婚約者を選ぶことができるみたいです

挫折

17歳になった私達の平和な日常に、王都の辺境で盗賊の小競り合いが起きていると情報がはいった。18歳近くなると婚約者がいない貴族は実績を積むためにこのような問題に取り組むことが多い。女性も官吏の記録として赴くものもいる。ここで実績をあげたら、卒業後とりたててもらえたりするからだ。私は救護で、他のみんなは実際の現場で働くこととなった。
　シャルは実際の指揮として、フランソワは現状の記録や物資の調達として、エディとアマデオは戦闘員として動く。みな素晴らしい働きだった。
　戦闘も終わりかけたと思ったその日、シャルルは一部の河の地形を見逃してしまっていた。そこから残りの力を振り絞って盗賊達が奇襲してきた。
幸い、腕を切断したり命を落とすようなものはいなかったが、シャルルも含めて切り傷など負傷した。
　救護で休み、縫合や抗菌薬を投与される。シャルルの久しぶりの挫折である。学園の仲間や部下達に頭を下げてまわっていた。
　もちろん、サラを避けるようにしていた。その背中がとてつもなく小さくみえ、せつない気持ちになる。この戦闘に対しても何度も何度も確認して準備をしていたのだ。好きな女に合わす顔がなかったのだろう。他の男達に囲まれている彼女を見るのが辛くなっていた。
　気づけば、この国の責任というものを自覚していたし失敗してしまった今、自身の能力にも疑いをもってしまう。痛み止めが効かない間は痛くて熱くて眠れない夜を過ごす、同じように苦しんで声をあげてしまう者もいた。
　弟は自分を慕い、問題をなんとか解決したことできらきらした瞳で俺を見ていたが、今は眼をそらしてしまう。　
　そんな自分の背中をサラがじっと見てることに気付いてなかった。