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再会したですが…
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「どうしても駄目か……」
ベリトの嘆息。
扉のところに気配が集まる。
リオンを捕らえるためか、不穏な気配だ。
どう答えてもリオンをここから出す気はなかったのだろう。
この蝶を譲ったとて、生息地や飼育方法を知らねば長生き出来ない。
短命では売れる価値も少なくなるだろう。
そしてリオンが増やし方を知っていれば希少価値も減る。
リオンを捕らえて蝶の育成や飼育をさせれば効率は良い、そこにリオンの身の安全は含まれてないが。
「まだ早いな…」
リオンは小さく呟いた。
蝶の感覚からマオとカミュがまだ遠い事を感じる。
馬車の距離を走ってきているから仕方ないが。
こいつらをぶちのめすにしても、マオに見てもらえねば彼女を呼んだ意味がない。
強くなったところを見せねば婚姻相手として認めてもらえないだろう、昔のように庇護者でいるわけにはいかない。
「ベリト侯爵。せめてひと目この蝶を恋人に見せたいのです」
リオンは場を長引かせようと話し始める。
「こちらの蝶は本日恋人へ婚約を申し込む為に見つけたものなのです、つまり僕の一生を左右する大事なもの。ですがひと目見せたら、ベリト侯爵に譲っても構いません。ただでもいいです」
さすがにそれにはビックリしたようだ。
「その代わりお聞きしたい事があります。侯爵は女性を口説く時、どのような言葉をかけますか?」
やがてマオとカミュが着いたのは、近くの街からだいぶ離れた屋敷だ。
「商人の屋敷でしょうか。貴族のではないと思うです」
こんなところの屋敷など記憶にない。
「ただの商人のところに、リオン様が連絡もなく行くとは思えない。ましてやこちらからの連絡にも応じないなんて普通じゃないな」
屋敷から結界のようなものは感じない。
二人は認識阻害の魔法を使用し、忍び込むことを決めた。
屋敷の中はやたら警備の者が多い。
こういう配置はロクでもない事をしていると言っているようなものだ。
(リオン様、拐かされたですか?)
(わざとだろう、知っていて来たはずだ)
小声でのやり取り。
リオンを探していると、攫われたであろう人が監禁されてるのが見えた。
通信石にて警備隊への連絡をお願いしようとし、マオは思い出す。
(すみませんがカミュから誰かに連絡するです、通信石を置いてきてしまったのです)
(……普通置いてこないだろうが。仕方ない)
カミュは一度外へ行くようだ。
ここでは人が多過ぎるため、通信がバレてしまう可能性が高い。
(無事に助け出せよ)
(わかってるです)
分かれたあと慎重にマオは進んでいく。
大体この手の屋敷は作りが似通っている。
リオンが来てからそこまで時間は経ってないと思うし、監禁部屋にはいなかった。
いるとしたら、応接室だろう。
扉の外に五人程の男が見える。
明らかにあやしい。
中の様子を探るように扉に近づいているのだ。
「どう思う? まだ合図はないぞ」
「さぁな。どちらにしろ捕まえるんだから、そろそろだろ。悠長に話をしているな」
「高く売れそうな男だし、ベリト様も機嫌がいいんだろ。好事家には好まれそうな容姿だ」
「虹の蝶なんて珍しいから聞き出してからだろ。どこにいるんだこれ、ここいらじゃいないだろ」
この中か。
マオは集中し、魔力を高めていく。
「邪魔ですよ」
放ったのは周囲の空気を無くすものだ。
マオは風の魔法を得意とする。
空気を操り男たちの周りから音を、呼吸を、熱を奪っていく。
男たちの顔が、赤から白へと移りゆく。
短時間のものなので、死んではないと思うが、酸欠状態により後遺症は残るかもしれない。
「リオン様を売ろうなんて、許しません」
バンっと、音を立て、扉を開けた。
目の前の光景に、マオは怯む。
埋め尽くすほどの蝶の群れ。
幻想的ではあるが、今はリオンの確認が先だ。
「マオ。この場合僕の勝ちでいいかな?」
ソファに座るは間違いなくリオンで、
その対面にいるもう一人は全く知らない者だ。
「誰だお前は?! どうやって入った!」
男は立ち上がり、マオを睨みつける。
「玄関から入ってきたです。それよりそちらの方を返してほしいです。リオン様これは無効です。まだ後日するです」
「僕の蝶に見つかったのだろう? ならば僕の勝ちだ。この子達はどこにいても僕の知りたいものをみつけてくれる、優秀な子達なんだよ」
すっとリオンが手を上げればそちらに集まる。
「僕が呼んでるって知っていて導かれて来たのだろ? 僕の勝ちで良くないかな、ねぇベリト侯爵」
どう思う?と話を振られても、ただただ困惑するだけだ。
「誰かいないか?! 侵入者だ!」
逃げようにもマオが入り口にいる。
ここまで来たならただの女じゃないことはベリトにもわかっていた。
「拐かされたかと心配したです」
「そんな訳ない、僕は王族の義務を果たしてるだけだ」
「王族だと?」
こんな優男が? 共も連れず歩いていた男が?
