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第19話 獅子の国 守る
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嫌な予感がした。
ただの勘だ。だけども心がざわつき落ち着かない。
「まさかミューズに何かあった?」
口にすると不安が一気に押し寄せる。
昔から勘は良い方だ、だから確信した。
彼女に何かあったのだと。
「ティタン様?」
「すまない、少し抜ける」
鍛錬中ではあるが、ティタンは駆けだした。
胸のざわつきがおさまらない。
(ミューズ!)
ティタンの体が変化し、立派なたてがみと大きな爪と牙が現れる。人型であった名残はなく、完全に獣となっていた。
獣化したティタンは、四つ足で駆ける。その速度は人の姿の時とは比べ物にならない程だ。
普段はこの姿になりはしないが、いち早くミューズの元に行く為にと変化したのだ。
そして部屋に着いたのだが、ミューズの姿はどこにもない。
「何故いない、どこだ?!」
苛立たし気に喉の奥で唸る。
ここに来てから自ら部屋の外に出るなんてなかった。どこに行くかなんての心当たりもない。
「ティタン様。こちらへ」
同じく獣化し、赤い豹となったルドが匂いを頼りに案内する。
二階の窓から直接庭に降り立ち、駆け出した。温室に近づくにつれ、ティタンも匂いを察知する。
花の香りに混じって彼女の優しい匂いがするのだ。
だがそこにはミューズのものと、他者のものが入り交じっていた。
(俺以外の男がミューズの側にいるだと!)
怒りにティタンは更にスピードを上げた。
「ミューズを拐かしたのは、どいつだ!」
怒声が響いた!
ビリビリと空気が震え、その声は温室にも、そして城内にも聞こえてきた。
「ひっ?!」
匂いを頼りに温室の奥に入れば、ミューズを組み敷いている男達を見つけた。
容赦なくティタンは爪を剝き出しに襲いかかる。
「貴様らぁ!」
鋭い爪と牙は男達を切り裂き、ミューズの上から追い払う。
ミューズは懸命に抵抗していたのだろう、傷つき、震えていたが無事なようだ。
押さえつけられたのか所々肌が赤くなっているのを見て、怒りがこみ上げる。が、それはミューズにぶつけるものではない
極力優しい声を意識し、安心させるように話しかけた。
「大丈夫か?」
姿は違えど声でわかったのだろう。涙を流し、ティタンに縋り付く。
「ティタン様、ティタン様!」
余程怖かっただろうなと、ティタンは涙を舌で拭う。
「もう大丈夫だ。一人にして済まない」
ティタンは寄り添い、自分が倒した男達を見る。
多量の血を流しながらも男達は生きていた、
「命までは奪わない。貴様達がおかした罪は法で裁く」
本当は八つ裂きにしたかったが、ミューズの前でする事ではない。
心優しい彼女は自分のせいで人が死ぬのを心良く思わないはずだ。
だから司法の裁きで殺してやる。
「お前達が手を出そうとしたのはコニーリオの王女だ。どんな理由があれ、王女を傷つけた罪は重い」
そう宣言し、震えるミューズに寄り添う。
「もう一人になんてしない」
涙で言葉も紡げないミューズにただ寄り添った。
「大丈夫か、ミューズ」
しがみついていた手が急に力なく垂れさがる。
「薬も奪われてしまって、苦しいです……」
辛い息の中、そう訴えられる。
「発作が起きて、その時にタニアさんに奪われてしまったのです……あれがないと、私は」
とうとうミューズは胸を抑え、地面に倒れてしまう。
「俺が行きます。ティタン様はミューズ様をお部屋へ」
