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正典の謎
正典での毒物
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【毒物の実験台】
正典では様々な毒物が登場しています。長編『緋色の研究』では、毒物を試す実験台として犬を使いました。残念ながら、毒物が混入されていたことが証明されたために、犬は死んでしまいました。
その『緋色の研究』の冒頭では、ホームズについて『たとえば親しい友だちにだって、新発見の植物性アルカロイドをちょいと一服のませてみる、それくらいのことはやりかねない人ですね。(中略)研究のためならきっと自分でものみかねない人だと思います。』と、ワトスンの手術助手をしていたスタンフォード青年が語っています。
短編『悪魔の足』では、新発見の毒物『悪魔の足の根』を試すためにホームズが自ら実験台となりました(ワトスンも巻き込まれています)。スタンフォード青年の危惧(?)は現実のものとなりました。
このことについて、新野英男さんは疑問を呈しています。なぜホームズは、『緋色の研究』でしたように犬を『悪魔の足の根』の実験台にしなかったのか、ということです。
その謎に対し、新野さんはホームズはなおも刺激を求めていたのではないかと言っています。
どういうことかと言うと、短編『スリー・クォーターの失踪』でワトスンは、ホームズの麻薬愛好癖を徐々にやめさせたと語っていますが、ホームズは進んで『悪魔の足の根』を吸引したことから、麻薬のような刺激を求めていたのではないか、つまり、麻薬愛好癖が完治していないのではないかと考えられます。
ですが、別の考え方もあります。薬物の効果を自分の体で試す、というのはドイルやエディンバラ大学医学部のドイルの先輩達もやっていたことらしく、一概にホームズは刺激を求めたかったのだとは言えません。
【コカインとモルヒネとアヘン】
また、新野さんはホームズが注射する麻薬についても興味深い話しをしているのです。ホームズはコカインを注射する描写しかありませんが、長編『四つの署名』で注射をするホームズにワトスンは『コカインを注射するのか、モルヒネを注射するのか』を尋ねています。このことについて、麻薬を注射するホームズに言ったワトスンの皮肉だと考えられていて、実際に私も本作の『ホームズの外見・内面』の頁でそう書きました。
ただ、新野さんは、ホームズはモルヒネも日常的に注射していたのだとして、時代背景を考慮して、ホームズはモルヒネ中毒の治療のためにコカインを治療していたのではないかと言っています。
というのも、精神分析学者として有名なジグムント・フロイトが、臨床精神科医だった1884年にコカインがうつ状態を改善する薬だとして論文を発表しています。そのフロイトはコカインがモルヒネ中毒の治療薬と考えて、自らもコカインをやっていたようです。ホームズがこれを信じて、モルヒネ中毒の治療としてコカインをやっていた可能性はあるらしく、当時はコカインは体に害のある毒物だとは考えられなかったので、仕方のないことです。
また、短編『白銀号事件』では、カレーの中にアヘンが混入していて、眠らされました。カレーはアヘンの味をごまかすようですが本当のところはどうなのか、ということは『正典の謎』の章の『「白銀号事件」の謎』の頁で後述します。
【沼毒蛇】
短編『まだらの紐』では、沼毒蛇という実在しない毒蛇が凶器として登場しています。この毒蛇の毒は強力で、噛まれて数秒で死に至ります。くわしくは『正典の謎』の章の『沼毒蛇の謎』の頁で書いています。
【短編『瀕死の探偵』】
ホームズは『瀕死の探偵』では、象牙の小箱に罠が仕掛けてあり、小箱を開けると傷が付けられて病気に感染するものでした。
【悪魔の足の根】
ホームズやワトスンが死にかけた『悪魔の足』に登場する毒物は、(実在せず、アフリカにのみ生息するという設定の)『悪魔の足の根』です。そのため、アイザック・アシモフなどはミステリーというより、SFジャンルに『悪魔の足』を分類しています。
その『悪魔の足の根』は、気化すると極めて強く脳に作用し、錯乱や激しい幻覚を引き起こして高濃度になると苦痛に歪んだ表情のまま人を死に至らしめるという恐ろしい毒物です。
【ライオンのたてがみ】
短編『ライオンのたてがみ』では、毒クラゲ『ライオンのたてがみ』が凶器として登場しています。この『ライオンのたてがみ』というクラゲは『サイアネス・カピラタ』で、和名が『キタユウレイクラゲ』のようです。このクラゲの英名が、『ライオンのたてがみ』の意味になります。
この『サイアネス・カピラタ』の傘は二メートルを超える個体もおり、世界最大級のクラゲの一つのようです。ちなみに、この『サイアネス・カピラタ』は日本の青森県以北の沿岸にも生息しています。
この『サイアネス・カピラタ』の毒は強く、刺されると危険のようで、新野さんは『サイアネス・カピラタ』に刺されて死んだという例は確認出来なかったらしいです。ただ被害者の一人は心臓が悪く、『サイアネス・カピラタ』に刺されて急激な血圧低下により心臓に負担が掛かって息絶えました。
そして真犯人として有力なものとして、イギリス近海にも生息する『カツオノエボシ』というクラゲを挙げています。
この『サイアネス・カピラタ』を、ホームズは石で潰しています。ただ、新野さんによると、クラゲ本体は死んでも触手はすぐには死なずに生きている場合があり、触ると毒針を発射するらしいです。