「そうか、第三王子だな!」
ここ数年、国のために外遊中だという噂を思い出した。
もし本当に本人ならただでは済まないが、ベリトの呼びかけにも誰も来ない。
こうなれば一刻も早くここを離れねば!
「どけぇ!」
ベリトが放ったのは火魔法だ。
出入り口にいるマオを狙う。
直様防御壁を作るが、その前に蝶の大群がマオの前に回り込む。
「僕の恋人に手を出してはいけない」
蝶の壁は火を弾いていた。
もともとリオンの魔力が流れている蝶だから、そこに更に力を流して防御壁代わりにしたのだ。
「マオに見せたから、約束通りこれは侯爵に譲るよ」
蝶たちは今度はベリトに群がった。
むせ返るほどの燐粉に呼吸が出来なくなる。
「うっ」
マオが顔を歪める。
蝶が離れた後に見たベリトの相貌が酷い爛れを起こし変化していた。
「強過ぎる魔力は毒になるんだ、マオに手を出そうとしたんだ。仕方ないよね」
リオンはクスクスと笑っていた。
ベリトの嘆息。
扉のところに気配が集まる。
リオンを捕らえるためか、不穏な気配だ。
どう答えてもリオンをここから出す気はなかったのだろう。
この蝶を譲ったとて、生息地や飼育方法を知らねば長生き出来ない。
短命では売れる価値も少なくなるだろう。
そしてリオンが増やし方を知っていれば希少価値も減る。
リオンを捕らえて蝶の育成や飼育をさせれば効率は良い、そこにリオンの身の安全は含まれてないが。
「まだ早いな…」
リオンは小さく呟いた。
蝶の感覚からマオとカミュがまだ遠い事を感じる。
馬車の距離を走ってきているから仕方ないが。
こいつらをぶちのめすにしても、マオに見てもらえねば彼女を呼んだ意味がない。
強くなったところを見せねば婚姻相手として認めてもらえないだろう、昔のように庇護者でいるわけにはいかない。
「ベリト侯爵。せめてひと目この蝶を恋人に見せたいのです」
リオンは場を長引かせようと話し始める。
「こちらの蝶は本日恋人へ婚約を申し込む為に見つけたものなのです、つまり僕の一生を左右する大事なもの。ですがひと目見せたら、ベリト侯爵に譲っても構いません。ただでもいいです」
さすがにそれにはビックリしたようだ。
「その代わりお聞きしたい事があります。侯爵は女性を口説く時、どのような言葉をかけますか?」
やがてマオとカミュが着いたのは、近くの街からだいぶ離れた屋敷だ。
「商人の屋敷でしょうか。貴族のではないと思うです」
こんなところの屋敷など記憶にない。
「ただの商人のところに、リオン様が連絡もなく行くとは思えない。ましてやこちらからの連絡にも応じないなんて普通じゃないな」
屋敷から結界のようなものは感じない。
二人は認識阻害の魔法を使用し、忍び込むことを決めた。
屋敷の中はやたら警備の者が多い。
こういう配置はロクでもない事をしていると言っているようなものだ。
(リオン様、拐かされたですか?)
