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第四章『輝宗の死』

伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その肆陸

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 勝った! この勝負、俺の勝ちだ! モーティマーを人質に取って、アマテラスと話し合った。あの話し合いは予想外だったが、同盟を結ぶことが出来た。これで伊達家は繁栄はんえいの道を辿ることになる!
 その時、ホースティーと名乗る四天王のリーダーがアマテラスの目の前に立った。「アマテラス様」
「どうした、ホースティー?」
「外道な人間と手を組むなど、アマテラス様のご意志でしょうか?」
「そうだ。我の意志だ」
「見損ないましたよ」ホースティーは戦闘態勢に入った。「僕がアマテラス様に勝ったら、僕が太陽神となろう」
「反逆か。面白いぞ、ホースティー!」
 アマテラスは不気味な笑いをして、ホースティーに拳を振るった。
「ガハッ!」ホースティーは数メートル飛ばされて、血を吐いた。「ぢぐしょー!」
「ハッハッハッ! 次期太陽神の器はアーティネスだ。それに、もしアーティネスが継がないとしても、貴様みたいな技巧派四天王より力押しのモーティマーの方に跡を継がせたいもんだねぇ」
 俺は何が起こったのかまったくわからなかった。ホースティーが反逆して、あっさりとアマテラスに負ける。そしてこうなっているわけだが......何でこうなった?
 そうだ、景頼と成実に話しを聞いたら良いんだ! あいつらはどこだ──。
「若様」成実は俺の横でつぶやいた。「お話ししたいことがございます」
「うおっ!」
 急に現れたもんだから、俺は腰を抜かしそうになってしまった。「な、何だよ?」
「景頼殿の推測によるところが大きいですが、四天王のリーダーであるホースティーには何かあります」
 ホースティーに何かある。そこまでは俺にも容易に想像が付く。景頼がそこまで言い切るなら、根拠があるはずだ。
「根拠は何だ?」
「モーティマーが四天王筆頭なのに、ホースティーは四天王のリーダーに君臨くんりんしております。力以外の何かが、ホースティーにはあるということです」
 確かに、言われてみればうなずける。ホースティーはガルフのことを『力押し』と言った。つまり、ホースティーは力押しではない何かがあるということだ。
「成実。だったらホースティーの戦いぶりを目に焼き付けてみようぜ」
 俺と成実がアマテラスとホースティーの二人の方へ目を向けると、当然ながらアマテラスが圧倒していた。
 ホースティーの身のこなしはうまい。ただ、力押しのタイプではないことはハッキリした。力押しタイプなら、あんな動き方をする必要はない。
 ホースティーには力以外の何かがあることは確かのようだ。その何かがわからなけりゃ意味がねぇが、まあ大丈夫だろ。何とかなる。
 おっ! そうこうしている内に、ホースティーの奴がアマテラスに床に倒された。
「貴様の負けのようだ、ホースティー」
「まだ経験不足かな」
 ホースティーは負けたことに悔しがっていない。つまるところ、奥の手があってこその余裕よゆうだ。ホースティーは奥の手を隠してやがるから、負けても悔しくないんだ。
 俺は声をひそめた。「ホースティーを特に警戒しておけ」
「わかりました」
 あいつは相当強い。今回俺が勝ったのはマグレを掴んだからだけど、このマグレを掴むかなり確立が低かったようだな。あの五人は強いし、俺が勝てたのが奇跡だ。
「それと、アマテラスと同盟を組むことになったから、会議を開く! 景頼とお前、小十郎、、俺、アマテラスが参加だ」
「アマテラスが参加ですか?」
「まあな。これからはアマテラス殿と呼べよ」
「了解しました」
「成実は景頼、小十郎と合流して先に会議行ってろ」
「わ、若様はどうするんですか?」
「アマテラスと話す」
 俺は燭台切を腰にぶら下げ、アマテラスの元へ行った。奴はホースティーのしばりながら、俺を見た。「よう」
 俺は米沢城を指差した。「会議が開かれる。アマテラス殿に出席していただきたい」
「どんな会議だ?」
「これから両者でどうするべきか。それを話し合うための会議だ」
 アマテラスは迷っているようだった。首を傾げている。「出席はホースティーにさせる。我はモーティマーの回復に力を使うから、出席する気力がなくなることだろう」
 ホースティー? 奴は裏切ったばっかだろ!?
「失礼ながら、ホースティー殿は今し方裏切った者だと思いますが?」
「安心しろ。モーティマーは強さだと我の次だが、立場の場合は二番手がホースティーだ。お前はヘルリャフカに勝ってんだから、ホースティーごときは余裕で倒せるだろうぜ」
「いや、しかしだな......」
「なら、ホースティーと戦ってみろよ。奴は簡単に倒せるぜ」
 するとそれを盗み聞いていたのか、ホースティーは力を振り絞って構えた。「どこからでも良いですよ」
 予想外の状況にまどうが、ここでホースティーと戦えば奴の奥の手がわかるかもしれない。こちらとしても、メリットが大きい。
「わかった。遠慮えんりょなくやらせてもらう」
 俺は燭台切を握り、刃先をホースティーに向けた。その途端とたん、背中に衝撃が走る。ホースティーは一瞬で俺の背後に移動して、背中を攻撃したんだ。まったく見えなかった。
「がっ!」
 ダメージが大きすぎて、俺はその場に倒れ込んだ。
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