ルドが直ぐ様駆け出した。
男達をティタンの声で駆けつけた兵達に引き渡す。
「こいつらには後で厳罰言い渡す、生かしておけ」
いつもと違うどすの利いた声に震えながらも兵たちは男達を連れて行った。
あいつらに二度と日の目など浴びさせないと心に決め、ティタンはミューズを背に乗せて部屋に戻る。
「こんなに怪我をして、可哀想に」
ミューズをベッドに横にすると、ティタンは医師を呼びに行こうと外に出ようとする。
だが。
「行かないで」
ポロポロと涙を流し、ミューズは引き止める。
恐怖で落ち着かないのだろう。
「わかった、だから泣かないで」
(後でルドに頼めばいいだろう)
今は一人にしてられないと、ティタンはミューズの側に寄り添う。
ふわふわの毛にミューズは抱きつき、体を震わせている。
ミューズの涙を舐め取ると、ピクリとミューズは体を震わした。
「ティタン様」
「ごめん、嫌だったよな」
無意識にした事だったが、反省する。どうにもこの姿だと獣の思考に寄ってしまっていけない。
何の気無しにしたことだが、ティタンはミューズに嫌われたくないとすぐに止めた。
「いえ、慰めようとしてくれたのですよね。いつもこんな私に優しくしてくれて、ありがとうございます」
どうやら咎めようとしたわけではないようで、ホッとした。
「今だって助けに来てくれて、本当に嬉しかった。怖かったけれど、あなたの姿が見えて、ホッとしました」
獣化した姿を見るのは初めてだったが、見慣れた薄紫色のたてがみですぐにティタンだとわかった。
「あなたはいつでもピンチに現れてくれる、私の恩人です」
また涙を流し、ミューズはティタンを強く抱き締める。
ティタンもまたミューズを抱き返したかった。
獣姿をやめて、両の腕でミューズを慰めたい。
「好きです、ティタン様……」
そう言われ、ティタンの感情と頭が爆発する。思いもよらない好意の言葉に、心臓が破裂しそうだ。
「俺を? 本当に? 嘘ではなくて」
しつこい程確認すると、ミューズはコクリと頷く。
「はい、お慕いしております。そうでなければ発作も起こりませんので」
ミューズは顔を赤らめて話し始める。
ただの勘だ。だけども心がざわつき落ち着かない。
「まさかミューズに何かあった?」
口にすると不安が一気に押し寄せる。
昔から勘は良い方だ、だから確信した。
彼女に何かあったのだと。
「ティタン様?」
「すまない、少し抜ける」
鍛錬中ではあるが、ティタンは駆けだした。
胸のざわつきがおさまらない。
(ミューズ!)
ティタンの体が変化し、立派なたてがみと大きな爪と牙が現れる。人型であった名残はなく、完全に獣となっていた。
獣化したティタンは、四つ足で駆ける。その速度は人の姿の時とは比べ物にならない程だ。
普段はこの姿になりはしないが、いち早くミューズの元に行く為にと変化したのだ。
そして部屋に着いたのだが、ミューズの姿はどこにもない。
「何故いない、どこだ?!」
苛立たし気に喉の奥で唸る。
ここに来てから自ら部屋の外に出るなんてなかった。どこに行くかなんての心当たりもない。
「ティタン様。こちらへ」
同じく獣化し、赤い豹となったルドが匂いを頼りに案内する。
二階の窓から直接庭に降り立ち、駆け出した。温室に近づくにつれ、ティタンも匂いを察知する。
花の香りに混じって彼女の優しい匂いがするのだ。
だがそこにはミューズのものと、他者のものが入り交じっていた。
(俺以外の男がミューズの側にいるだと!)
怒りにティタンは更にスピードを上げた。
「ミューズを拐かしたのは、どいつだ!」
怒声が響いた!
