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第7話 人脈
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「どうしたらいいだろうか……」
決断したものの、揺らいでしまう。
お嬢様に会えるのは嬉しい。
しかし問題は会った後だ。
お嬢様の事だから今何をしているのか、これからどうするのかなどを根掘り葉掘り聞いてくるだろう。
俺としては迷惑はかけたくないから必要以上の事を話したくない。
家もないし、仕事もまた軌道に乗ったとは言えない。
「でもこれはある意味チャンスか?」
普通であればもうお嬢様に会う事が出来ず、たとえお嬢様に相応しい相手がいたとしても会えないのであれば紹介も出来なかっただろう。
もしもこれからも会えるのならば、その時にお嬢様に相応しい相手を紹介出来ればいいわけで。
「でももう会えない可能性もあるな……」
今回だけになる可能性もあるし、ならば早いうちに手を打っておいた方がどっちみちいいだろう。
「明日までに、お嬢様に相応しい男性がいれば……」
とは言っても俺にそんな知り合いはいないし、まだそこまで情報も集められていない。
お嬢様を守れるくらいに強く、権力もあり、人の気持ちを考えてくれる一途な男。
そんな人物を何としてでも探さなくては。
俺は臨時休業の札を掲げ、相応しい人物をあたるべく、外に出る事にした。
◇◇◇
「きつい……」
人込みに酔いそうだ。
そもそも屋敷では庭師の師匠以外にはほぼほぼ話をしなかったし、占いの仕事でも必要な事を話すだけだ。
商業ギルドで複数の者と話すこともあったが、どちらかというと聞き役が多かった。
なので今日みたいに外で誰かに話しかけるとかそう言った行為は、ハードルが高すぎる。
「つかこんなところに来て眺めていても、お嬢様に相応しいかなんてわからねぇのに」
自分の浅慮さに頭が痛くなる。
せめて触れられたらまだお嬢様との縁が分かるかもしれないが、見知らぬ者に手を触られるなんてされたくないだろう。
(でもこんなに人っているんだよな)
こうやって大通りに来て人を見ていると、こんなにもこの街に住む者は多くいるのだなと、そしてこれだけの人を繋ぐ縁があるのだと思うと、何だか世界が広く、大きく感じられた。
屋敷にて仕事をしていた時はこうして周囲を見る時間などなかったから知らなかったが、こうなってから初めて気づく。
視界が一気に広がった感じだ。
「お嬢様に相応しい者は、必ずいる。だから諦めるわけにはいかない」
人の多さはチャンスの数だ、まだまだ可能性はあるだろう。
(しか、お嬢様の赤い糸。この前もか細いものしかなかったな。本命はやはりまだ会っていないのだろう)
運命の相手であれば、しっかりとした太い線で見えるはずなのに。
だから、あのクソ野郎ではない事だけは断言できる。
引き合わせれば何らかの縁は繋がる、その相手と赤い糸が伸びれば運命の相手確定なのに。
「諦めるわけにはいかないな……」
そう思ってあちこち歩いて人間観察を行うが、到底いい奴がいるとは思えなかった。
そんな俺の行動を不審に思ってか、自警団が来たので、逃げ回る羽目になる。
……思った以上に収穫はないし、えらい目に合ってしまった。
一旦商業ギルドに帰ろう。
◇◇◇
「疲れた……」
慣れない事をしたから、どっと疲労がこみ上げてくる。
俺は商業ギルドに併設された飲食店で飲み物を頼み、顔を突っ伏してため息を吐いた。
「そもそも何で見えないんだろうな……」
お嬢様のように見えないというのは実は珍しいのだ。
その対象人物に会ってないからと思ったが、そうでなくても商売の相談では縁が見えていたことに気づく。
何か意味があるのだろうか。
「どうしたんだいシア。テーブルに突っ伏したりして」
副長とリジーが揃って店に現れ、俺に声を掛けて相席してくる。
許可をした覚えはないのだが。
(いや、待てよ)
そして折角ならば聞いてみよう。
顔の広い二人ならば、きっと有益な話を聞けるはずだ。
占い師が他人にアドバイスをもらうというのも変な話だが、将来有望な男性を知る事は今後の仕事に活かす為の情報としてアリだろう。