(わざとだろう、知っていて来たはずだ)
小声でのやり取り。
リオンを探していると、攫われたであろう人が監禁されてるのが見えた。
通信石にて警備隊への連絡をお願いしようとし、マオは思い出す。
(すみませんがカミュから誰かに連絡するです、通信石を置いてきてしまったのです)
(……普通置いてこないだろうが。仕方ない)
カミュは一度外へ行くようだ。
ここでは人が多過ぎるため、通信がバレてしまう可能性が高い。
(無事に助け出せよ)
(わかってるです)
分かれたあと慎重にマオは進んでいく。
大体この手の屋敷は作りが似通っている。
リオンが来てからそこまで時間は経ってないと思うし、監禁部屋にはいなかった。
いるとしたら、応接室だろう。
扉の外に五人程の男が見える。
明らかにあやしい。
中の様子を探るように扉に近づいているのだ。
「どう思う? まだ合図はないぞ」
「さぁな。どちらにしろ捕まえるんだから、そろそろだろ。悠長に話をしているな」
「高く売れそうな男だし、ベリト様も機嫌がいいんだろ。好事家には好まれそうな容姿だ」
「虹の蝶なんて珍しいから聞き出してからだろ。どこにいるんだこれ、ここいらじゃいないだろ」
この中か。
マオは集中し、魔力を高めていく。
「邪魔ですよ」
放ったのは周囲の空気を無くすものだ。
マオは風の魔法を得意とする。
空気を操り男たちの周りから音を、呼吸を、熱を奪っていく。
男たちの顔が、赤から白へと移りゆく。
短時間のものなので、死んではないと思うが、酸欠状態により後遺症は残るかもしれない。
「リオン様を売ろうなんて、許しません」
バンっと、音を立て、扉を開けた。
目の前の光景に、マオは怯む。
埋め尽くすほどの蝶の群れ。
幻想的ではあるが、今はリオンの確認が先だ。
「マオ。この場合僕の勝ちでいいかな?」
ソファに座るは間違いなくリオンで、
その対面にいるもう一人は全く知らない者だ。
「誰だお前は?! どうやって入った!」
男は立ち上がり、マオを睨みつける。
「玄関から入ってきたです。それよりそちらの方を返してほしいです。リオン様これは無効です。まだ後日するです」
「僕の蝶に見つかったのだろう? ならば僕の勝ちだ。この子達はどこにいても僕の知りたいものをみつけてくれる、優秀な子達なんだよ」
すっとリオンが手を上げればそちらに集まる。
「僕が呼んでるって知っていて導かれて来たのだろ? 僕の勝ちで良くないかな、ねぇベリト侯爵」
どう思う?と話を振られても、ただただ困惑するだけだ。
「誰かいないか?! 侵入者だ!」
逃げようにもマオが入り口にいる。
ここまで来たならただの女じゃないことはベリトにもわかっていた。
「拐かされたかと心配したです」
「そんな訳ない、僕は王族の義務を果たしてるだけだ」
「王族だと?」
こんな優男が? 共も連れず歩いていた男が?
「そうか、第三王子だな!」
ここ数年、国のために外遊中だという噂を思い出した。
もし本当に本人ならただでは済まないが、ベリトの呼びかけにも誰も来ない。
こうなれば一刻も早くここを離れねば!
「どけぇ!」
ベリトが放ったのは火魔法だ。
出入り口にいるマオを狙う。
直様防御壁を作るが、その前に蝶の大群がマオの前に回り込む。
「僕の恋人に手を出してはいけない」
蝶の壁は火を弾いていた。
もともとリオンの魔力が流れている蝶だから、そこに更に力を流して防御壁代わりにしたのだ。
「マオに見せたから、約束通りこれは侯爵に譲るよ」
蝶たちは今度はベリトに群がった。
むせ返るほどの燐粉に呼吸が出来なくなる。
「うっ」
マオが顔を歪める。
蝶が離れた後に見たベリトの相貌が酷い爛れを起こし変化していた。
「強過ぎる魔力は毒になるんだ、マオに手を出そうとしたんだ。仕方ないよね」
リオンはクスクスと笑っていた。
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