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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その拾玖
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ホームズに意識はない。ルパン一人で怪人二十面相に立ち向かうしか手段はない。しかし、ルパンは体から重い道具を抜き去ったばかりだから、怪人二十面相から逃げる方法は少ない。
「起きるんだ、ホームズ!」
「ルパン、ホームズ。君達は俺のアジトに来やがれ!」
「ホームズ、起きろ! 逃げるんだ!」
「チッ!」
怪人二十面相は催眠術を使った。怪人二十面相は特別な力により、催眠術を使える。それを事前に知っていたルパンは、何とか意識を保ち、ホームズを担いだ。しかしすぐに追いつかれて、怪人二十面相に横っ腹を蹴られる。
「ぐあぁ!」
「人を殺すのは好きじゃないが、あんなの言った通り殺すことは出来なくもない」
「ちくしょうっ!」
ルパンはホームズの持つステッキを拝借し、怪人二十面相を叩く。
「俺は柔道五段だ! 舐めるなよ」
ここは冷静な判断をし、ルパンはホームズを置いて逃げる。怪人二十面相は、そう来たかと、と度肝を抜かれるも、配下にホームズを託してルパンを追った。
ルパンは人気のない場所へ進め、森に入った。しかし目の前に水深の深い川が現れ、背水として絶体絶命となった。
「終わりだ、ルパン!」
ルパンは両手を背中に回して、ポケットから山羊の盲腸を取り出す。
「私は負けない。全世界で泥棒としての経験がある私は、こういう場面に幾度も遭遇した。けれどいつも、勝ってきたんだ!」
山羊の盲腸に、両手で急いで空気を入れて、口を密閉する。それを数個こしらえると、川へと走り出した。
「あっ!」
山羊の盲腸を浮き輪の代わりとして、川を猛スピードで渡った。向こう岸に着いたルパンは、ニヤリと笑った。
「貴様には川は渡れまい!」
「そんなことはないさ」
怪人二十面相は四角い箱を背負い、スイッチを入れた。すると体が地上から離れ、重力に逆らって空をかき分ける。
「話しに聞く怪人二十面相の空飛ぶ道具だな」
ルパンは感心し、それからすぐに走り出した。怪人二十面相も川を渡り終えると、箱を置いて駆けだした。ルパンは一足先に、自分が断崖絶壁に到着したことに気付く。隠れる場所を探し、近くの小屋に身を潜めた。
遅れて到着した怪人二十面相は、断崖の下を覗き込んだ。
「下にはいないようだ」
小屋に目を向けて、耳を澄ます。息が荒いルパンが、この小屋の中にいる。怪人二十面相は小屋を押して、断崖の下に落とした。これにはルパンも予想外で、アッと叫んだ。
「これからは俺が二代目アルセーヌ・ルパンになってやるよ!」
「二十面相!」
小屋は断崖の下へ落ちてゆき、ものすごい落下速度で地面に直撃してペシャリ。
「一周忌にはここに来てやる」
そう言い残して、アジトに戻る。
怪人二十面相のアジトには、ホームズが幽閉されていて、まだ意識は朦朧としていた。だが、力を振り絞ってルパンの所在を尋ねた。
「ルパン? ああ、彼は断崖へ落ちていったよ」
「ルパンが!? 貴様っ!」
「名探偵ホームズとあろう君は哀れだ。どうだい? これからは名探偵と名乗らないが身のためだし、今日から俺の僕に堕ちたんだ。嬉しいかい?」
「嬉しいものか。コカインの七パーセントの液を持ってこい。皮下注射の針もだ」
「麻薬はある程度やめることだよ」
怪人二十面相はその場を去って行った。ホームズは状況を整理する。そして、ここから逃げ出すために推理をした。指をいじくり、ルパンに貰って指にはめていた山羊の盲腸を外した。すると、日本の紙幣とルパンからの手紙が入っていた。
ホームズはそれを読む。ルパンからの遺書のような文面、これからやってほしいこと云々が綴られていた。ホームズはライヘンバッハの滝と同様に目を拭った。
紙幣は何に使うのか考えたが、良い方法を思い付いて監視役の人物を呼んだ。
「どうした?」
「これをやる。だから僕をここから出してくれないかな?」
監視役は紙幣を凝視し、コンマ数秒間だけ思考を巡らせた。受け取るか受け取らないか、どちらがベストなのか。考えた末に、紙幣を受け取って懐に入れた。
「待っていろ」
「ああ、わかった。良い結果を期待しているから。出来ればコカインが欲しいがね」
監視役はホームズの言葉を無視し、闇の先に消えていった。ホームズは山羊の盲腸のチューブの中にルパンの手紙を入れ直し、指にはめた。
やがて足音が近づいて来たから、ホームズは来たかと顔を上げると怪人二十面相がいた。
「紙幣を配下に渡したようだね。ただ、俺の配下は俺に忠実なんだ。お金で心が揺らぐとでも思ったか?」
「ん、ああ」
「身体検査はしたが、どうやって紙幣を持ち込んだんだ?」
「ルパンの手法だよ。ただ、教えるわけにはいかないよ」
「そいつは残念だ」
ニヤニヤと笑う怪人二十面相の背後で爆発音が轟いた。そしてルパンの声が聞こえる。