けして怠慢なわけではなく、俺の腕が悪いという事でもない。
俺の人脈がなさすぎるって話しなだけだ
決断したものの、揺らいでしまう。
お嬢様に会えるのは嬉しい。
しかし問題は会った後だ。
お嬢様の事だから今何をしているのか、これからどうするのかなどを根掘り葉掘り聞いてくるだろう。
俺としては迷惑はかけたくないから必要以上の事を話したくない。
家もないし、仕事もまた軌道に乗ったとは言えない。
「でもこれはある意味チャンスか?」
普通であればもうお嬢様に会う事が出来ず、たとえお嬢様に相応しい相手がいたとしても会えないのであれば紹介も出来なかっただろう。
もしもこれからも会えるのならば、その時にお嬢様に相応しい相手を紹介出来ればいいわけで。
「でももう会えない可能性もあるな……」
今回だけになる可能性もあるし、ならば早いうちに手を打っておいた方がどっちみちいいだろう。
「明日までに、お嬢様に相応しい男性がいれば……」
とは言っても俺にそんな知り合いはいないし、まだそこまで情報も集められていない。
お嬢様を守れるくらいに強く、権力もあり、人の気持ちを考えてくれる一途な男。
そんな人物を何としてでも探さなくては。
俺は臨時休業の札を掲げ、相応しい人物をあたるべく、外に出る事にした。
◇◇◇
「きつい……」
人込みに酔いそうだ。
そもそも屋敷では庭師の師匠以外にはほぼほぼ話をしなかったし、占いの仕事でも必要な事を話すだけだ。
商業ギルドで複数の者と話すこともあったが、どちらかというと聞き役が多かった。
なので今日みたいに外で誰かに話しかけるとかそう言った行為は、ハードルが高すぎる。
「つかこんなところに来て眺めていても、お嬢様に相応しいかなんてわからねぇのに」
自分の浅慮さに頭が痛くなる。
せめて触れられたらまだお嬢様との縁が分かるかもしれないが、見知らぬ者に手を触られるなんてされたくないだろう。
(でもこんなに人っているんだよな)
こうやって大通りに来て人を見ていると、こんなにもこの街に住む者は多くいるのだなと、そしてこれだけの人を繋ぐ縁があるのだと思うと、何だか世界が広く、大きく感じられた。
屋敷にて仕事をしていた時はこうして周囲を見る時間などなかったから知らなかったが、こうなってから初めて気づく。
視界が一気に広がった感じだ。
「お嬢様に相応しい者は、必ずいる。だから諦めるわけにはいかない」
人の多さはチャンスの数だ、まだまだ可能性はあるだろう。
(しか、お嬢様の赤い糸。この前もか細いものしかなかったな。本命はやはりまだ会っていないのだろう)
運命の相手であれば、しっかりとした太い線で見えるはずなのに。
だから、あのクソ野郎ではない事だけは断言できる。
引き合わせれば何らかの縁は繋がる、その相手と赤い糸が伸びれば運命の相手確定なのに。
「諦めるわけにはいかないな……」
そう思ってあちこち歩いて人間観察を行うが、到底いい奴がいるとは思えなかった。
そんな俺の行動を不審に思ってか、自警団が来たので、逃げ回る羽目になる。
……思った以上に収穫はないし、えらい目に合ってしまった。
一旦商業ギルドに帰ろう。
◇◇◇
「疲れた……」
慣れない事をしたから、どっと疲労がこみ上げてくる。
俺は商業ギルドに併設された飲食店で飲み物を頼み、顔を突っ伏してため息を吐いた。
「そもそも何で見えないんだろうな……」
お嬢様のように見えないというのは実は珍しいのだ。
その対象人物に会ってないからと思ったが、そうでなくても商売の相談では縁が見えていたことに気づく。
何か意味があるのだろうか。
「どうしたんだいシア。テーブルに突っ伏したりして」
副長とリジーが揃って店に現れ、俺に声を掛けて相席してくる。
許可をした覚えはないのだが。
(いや、待てよ)
そして折角ならば聞いてみよう。
顔の広い二人ならば、きっと有益な話を聞けるはずだ。
占い師が他人にアドバイスをもらうというのも変な話だが、将来有望な男性を知る事は今後の仕事に活かす為の情報としてアリだろう。
けして怠慢なわけではなく、俺の腕が悪いという事でもない。
俺の人脈がなさすぎるって話しなだけだ
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