる。
「う、あぁ…」
苦しそうな声を上げる女。私は少し可哀想だと思ったが、雨音が先程よりも激しく、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、と囃し立てる。私は女の首筋に刃を当て、そのまま刃を引いた。勢い良く果汁が飛沫し、近くの壁に点々と付着した。女は数秒、搾りかすのような声を上げながら地を這いつくばり、何かに耐えるように長い爪で床を引っ掻いていた。その後、床に倒れ込み微動だにしなくなった女を尻目に、私はソファの方へと向かった。
ソファでは、私とは無関係な赤の他人の小娘が、スマートフォンと睨めっこをしていた。台所で行われていたことには興味がない様子。恐らくあの女の悲鳴も、雨音とスマートフォンへの集中で耳に入らなかったに違いない。ならば、声をかけても仕方がない、と思った私は小娘の華奢で、小さな肩を後ろから軽く叩いた。
「なに?」
小娘は、不機嫌そうな顔をしながら、身体をこちらに向け、低く威嚇するような声を出した。
「ただいま」
私は、努めてにこやかに、優しい声で言いながら、腕を振り上げた。手に握られていたものが蛍光灯の光によって怪しく、赤く煌く。小娘のしかめていた顔は、それを見た瞬間一気に強張った。
「嘘っ、ちょ、やめ」
小娘が先ほどより弱気で、上擦った声で何かを言おうとしていたが、もう私の腕は振り下ろされていた。
「きゃぁぁぁ!」
刃が小娘の眉間を襲った瞬間、鼓膜が破れそうな程高音で、不快な悲鳴を上げる。眉間から流れ出た果汁が、小娘の小さな顔を赤黒く染めていく。雨音が、いいぞ、そいつも殺せ、とまた囁く。もう情などなかった私は、刃を小娘の小さく膨らんだ胸の中心よりやや左部分に狙いを定め、突き刺した。柔らかい肌にずぶずぶと楽に刃が沈んでいき、遂に刃の部分が見えなくなった。小娘の着ていた制服に果汁が染み出し、どんどんと広がっていく。小娘は、女とは違い、座ったまま、すぐに上半身が抵抗なく前のめりに倒れた。小娘の目の前にあったテーブルの角に額がぶつかり、鈍い音を上げたあと、小娘は動かなくなった。小娘の眉間から流れ出る果汁が、テーブルの側面から下へ垂れ落ち、床に敷いてあるベージュのマットを墨汁のように、黒く染める。私は、遂にやったのだ。今まで我慢していたことを、心の奥底に押し込めていたものを解放したのだ。
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『あらら、じゃあ明日は傘が必須な一日になりますね!』
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