悪役令嬢は自分磨きに忙しい!

こゆき

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ツキオトに置けるユリアという存在は、典型的な悪役令嬢だった。

地位に胡座をかいた傲慢な態度。
庶民の出であるヒロインを小馬鹿にする、姑のような嫌味。
直接手を出す事はなかったが、言葉巧みに周囲を誘導しヒロインを破滅へと導く──……

なんでこんな悪役令嬢、『私』が好きだったかって?
何度も言わせないでちょうだい。容姿が好みだったのよ。
メンクイですが何か?


「まあ、今のわたくしは『それ』とは遠くかけ離れておりますけれど」
「?  なんのことですか?ラピス様」
「なんでも御座いませんわ。こちらのカップ、素敵な色ですわね」
「お褒めに与り光栄です。隣国の聖サンタリア王国から直接仕入れたのですよ」

朗らかな日の下、にこにこと笑う好青年は『穏和』という言葉の具現かと言うほどに、その言葉が似合っている。
優しく柔らかな茶色の髪は、首にかからない程度の短髪で、穏やかな風にサラリと揺れる。
鮮やかな昼の海を切り取ったかのような水色の瞳は光に煌めき、彼の雰囲気をより神秘的なものへと作り上げる。

そう、この方こそ昨日ご紹介した攻略対象の1人。大臣様の1人息子 エリオット=グランディエライト様その人だ。

……うん、今日も相変わらず美しい。
その所作もパーフェクトだわ。

わたくしは目の前の美しいひとに、ひとりうんうんと頷いた。


※※※


わたくし達が今日、お茶会を開いているのは、ルディア学園の中庭に位置する温室。
色とりどりと花々が咲き誇るそこに設置されたティーテーブルで開くお茶会は、まさに優美で華麗。ああ、素晴らしいわ。

「相変わらず素敵なお花達ですわね。この薔薇、なんて見事な大輪なんでしょう」
「ありがとうございます。ガーデニングなんて、女々しいと怒られがちなのですが……」
「あら、その方達はきっと心に余裕がありませんのね。こんな美しいものを育て上げる行為が女々しいだなんて」

とても素敵な特技じゃありませんこと?
ころころと笑えば、グランディエライト様は頬を染めてふわりとはにかむ。
……あら、何かしらこの胸のトキメキ。新しい扉を開きそうだわ?

「ごほん!」
「……ところで、グランディエライト様?お話ってなにかしら」

ギイイイイ、なんて扉の開く音が聞こえたけれど、それはアレクの盛大な咳払いに瞬時に閉ざされた。
……ちょっと惜しい気もするのは何故かしら。

まあそれは置いといて、そろそろ本題に入らないといけないのは事実だわ。
アレクがいるとはいえ、婚約者以外の殿方と長時間二人っきり、なんてはしたないですものね。

カップをソーサーへ戻し、小首を傾げながら切り出したわたくしの言葉に帰ってきた返答は、なんとも奇妙なお言葉だった。
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