ホームズは今までにない笑みを浮かべ、怪人二十面相は今までにない驚愕した顔になる。ルパンは生きていた。そして、怪人二十面相のアジトを突き止めてホームズを助けに来たのだ。いったいルパンは、どうやって生き長らえたのか。
「起きるんだ、ホームズ!」
「ルパン、ホームズ。君達は俺のアジトに来やがれ!」
「ホームズ、起きろ! 逃げるんだ!」
「チッ!」
怪人二十面相は催眠術を使った。怪人二十面相は特別な力により、催眠術を使える。それを事前に知っていたルパンは、何とか意識を保ち、ホームズを担いだ。しかしすぐに追いつかれて、怪人二十面相に横っ腹を蹴られる。
「ぐあぁ!」
「人を殺すのは好きじゃないが、あんなの言った通り殺すことは出来なくもない」
「ちくしょうっ!」
ルパンはホームズの持つステッキを拝借し、怪人二十面相を叩く。
「俺は柔道五段だ! 舐めるなよ」
ここは冷静な判断をし、ルパンはホームズを置いて逃げる。怪人二十面相は、そう来たかと、と度肝を抜かれるも、配下にホームズを託してルパンを追った。
ルパンは人気のない場所へ進め、森に入った。しかし目の前に水深の深い川が現れ、背水として絶体絶命となった。
「終わりだ、ルパン!」
ルパンは両手を背中に回して、ポケットから山羊の盲腸を取り出す。
「私は負けない。全世界で泥棒としての経験がある私は、こういう場面に幾度も遭遇した。けれどいつも、勝ってきたんだ!」
山羊の盲腸に、両手で急いで空気を入れて、口を密閉する。それを数個こしらえると、川へと走り出した。
「あっ!」
山羊の盲腸を浮き輪の代わりとして、川を猛スピードで渡った。向こう岸に着いたルパンは、ニヤリと笑った。
「貴様には川は渡れまい!」
「そんなことはないさ」
怪人二十面相は四角い箱を背負い、スイッチを入れた。すると体が地上から離れ、重力に逆らって空をかき分ける。
「話しに聞く怪人二十面相の空飛ぶ道具だな」
ルパンは感心し、それからすぐに走り出した。怪人二十面相も川を渡り終えると、箱を置いて駆けだした。ルパンは一足先に、自分が断崖絶壁に到着したことに気付く。隠れる場所を探し、近くの小屋に身を潜めた。
遅れて到着した怪人二十面相は、断崖の下を覗き込んだ。
「下にはいないようだ」
小屋に目を向けて、耳を澄ます。息が荒いルパンが、この小屋の中にいる。怪人二十面相は小屋を押して、断崖の下に落とした。これにはルパンも予想外で、アッと叫んだ。
「これからは俺が二代目アルセーヌ・ルパンになってやるよ!」
「二十面相!」
小屋は断崖の下へ落ちてゆき、ものすごい落下速度で地面に直撃してペシャリ。
「一周忌にはここに来てやる」
そう言い残して、アジトに戻る。
怪人二十面相のアジトには、ホームズが幽閉されていて、まだ意識は朦朧としていた。だが、力を振り絞ってルパンの所在を尋ねた。
「ルパン? ああ、彼は断崖へ落ちていったよ」
「ルパンが!? 貴様っ!」
「名探偵ホームズとあろう君は哀れだ。どうだい? これからは名探偵と名乗らないが身のためだし、今日から俺の僕に堕ちたんだ。嬉しいかい?」
「嬉しいものか。コカインの七パーセントの液を持ってこい。皮下注射の針もだ」
「麻薬はある程度やめることだよ」
怪人二十面相はその場を去って行った。ホームズは状況を整理する。そして、ここから逃げ出すために推理をした。指をいじくり、ルパンに貰って指にはめていた山羊の盲腸を外した。すると、日本の紙幣とルパンからの手紙が入っていた。
ホームズはそれを読む。ルパンからの遺書のような文面、これからやってほしいこと云々が綴られていた。ホームズはライヘンバッハの滝と同様に目を拭った。
紙幣は何に使うのか考えたが、良い方法を思い付いて監視役の人物を呼んだ。
「どうした?」
「これをやる。だから僕をここから出してくれないかな?」
監視役は紙幣を凝視し、コンマ数秒間だけ思考を巡らせた。受け取るか受け取らないか、どちらがベストなのか。考えた末に、紙幣を受け取って懐に入れた。
「待っていろ」
「ああ、わかった。良い結果を期待しているから。出来ればコカインが欲しいがね」
監視役はホームズの言葉を無視し、闇の先に消えていった。ホームズは山羊の盲腸のチューブの中にルパンの手紙を入れ直し、指にはめた。
やがて足音が近づいて来たから、ホームズは来たかと顔を上げると怪人二十面相がいた。
「紙幣を配下に渡したようだね。ただ、俺の配下は俺に忠実なんだ。お金で心が揺らぐとでも思ったか?」
「ん、ああ」
「身体検査はしたが、どうやって紙幣を持ち込んだんだ?」
「ルパンの手法だよ。ただ、教えるわけにはいかないよ」
「そいつは残念だ」
ニヤニヤと笑う怪人二十面相の背後で爆発音が轟いた。そしてルパンの声が聞こえる。
ホームズは今までにない笑みを浮かべ、怪人二十面相は今までにない驚愕した顔になる。ルパンは生きていた。そして、怪人二十面相のアジトを突き止めてホームズを助けに来たのだ。いったいルパンは、どうやって生き長らえたのか。
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