騎士様は一直線!

コトイアオイ

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4.彼女疑惑!

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 予定ではこれが最後の領地視察になるのだろう。レオンは周辺の田畑やその作物についての説明を聞きながら、家に招き入れられた。説明に関しては多分そんなことを聞いているのだろうという私の推測だ。
 

私の割りに、大人しく尾行を続けていた時だった。目も疑うような光景が私の前に広がったのは。


年若い少女がレオンを案内しようとして、家の前の段差に躓き、レオンの方へ倒れ込むではないか!ま、まさかそうやって私のレオンに抱きつこうという魂胆?それか実は凶器を隠し持った暗殺者の手管!?


「きゃあ!ご、ごめんなさいっ。私こんなつもりじゃ」

「大丈夫ですか?気をつけてくださいね」


見よ、我が読心術。長々しい会話だと難しいがこの程度なら完璧である。あぁん、レオン優し過ぎるよー!そんな紳士、女豹が放っておかないよ!


それともまさか、そ、その女がレオンの彼女なの…?気のせいか普段よりも優しげだったわ。今も「貴方のような人に案内していただけるなんて役得ですね」とか口説いてるし!


レオン、そうなんだね。彼女がついに…。うっはぁあああ!ブロークンハート!お姉ちゃんはブロークンハートだよ!


リゼはお世辞という言葉を理解しないので誤解を解く人もおらず、こうしてレオンの彼女が勝手に作り出されてしまったのである。


 その日、リゼは人生最大の壁にぶつかった。もうそろそろ、弟離れしなきゃいけないのか?という巨大な壁だ。


その結果、帰宅してからリゼの挙動はますます不審さを増していくことになる。レオンに気づかれないよう先に自宅へ帰り着替えるも、それは上だけパジャマだったり、帰ってきたレオンを見て号泣したり。


「お、お姉ちゃんレオンのために…自分の欲望抑え、る…わ…」


言われたレオンは勿論困惑顔だった。様子のおかしいリゼにいつものハグをしようとしたが、

「誰にでもそんなことしちゃ駄目!男の子は好きな子に一途じゃないと!…好きな子…ぐっはぁぁぁあ!!」

さらにリゼの様子がおかしくなってしまった。
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