騎士様は一直線!

コトイアオイ

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5.会心の一撃

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 レオンの彼女を見定めるどころじゃなかった。



それが視察の陰ながらの護衛の結論である。ついに、恐れていた事態が起こってしまったのだ。私よりも小さくて愛らしい三つ編みの彼女が、レオンの一番になってしまったのだ。あのキラキラの笑顔は彼女に向けられるようにーー。



「うあぁぁぁぁぁぁあ!」
 


ぐしゃあっ。通算20個目の林檎が私の手の中で果汁と共に砕け散った。


数日前からこんな調子で動揺しまくりの私だったが、トドメが来るとは思っていなかった。それは、私が数々の邪念を振り払い、レオンに祝いの言葉を贈った時のことである。


「レオン!…あ、えーっと、彼女できたんだね!その、お、お、うぉぉおおめでとう…」


最後が唸りながらの発声になってしまったが、私は頑張った。それなのに、レオンの返事と来たら味気ないものだった。


「は?何の話を…。彼女なんていないよ」


嘘だ!私はこの目でしかと見ましたから!今更恥ずかしがってるの?あんなにデレデレだったじゃないの。二人の様子は私の脳内でカップル的なイチャイチャに変換されていた。実際がどうであれ。


「嘘つかなくていいのよ?レオンが好きな子なら私、応援出来る、はず、だから!」


「…何それ。姉さんは僕が他の女の子とどうにかなって欲しいの?」


「え、レオンが好きなのはあの農家の三つ編みさんでしょ?私より彼女がす、す、好きなことくらい分かってるし…」


それを聞いたレオンはかつて見たことがない程の不機嫌顔になった。あぁ、不機嫌なレオンも美しいわぁ…レアな表情ゲット!


そこだけは揺らがない私に、彼は爆弾発言を投下した。


「…ふーん。じゃあ、姉さんはその子が僕の彼女だったら認めてくれるんだ?それなら、僕が彼女とキスしてもハグしてもセックスしても構わないんだ?」


セッ。セ…!いやぁぁあ!駄目駄目!レオンが汚される!私の美しいレオンが女に蹂躙されるのは嫌!やばい、応援できる気が全くしなくなってきた!


「じ、じ…っ!」

「姉さん?」

「実家に帰らせて頂きますっ」

林檎をぐしゃあしながら、私はレオンの前から逃げ出す。その後ろ姿をレオンは呆然とした顔で見送った。

「姉さんの家はここでしょ…」

 
ーー



レオンの元から逃げ去ったリゼは、迅速なスピードで書き置きを残し、家を出た。一旦、祖母の家に避難して自分の頭を冷やすべきだと考えたからだ。


「フェル…うぅ…お前は私の気持ち分かってくれる?」


涙目で白馬に話しかけながら、リゼは少しでも頭を整理しようと試みる。


……………………。



「やっぱり、無理ぃぃ!レオンが家に彼女なんて連れてきたら剣抜いてしまいそう!私が一番危険だわ…」



リゼはフェルにしがみついて嘆いた。

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