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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その玖
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クリスマスパーティーの準備の指揮は、基本的には仁和が行った。料理も、仁和に教わって次第に上達していった。
そろそろ、仁和にクリスマスパーティーの準備を一任出来るだろう。俺は、輝宗を助けるための方法を推理することにした。推理するには、ホームズの存在が重要になってくる。で、ホームズを呼び出した。
「やあ、どうしたんだい?」
「輝宗を助け出す方法を推理する。そのためには、ホームズが必要だ」
「ハハハ。それは嬉しいね」
「ホームズは名探偵だし、一緒に考えてもらっても良いか?」
「構わないよ。僕の愛弟子のお願いを、断るわけにはいかないしね」
「愛弟子、か」
俺は仁和から預かったホームズシリーズの正典を並べた。
「これは......僕の本だね。日本語版だ」
「ああ、そうだ。推理を始めようか」
輝宗を殺さずに生かす手段が、必ずこの本の中に隠されているはずなんだ。推理で正解を導き出すのが、正攻法である。そうするためには、ホームズからもっとくわしく異世界について聞き出す。今日はひたすら推理だ。
「僕は異世界のことを、ただただ話していればいいわけだ」
「そういうこと。異世界について、教えてくれよ」
ホームズは一度うなずいた。
「これから、僕の住む異世界のことを話す。どこから話せば良いんだ?」
「全てだ。前に聞けなかった部分を、包み隠さず話してもらう」
「OK! 任せろ。僕がワトスンと出会った、『緋色の研究』の話しからしよう」
ホームズは笑顔になり、ワトスンとの出会いから事細かに説明してくれた。ただ、これといって有益な情報がないから、今は省くことにする。ただ一つ、これだけは話しておいた方が良さそうだから、その時のことを記しておこう。
「あれは僕の四冊目の本である『シャーロック・ホームズの思い出』での出来事だ。シャーロック・ホームズの思い出、原題は『The Memoirs of Sherlock Holmes』。これは短編集だが、この中の最後の一編が『最後の事件』という短編だ。原題は『The Final Problem』。内容はご存知の通り、ジェームズ・モリアーティ教授と僕がライヘンバッハの滝に真っ逆さまに落ちた物語だ。
僕はその時、重要な事件を手掛けていた。慎重に周囲を警戒しながらワトスンのいる診察室に入ったわけだ。ワトスンは酷く驚いていたね。ワトスンに、鎧戸を閉めて良いか尋ねた。そして、こそこそと鎧戸を閉めたんだ。ワトスンはきょとんとしながらも、口を開いた。
『何かにおびえているのか?』
『まったくその通り。空気銃で狙われている』
僕はワトスンをヨーロッパ旅行に誘った。期間は、一週間程度。すると当然、ワトスンはその理由を聞いてきた。僕は説明を始めた。もちろん、この説明は空気銃で狙われている理由と直結する」
この説明は嫌に長かったから、俺が代わりに手短に説明をしよう。ホームズは、自身と互角の力を有するモリアーティ教授と戦っていたのだ。モリアーティ一味に罠を掛けて、もうすぐ捕まえられるというところでモリアーティはそれに気付いてホームズの家に行ったらしい。そこでモリアーティはホームズに、破滅に向かうとか何とか言ったがホームズは『君を破滅させるためなら僕は喜んで破滅する』と断言する。
それから、モリアーティはホームズの襲うことを開始した。警察がモリアーティ一味逮捕に動く三日後まで耐え忍ぶため、ホームズはワトスンと逃げることを決意し、診察室を訪れたようだ。
「僕はワトスンに、翌朝に落ち合わせようと話して医院を去った。翌日にワトスンと合流すると、僕達は逃亡したんだ。
三日後、あれは度肝を抜かれた。無能な警察どもはモリアーティただ一人だけを取り逃がしたと知った。僕はワトスンを危険な目に遭わせたくなかったから、ロンドンに帰れと言ったんだがああ見えて強情だった。仕方ないから、旅行を続けた。
その旅行の間にライヘンバッハの滝に寄り、うまくワトスンと別れることに成功した。僕はニヤリと笑みを浮かべながら滝を眺めていたよ。するとまったく、モリアーティは僕の策略にはまっていることを知らずにのこのこと歩いてきたんだ。だが、モリアーティも馬鹿ではない。何かしらの勝算はあるのだろう。僕は感覚を研ぎ澄ます。というのも、滝に近いから、音は頼りにならないのだ。あいにく、感覚を頼るしかない。
そうしていると、何者かの気配を感じた。登山杖に体重を移しつつ、そちらをチラリと見た。どうやら、モラン大佐がライフルを握って隠れていた。モラン大佐というのはモリアーティの配下の一人で、インド陸軍の大佐だった者だ。ライフルの扱いは手慣れたもので、これは面白くなってきたと思ったよ。
モリアーティに目を向け直すと、彼も笑っていた。さて、どちらの命運が尽きるのだろうか」