なので、ホームズのやり方では不十分だったことになります。
正典では様々な毒物が登場しています。長編『緋色の研究』では、毒物を試す実験台として犬を使いました。残念ながら、毒物が混入されていたことが証明されたために、犬は死んでしまいました。
その『緋色の研究』の冒頭では、ホームズについて『たとえば親しい友だちにだって、新発見の植物性アルカロイドをちょいと一服のませてみる、それくらいのことはやりかねない人ですね。(中略)研究のためならきっと自分でものみかねない人だと思います。』と、ワトスンの手術助手をしていたスタンフォード青年が語っています。
短編『悪魔の足』では、新発見の毒物『悪魔の足の根』を試すためにホームズが自ら実験台となりました(ワトスンも巻き込まれています)。スタンフォード青年の危惧(?)は現実のものとなりました。
このことについて、新野英男さんは疑問を呈しています。なぜホームズは、『緋色の研究』でしたように犬を『悪魔の足の根』の実験台にしなかったのか、ということです。
その謎に対し、新野さんはホームズはなおも刺激を求めていたのではないかと言っています。
どういうことかと言うと、短編『スリー・クォーターの失踪』でワトスンは、ホームズの麻薬愛好癖を徐々にやめさせたと語っていますが、ホームズは進んで『悪魔の足の根』を吸引したことから、麻薬のような刺激を求めていたのではないか、つまり、麻薬愛好癖が完治していないのではないかと考えられます。
ですが、別の考え方もあります。薬物の効果を自分の体で試す、というのはドイルやエディンバラ大学医学部のドイルの先輩達もやっていたことらしく、一概にホームズは刺激を求めたかったのだとは言えません。
【コカインとモルヒネとアヘン】
また、新野さんはホームズが注射する麻薬についても興味深い話しをしているのです。ホームズはコカインを注射する描写しかありませんが、長編『四つの署名』で注射をするホームズにワトスンは『コカインを注射するのか、モルヒネを注射するのか』を尋ねています。このことについて、麻薬を注射するホームズに言ったワトスンの皮肉だと考えられていて、実際に私も本作の『ホームズの外見・内面』の頁でそう書きました。
ただ、新野さんは、ホームズはモルヒネも日常的に注射していたのだとして、時代背景を考慮して、ホームズはモルヒネ中毒の治療のためにコカインを治療していたのではないかと言っています。
というのも、精神分析学者として有名なジグムント・フロイトが、臨床精神科医だった1884年にコカインがうつ状態を改善する薬だとして論文を発表しています。そのフロイトはコカインがモルヒネ中毒の治療薬と考えて、自らもコカインをやっていたようです。ホームズがこれを信じて、モルヒネ中毒の治療としてコカインをやっていた可能性はあるらしく、当時はコカインは体に害のある毒物だとは考えられなかったので、仕方のないことです。
また、短編『白銀号事件』では、カレーの中にアヘンが混入していて、眠らされました。カレーはアヘンの味をごまかすようですが本当のところはどうなのか、ということは『正典の謎』の章の『「白銀号事件」の謎』の頁で後述します。
【沼毒蛇】
短編『まだらの紐』では、沼毒蛇という実在しない毒蛇が凶器として登場しています。この毒蛇の毒は強力で、噛まれて数秒で死に至ります。くわしくは『正典の謎』の章の『沼毒蛇の謎』の頁で書いています。
【短編『瀕死の探偵』】
ホームズは『瀕死の探偵』では、象牙の小箱に罠が仕掛けてあり、小箱を開けると傷が付けられて病気に感染するものでした。
【悪魔の足の根】
ホームズやワトスンが死にかけた『悪魔の足』に登場する毒物は、(実在せず、アフリカにのみ生息するという設定の)『悪魔の足の根』です。そのため、アイザック・アシモフなどはミステリーというより、SFジャンルに『悪魔の足』を分類しています。
その『悪魔の足の根』は、気化すると極めて強く脳に作用し、錯乱や激しい幻覚を引き起こして高濃度になると苦痛に歪んだ表情のまま人を死に至らしめるという恐ろしい毒物です。
【ライオンのたてがみ】
短編『ライオンのたてがみ』では、毒クラゲ『ライオンのたてがみ』が凶器として登場しています。この『ライオンのたてがみ』というクラゲは『サイアネス・カピラタ』で、和名が『キタユウレイクラゲ』のようです。このクラゲの英名が、『ライオンのたてがみ』の意味になります。
この『サイアネス・カピラタ』の傘は二メートルを超える個体もおり、世界最大級のクラゲの一つのようです。ちなみに、この『サイアネス・カピラタ』は日本の青森県以北の沿岸にも生息しています。
この『サイアネス・カピラタ』の毒は強く、刺されると危険のようで、新野さんは『サイアネス・カピラタ』に刺されて死んだという例は確認出来なかったらしいです。ただ被害者の一人は心臓が悪く、『サイアネス・カピラタ』に刺されて急激な血圧低下により心臓に負担が掛かって息絶えました。
そして真犯人として有力なものとして、イギリス近海にも生息する『カツオノエボシ』というクラゲを挙げています。
この『サイアネス・カピラタ』を、ホームズは石で潰しています。ただ、新野さんによると、クラゲ本体は死んでも触手はすぐには死なずに生きている場合があり、触ると毒針を発射するらしいです。
なので、ホームズのやり方では不十分だったことになります。
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