ビリビリと空気が震え、その声は温室にも、そして城内にも聞こえてきた。
「ひっ?!」
匂いを頼りに温室の奥に入れば、ミューズを組み敷いている男達を見つけた。
容赦なくティタンは爪を剝き出しに襲いかかる。
「貴様らぁ!」
鋭い爪と牙は男達を切り裂き、ミューズの上から追い払う。
ミューズは懸命に抵抗していたのだろう、傷つき、震えていたが無事なようだ。
押さえつけられたのか所々肌が赤くなっているのを見て、怒りがこみ上げる。が、それはミューズにぶつけるものではない
極力優しい声を意識し、安心させるように話しかけた。
「大丈夫か?」
姿は違えど声でわかったのだろう。涙を流し、ティタンに縋り付く。
「ティタン様、ティタン様!」
余程怖かっただろうなと、ティタンは涙を舌で拭う。
「もう大丈夫だ。一人にして済まない」
ティタンは寄り添い、自分が倒した男達を見る。
多量の血を流しながらも男達は生きていた、
「命までは奪わない。貴様達がおかした罪は法で裁く」
本当は八つ裂きにしたかったが、ミューズの前でする事ではない。
心優しい彼女は自分のせいで人が死ぬのを心良く思わないはずだ。
だから司法の裁きで殺してやる。
「お前達が手を出そうとしたのはコニーリオの王女だ。どんな理由があれ、王女を傷つけた罪は重い」
そう宣言し、震えるミューズに寄り添う。
「もう一人になんてしない」
涙で言葉も紡げないミューズにただ寄り添った。
「大丈夫か、ミューズ」
しがみついていた手が急に力なく垂れさがる。
「薬も奪われてしまって、苦しいです……」
辛い息の中、そう訴えられる。
「発作が起きて、その時にタニアさんに奪われてしまったのです……あれがないと、私は」
とうとうミューズは胸を抑え、地面に倒れてしまう。
「俺が行きます。ティタン様はミューズ様をお部屋へ」
ルドが直ぐ様駆け出した。
男達をティタンの声で駆けつけた兵達に引き渡す。
「こいつらには後で厳罰言い渡す、生かしておけ」
いつもと違うどすの利いた声に震えながらも兵たちは男達を連れて行った。
あいつらに二度と日の目など浴びさせないと心に決め、ティタンはミューズを背に乗せて部屋に戻る。
「こんなに怪我をして、可哀想に」
ミューズをベッドに横にすると、ティタンは医師を呼びに行こうと外に出ようとする。
だが。
「行かないで」
ポロポロと涙を流し、ミューズは引き止める。
恐怖で落ち着かないのだろう。
「わかった、だから泣かないで」
(後でルドに頼めばいいだろう)
今は一人にしてられないと、ティタンはミューズの側に寄り添う。
ふわふわの毛にミューズは抱きつき、体を震わせている。
ミューズの涙を舐め取ると、ピクリとミューズは体を震わした。
「ティタン様」
「ごめん、嫌だったよな」
無意識にした事だったが、反省する。どうにもこの姿だと獣の思考に寄ってしまっていけない。
何の気無しにしたことだが、ティタンはミューズに嫌われたくないとすぐに止めた。
「いえ、慰めようとしてくれたのですよね。いつもこんな私に優しくしてくれて、ありがとうございます」
どうやら咎めようとしたわけではないようで、ホッとした。
「今だって助けに来てくれて、本当に嬉しかった。怖かったけれど、あなたの姿が見えて、ホッとしました」
獣化した姿を見るのは初めてだったが、見慣れた薄紫色のたてがみですぐにティタンだとわかった。
「あなたはいつでもピンチに現れてくれる、私の恩人です」
また涙を流し、ミューズはティタンを強く抱き締める。
ティタンもまたミューズを抱き返したかった。
獣姿をやめて、両の腕でミューズを慰めたい。
「好きです、ティタン様……」
そう言われ、ティタンの感情と頭が爆発する。思いもよらない好意の言葉に、心臓が破裂しそうだ。
「俺を? 本当に? 嘘ではなくて」
しつこい程確認すると、ミューズはコクリと頷く。
「はい、お慕いしております。そうでなければ発作も起こりませんので」
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