ホームズは椅子に腰を掛け、足を組んだ。そのホームズの顔は、いつにも増して嬉しそうである。右手にはホームズお手製のアヘン。そろそろ注射針のピストンを押す頃だ。
そろそろ、仁和にクリスマスパーティーの準備を一任出来るだろう。俺は、輝宗を助けるための方法を推理することにした。推理するには、ホームズの存在が重要になってくる。で、ホームズを呼び出した。
「やあ、どうしたんだい?」
「輝宗を助け出す方法を推理する。そのためには、ホームズが必要だ」
「ハハハ。それは嬉しいね」
「ホームズは名探偵だし、一緒に考えてもらっても良いか?」
「構わないよ。僕の愛弟子のお願いを、断るわけにはいかないしね」
「愛弟子、か」
俺は仁和から預かったホームズシリーズの正典を並べた。
「これは......僕の本だね。日本語版だ」
「ああ、そうだ。推理を始めようか」
輝宗を殺さずに生かす手段が、必ずこの本の中に隠されているはずなんだ。推理で正解を導き出すのが、正攻法である。そうするためには、ホームズからもっとくわしく異世界について聞き出す。今日はひたすら推理だ。
「僕は異世界のことを、ただただ話していればいいわけだ」
「そういうこと。異世界について、教えてくれよ」
ホームズは一度うなずいた。
「これから、僕の住む異世界のことを話す。どこから話せば良いんだ?」
「全てだ。前に聞けなかった部分を、包み隠さず話してもらう」
「OK! 任せろ。僕がワトスンと出会った、『緋色の研究』の話しからしよう」
ホームズは笑顔になり、ワトスンとの出会いから事細かに説明してくれた。ただ、これといって有益な情報がないから、今は省くことにする。ただ一つ、これだけは話しておいた方が良さそうだから、その時のことを記しておこう。
「あれは僕の四冊目の本である『シャーロック・ホームズの思い出』での出来事だ。シャーロック・ホームズの思い出、原題は『The Memoirs of Sherlock Holmes』。これは短編集だが、この中の最後の一編が『最後の事件』という短編だ。原題は『The Final Problem』。内容はご存知の通り、ジェームズ・モリアーティ教授と僕がライヘンバッハの滝に真っ逆さまに落ちた物語だ。
僕はその時、重要な事件を手掛けていた。慎重に周囲を警戒しながらワトスンのいる診察室に入ったわけだ。ワトスンは酷く驚いていたね。ワトスンに、鎧戸を閉めて良いか尋ねた。そして、こそこそと鎧戸を閉めたんだ。ワトスンはきょとんとしながらも、口を開いた。
『何かにおびえているのか?』
『まったくその通り。空気銃で狙われている』
僕はワトスンをヨーロッパ旅行に誘った。期間は、一週間程度。すると当然、ワトスンはその理由を聞いてきた。僕は説明を始めた。もちろん、この説明は空気銃で狙われている理由と直結する」
この説明は嫌に長かったから、俺が代わりに手短に説明をしよう。ホームズは、自身と互角の力を有するモリアーティ教授と戦っていたのだ。モリアーティ一味に罠を掛けて、もうすぐ捕まえられるというところでモリアーティはそれに気付いてホームズの家に行ったらしい。そこでモリアーティはホームズに、破滅に向かうとか何とか言ったがホームズは『君を破滅させるためなら僕は喜んで破滅する』と断言する。
それから、モリアーティはホームズの襲うことを開始した。警察がモリアーティ一味逮捕に動く三日後まで耐え忍ぶため、ホームズはワトスンと逃げることを決意し、診察室を訪れたようだ。
「僕はワトスンに、翌朝に落ち合わせようと話して医院を去った。翌日にワトスンと合流すると、僕達は逃亡したんだ。
三日後、あれは度肝を抜かれた。無能な警察どもはモリアーティただ一人だけを取り逃がしたと知った。僕はワトスンを危険な目に遭わせたくなかったから、ロンドンに帰れと言ったんだがああ見えて強情だった。仕方ないから、旅行を続けた。
その旅行の間にライヘンバッハの滝に寄り、うまくワトスンと別れることに成功した。僕はニヤリと笑みを浮かべながら滝を眺めていたよ。するとまったく、モリアーティは僕の策略にはまっていることを知らずにのこのこと歩いてきたんだ。だが、モリアーティも馬鹿ではない。何かしらの勝算はあるのだろう。僕は感覚を研ぎ澄ます。というのも、滝に近いから、音は頼りにならないのだ。あいにく、感覚を頼るしかない。
そうしていると、何者かの気配を感じた。登山杖に体重を移しつつ、そちらをチラリと見た。どうやら、モラン大佐がライフルを握って隠れていた。モラン大佐というのはモリアーティの配下の一人で、インド陸軍の大佐だった者だ。ライフルの扱いは手慣れたもので、これは面白くなってきたと思ったよ。
モリアーティに目を向け直すと、彼も笑っていた。さて、どちらの命運が尽きるのだろうか」
ホームズは椅子に腰を掛け、足を組んだ。そのホームズの顔は、いつにも増して嬉しそうである。右手にはホームズお手製のアヘン。そろそろ注射針のピストンを押す頃だ。
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