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エピソード1(1)気づいてるよ
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気づいてる。君が僕を見ている事。気づいてないと思ってるでしょ。僕はそれほど鈍感じゃないよ。
授業と授業の間にある10分間休み。僕は君との対決をしている。君は対決なんて思ってないだろうけど。
君の方を気づかれない程度に見てみる。君も僕の方を見ている。きっとここで目を逸らすと僕は君に負ける。だから僕は違う所を見ているふうを装って君との対決を有利にさせる。
「萌夏いつもどっか見てるよね」
君は僕から目を逸らし「どこも見てないよ~!」と、両手を振って否定する。
やっぱり君は僕とは違う。いつも誰かが近くにいて誰かと楽しそうに話をして。
そんな君がどうして僕に好意を寄せる。
君からの好意に気がついたのは3ヶ月くらい前の事だった。
僕はいつも通り授業が終わって直ぐに教科書を片付けて次の授業の準備をした。ふと窓の外を何かが飛んで行ったような気がして外を見る。そしたら君と目が合った。君はびっくりしたように目を開いて顔を逸らした。ただの偶然だと思っていた。そうでは無いのだと気づいたのはそういう事が以前にも数回あったから。初めは偶然だとそう思っていた。でもこれだけ何回も続けば「もしかして、」の事だって想像してしまう。
日が経てば経つほどその考えは確信へと変わっていった。
僕だってただ目が合うだけなら彼女が僕に好意を寄せているなんて安易に考えたりはしない。でも君の行動はそれだけじゃないようだった。
ある日、先生に提出していたプリントが僕の物だけ返ってこなかった。いつもきちんと提出しているから返ってこないなんてはずがない。プリントを配ったのは彼女を含めた3人だった。あまり人を疑いたくはなかったが疑うしか理由は教科担任がいつもきちんと仕事をこなすベテランの先生だったからだ。
チラッと彼女の方を見てみる。彼女は2枚のプリントをずっと眺めていた。何をしているのかはわからなかったが僕は何となくその一方のプリントが僕の物なのではないかと思ってしまった。しばらく様子を見ていると彼女はスっと手を挙げ「すみません!!私の所に2つ配られてました」といつもの明るい声でそう言った。彼女が僕に渡してきたプリントは彼女がずっと見ていたプリントだった。
偶然だ。そう信じようと思ったが彼女が僕にプリントを渡した時偶然ではないと思った。「ごめんね。配ってる時に自分のやつあったからそのまま持ってたら気づかなかった」
気づかないはずがない。だって君は、プリントを何度も何度も見て意味のない笑みを浮かべていたのだから。
「そっか。ありがとう」
「神谷くん、字綺麗だね」
プリントを受け取り席に座る彼女の方を見る。彼女も僕の方を見た。そっと微笑んだ彼女に、あえて僕も微笑み返した。
ほんの少し耳を赤らめた彼女は、僕の考えが間違ってはいないと証明しているようだった。
彼女の口元がパクパクと動く。
「き、の、せ、い、じゃ、な、い、か、も、ね」
きっと見間違えなんだと思う。だけど、君の行動は紛らわしいくらいに勘違いしそうになってしまう。
だから僕は主張したい。
「気づいてないわけじゃないよ」
もう一度彼女を見る。再び目が合う。彼女がしたように口を動かす。
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
授業と授業の間にある10分間休み。僕は君との対決をしている。君は対決なんて思ってないだろうけど。
君の方を気づかれない程度に見てみる。君も僕の方を見ている。きっとここで目を逸らすと僕は君に負ける。だから僕は違う所を見ているふうを装って君との対決を有利にさせる。
「萌夏いつもどっか見てるよね」
君は僕から目を逸らし「どこも見てないよ~!」と、両手を振って否定する。
やっぱり君は僕とは違う。いつも誰かが近くにいて誰かと楽しそうに話をして。
そんな君がどうして僕に好意を寄せる。
君からの好意に気がついたのは3ヶ月くらい前の事だった。
僕はいつも通り授業が終わって直ぐに教科書を片付けて次の授業の準備をした。ふと窓の外を何かが飛んで行ったような気がして外を見る。そしたら君と目が合った。君はびっくりしたように目を開いて顔を逸らした。ただの偶然だと思っていた。そうでは無いのだと気づいたのはそういう事が以前にも数回あったから。初めは偶然だとそう思っていた。でもこれだけ何回も続けば「もしかして、」の事だって想像してしまう。
日が経てば経つほどその考えは確信へと変わっていった。
僕だってただ目が合うだけなら彼女が僕に好意を寄せているなんて安易に考えたりはしない。でも君の行動はそれだけじゃないようだった。
ある日、先生に提出していたプリントが僕の物だけ返ってこなかった。いつもきちんと提出しているから返ってこないなんてはずがない。プリントを配ったのは彼女を含めた3人だった。あまり人を疑いたくはなかったが疑うしか理由は教科担任がいつもきちんと仕事をこなすベテランの先生だったからだ。
チラッと彼女の方を見てみる。彼女は2枚のプリントをずっと眺めていた。何をしているのかはわからなかったが僕は何となくその一方のプリントが僕の物なのではないかと思ってしまった。しばらく様子を見ていると彼女はスっと手を挙げ「すみません!!私の所に2つ配られてました」といつもの明るい声でそう言った。彼女が僕に渡してきたプリントは彼女がずっと見ていたプリントだった。
偶然だ。そう信じようと思ったが彼女が僕にプリントを渡した時偶然ではないと思った。「ごめんね。配ってる時に自分のやつあったからそのまま持ってたら気づかなかった」
気づかないはずがない。だって君は、プリントを何度も何度も見て意味のない笑みを浮かべていたのだから。
「そっか。ありがとう」
「神谷くん、字綺麗だね」
プリントを受け取り席に座る彼女の方を見る。彼女も僕の方を見た。そっと微笑んだ彼女に、あえて僕も微笑み返した。
ほんの少し耳を赤らめた彼女は、僕の考えが間違ってはいないと証明しているようだった。
彼女の口元がパクパクと動く。
「き、の、せ、い、じゃ、な、い、か、も、ね」
きっと見間違えなんだと思う。だけど、君の行動は紛らわしいくらいに勘違いしそうになってしまう。
だから僕は主張したい。
「気づいてないわけじゃないよ」
もう一度彼女を見る。再び目が合う。彼女がしたように口を動かす。
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
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